教室で使っているレッスンノート(2)
回数を決めることで、終わりが見える
幼稚園生や小学生の生徒には、その年齢、経験、練習環境、本番の有無により、私が練習の方法と回数を決めます。生徒が成長するにつれて、曲の予習をしながら、生徒と一緒に決めていきます。
「この部分は難しいから、部分練習を10回しよう。」
「この部分は大丈夫そう?どのような練習方法が良いと思う?」
「ドレミを歌いながら弾くことが大切だよ。」
このような会話をレッスン中に何度も行います。
そして、決めた回数を目標に練習し、実際に何回練習したかを表に記入します。生徒がすることは、「数字を書く」だけです。とても簡単ですね!
しかし、この方法は驚くほど効果的です。
生徒に表れる効果
数字を記入することで、今日の練習が全て終わったことを視覚的に確認できます。
新しい曲を1日で完璧に弾けるようになることは稀で、練習の終わりに「まだうまく弾けない…」と感じることは多いでしょう。
しかし、レッスンノートをつけていれば、「今日の分の宿題はしっかりとやった」と自己肯定ができます。
練習できない日もあります。趣味、外出、疲れ、眠気などが理由かもしれません。
そのような日は、回数記入欄に事情を記録します。そうすれば、「今週はすでに2日練習を休んだから、今日はしっかりやろう」と自覚できます。
継続的に記録をつけていくと、多く練習すれば上手く弾けるようになるという因果関係が明確になります。
この認識があると、練習する意欲も湧いてきます。
生徒の演奏の背景をすべて理解するのは難しい
通常、生徒の家での練習をこと細かく把握するのは、私にも難しいです。
レッスンで上手く弾けない場合、私が「もっと練習頑張って!」と言ったとします。しかし今の状態で生徒が「すごく頑張った」と感じていた場合はどうでしょう?
がっかりしてしまいますよね。
ですから、練習が可視化されることが大切です。
結果が頑張ったからなのか、それとも練習時間が少ないからなのかがわかります。つまり、子どもの練習量と結果との関係性が見えてくるのです。
器用でどんどん進むタイプの生徒と、ゆっくりと成長するタイプの生徒。それぞれの生徒が取り組みやすい宿題を出すことができます。
弾けなかった日も話題がある
さらに、「お出かけした」「運動会だった」といった練習していない日の書き込みを元に、楽しいコミュニケーションをとることができます。レッスンの冒頭で少し楽しい話をすることで、緊張も解けて良いレッスンスタートができます。
練習と結果の関係が可視化されることにより、指導者は生徒の状態に合わせて宿題を調整しています。生徒は、その曲が合格したかどうかの結果に左右されず、自分が練習に努力をしたという自己肯定感が得られます。
そのため、練習回数の記録は非常に重要ですが、「回数が少ない!」と叱るのではなく、もうあと1,2回増やすとできるようになるかもね、という風に伝えています。
合格できなくても、努力の跡は残る
「来週もう一度やり直しましょう」ということもよくあります。
特に難易度の高い曲では、一通り演奏できるようになるまでに2週間や3週間がかかることもあります。
合格がもらえない時は、少し残念な気持ちになるでしょう。
しかし、そんな時、子ども達の気持ちを救ってくれるのが練習した回数の記録です。
自分が努力した跡は、次に続きます。自分はこれだけ頑張ったという記録が後に残ります。
記録する目的は叱るためではありません
まず、練習をしていても、していなくても、レッスンノートに書き込み、真っ黒にすることを目指してください。
練習が出来なければ、これでできなかったとたくさん書いてください。
それが大人のレッスンで、当たり前に存在する「言い訳」です。(笑)
そこから対話が始まります。