伝書鳩パーティー 毎週ショートショートnote
「であるから我々の先祖は人間社会のなかで~」
公園の木の枝で最長老の演説が続く。
「誰だよ、こんなパーティー企画したの」
伝書ハヤテは伝書ヒカルに聞く。
「なんでも伝書鳩誕生5000周年記念らしいぞ」
ヒカルはパン屑を忙しなく啄みながら言った。
「お、見ろよ伝書ハヤセだぜ、いつ見てもセクシーな鳩胸だな~」
ハヤセが翼をパタと拡げると廻りのオスは一斉に翼をバタつかせた。
「節操がない奴らめ…」ハヤテはホバリングした。
「どこへ?」
答えずハヤテは繁華街を目指した。
送電線から眼下の汚れた街を見る。
『ハトに餌をやらないで』という看板が目に入る。
俺達を平和の印と言ったよな。
そのくせ戦争にも利用したよな。
鳩レースなどと言い、8割以上が迷子で死ぬ現実をどれだけ知っている?
沈みかけの太陽に帰巣本能が疼く。くそ、俺はいつまでも鳩なのか。
パーティー会場へ戻るともう誰もいなかった。
食べ散らかされたパン屑を見たとき、俺達も同じかとハヤテは目をふせた。
完410
たらはかにさんの毎週ショートショートの企画、今週のお題「伝書鳩パーティー」に参加させていただきました。
なんかくらーーい作品になりました。くらーーーいの書こうとしたからです。
春ピリカの方は明るいやつを書いたのですが
そう言えばピリカさんの方のやつに動画を付け忘れてる。なんか付けていいものかどうか迷っちゃって今からでも付けていいかな…… いいんですかね?