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価値観が変わったお陰で得たもの

大学な通って就職する頃、なんとなく植え付けられた価値観がある。
「肉体労働は高卒以下がやるものだ」

意識して思っていたわけではない。

でも、大卒は頭脳労働、ホワイトカラーが当たり前だと思い込んでいた。

40代後半で出逢った今の夫。

当時植木職人だった。

泥だらけになって働くなんて。

暑い中汗水垂らして働くなんて。

職業に貴賤はないと思いつつ、心のどこかで見下げていた。

でも、時は流れた。

朝から田んぼに入り、無農薬の稲の間の草を取る。

腰を屈めて、一箇所ずつ草を引く。

アメンボが傍を通る。

カエルが傍を跳ねる。

あつくなってきた陽射しを中で

ただただ草を引く。


20代の頃には考えられなかった光景。

友達と夫とともに無言で作業しつづける。

そんな時に言いようもない豊かさを感じる。

泥だらけになりながら作業すると
心の奥に安堵感が広がる。

流石に腰は痛くなってきたけど。

若い頃に持った価値観を手放したら、
こんなに素敵な経験ができた。

秋に収穫する米は
きっといつも以上に感慨深い味がするのだろう。


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ひなた美由紀
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