やる時は一瞬でやってや#毎週ショートショートnote

「なぁ。」

「なぁ。」

深夜、ベッドの下から声がする。

感じるはずのない気配に
そっと下を覗き込む。

ん? 気のせいだよね。
ベッドに戻ろうとすると

「なぁ。」

また聞こえる。

電気を付け
ベッドの下を覗き込もうとした瞬間!
「ひぃぃっ!!」
思わず叫んでしまった。

そこにいたのは
ベッタベタに固められた頭髪が
オイリーに黒光りしているおじさんだった。

「えー。ショック。
 この姿でもその反応か。」

「おじさん、もしかして……。」

「う、うん、いいのいいの。
 言葉にするのもどうせ嫌でしょ?
 おじさんさ、もう耐えられんのよ。
 数々の修羅場越えたけど。」

「どう言うこと?」

「仲間たちが最後を迎えるのをみてきてな。
 怖いんよ。
 アンタに頼みたい事があってな。
 新聞紙とかスリッパとかやのうて。
 毒入り団子でものうて。
 じわじわ浸透してくるスプレーでものうて。
 ほら、あれや。
 瞬間凍結のアレでお願い出来んやろか。」

私は〝おじさん〟の望み通り
親切な暗殺を実行した。

(410文字)

#毎週ショートショートnote
#親切な暗殺

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