Surround me music, Feel Good#6-Joining You Mix-
2019年秋から冬にかけてライヴ/コンサートへ行った/行く予定のミュージシャンから選んでみました。
今年ももう1/4程度と考えると早いですね…。
福岡市清川のcafe and bar gigiにて9/25に開催された「美しい星」に行ってみた経緯は、Ayao TazakiさんがVJを手がけるという興味から。後にも紹介するTAMTAMやKuro、Teppeiといったバンド/ソロミュージシャンらのMVやイメージ映像を製作している作家のヴィジュアルエフェクトを体験。
ayumi、end's not nearの2者とのコラボレーションで、筆者は会場着の時間上end's not nearのみ。会場も初めてで、他の出演者らも全く未知でしたが、Ayao Tazakiさんと交互にVJを担当するVJ dokugaaさんの映像も美しく、音楽はチル、アンビエント、コンテンポラリーな世界観を中心に、時にノイズも入り交じり、バンドアンサンブルにも発展するカオスな趣もあり、で、じっくりと流れる時間の中で、まだ見ぬ星や星座を眺めるようなイベント。主催者のキュレーションのセンスも光る心地よい天体観測の時間でした。
中村佳穂さんは「AINOU」リリース前くらいから気になっているも、なかなかタイミング合わずライヴで聞くチャンスは逃してきたのですが、地元福岡県で開催される「MUSIC CITY TENJIN」に出演ということで、ようやく希望が叶いました。
日本で主流になっている今現在のメジャーなポピュラーミュージックからは意図的に逸脱したメロディ、リズムやコードを用いていますが、奇をてらったものとしてではなく、それを自然なアンサンブルとして、気持ち良いもの/面白いものとして成立させているミュージシャンだと思います。作曲、ピアノ演奏、歌、そしてバンドアンサンブルとの有機的な繋がりを音源や動画から感じますが、遂にライヴ体験。
9/28(土)に開催されたMUSIC CITY TENJINでの出演では、ピアノと歌のみのソロ弾き語りで演奏。大衆歌謡(ポピュラーミュージック)、JAZZ、R&B、ラップ、即興、コンテンポラリー、スキャット、ボイスパーカッション、演説や詩の朗読風等々、多彩な音楽背景を感じつつ、その場所の温度や空気の質をも演奏に還元し、感情のひだを歌いあげていました。すばらしい音楽家だと思います。
ものんくるは、バンドとしてその存在を知ってはいたのですが、本格的に関心を向けるようになってのは、波多野睦美(メゾソプラノ)&大萩康司(クラシックギター)のデュオアルバム「Calling You」にて、角田さんが編曲とベースで参加されているのを聴いたり、その編曲を用いた大萩・睦美デュオ・コンサートを鑑賞したのが直接のきっかけ。
筆者がもともとアマチュアのクラシックギター愛好家で、大萩康司さんファンですが、こういうジャンルや形式を越境した試みはとても面白いと思います。角田さんがクラシックギター伴奏用に編曲されたのは下記の作品(リンク先のAmazonのHPから引用)で、いずれもミュージカル、映画音楽、民謡などジャンル問わず取り上げられる名曲といえます。既に確立されたイメージを残しつつ、新鮮な響きや面白さを忍ばせた音楽で、この編曲が採用されたコンサートはクラシック分野の形式にありながら、アクチュアルでとても刺激的なものでした。
1.ククルクク・パロマ ~「トーク・トゥ・ハー」
2.私のお気に入り ~「サウンド・オブ・ミュージック」
3.ローズ ~「ローズ」
4.アマポーラ ~「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」
5.What is a youth(若さとはなんだろう)~「ロミオとジュリエット」
7.風のオリヴァストロ ~「AQUOS美術館 かくて名画は生まれた」
8.ムーン・リバー ~「ティファニーで朝食を」
9.イパネマの娘 ~「イパネマの娘」
10.想いの届く日 ~「想いの届く日」
12.スカボロー・フェア~「卒業」
13.アイルランドの女 ~「バリーリンドン」
16.クライ・ミー・ア・リヴァー ~「女はそれを我慢できない」
17.コーリング・ユー ~「バグダッド・カフェ」
18.また会いましょう ~「博士の異常な愛情」
このようなバンドとは別のところで行われたメンバーの創作活動でその感性の豊かさを知ったので、オリジナルの曲を演奏するバンド形式のライヴではどのような印象を受けるかとても楽しみです。(2019/10/04 岐阜・柳ヶ瀬ants ものんくる&ペンギンラッシュ「THE GIFT」)
(波多野睦美・大萩康司デュオアルバムの角田さん編曲は、ぜひ、ものんくるファンも聞いてみて下さい。)
また、参加予定の岐阜のライヴでは、対バンはペンギンラッシュで、ものんくるのバンド編成ではゲストにKuro(Cho/Electronica)、西田修大(Gt)、宮川純(Key)、田中航(Dr)が参加予定で、Kuroはフォローし続けているバンドTAMTAMのヴォーカル(シンセやトランペットも演奏するフロントマン)でありつつ、最近ソロデビューも果たしている絶好調のプレイヤー。西田修大は先に紹介した中村佳穂のバンドや、Ortance、Sticoといったそれぞれ音楽の志向性が違うバンドに参加しており、映画「ザ・ファブル」の劇伴もこなしているなど、マルチプレイヤータイプのギタリストです。しかもこの2者はかつて吉田ヨウヘイGroupで共演していた時期があり、ものんくる母体のサポートとしてどのようなプレイをするのか、個々としても、ものんくるのパフォーマンス総体としても注目です。
(KuroはTAMTAMの活動から広げてソロも開始。西田修大は、Charaや安藤裕子のバンドにも参加するなど、これからさらに注目・起用されていくであろうギタリスト。)
先程のものんくるでも紹介した大萩康司さんと、同郷(宮崎)出身のギタリストにあたる上野芽実さんのデュオ公演。このお二人はアマチュアやプロ志望の生徒にクラシックギターを教える講師でもあり、時期は違えどフランス留学経験者であり、プロデビュー以前には九州ギターコンクール第1位を獲得してきたなど、共通点が多くあります。
プログラムには、村治佳織さんがレコーディングしたことで知名度の向上した藤井眞悟氏の「ラプソディー・ジャパン」、そしてソルの「二人の友」のような頻繁には扱われないものも。また、それぞれのソロ演奏も予定されているという興味深く、お得で楽しい一時になりそうな予感。
(2019/11/13 アクロス福岡シンフォニーホール ランチタイムコンサート)
赤い公園は佐藤千明さん脱退を経て、石野理子さん加入後、CDや配信による音源リリースよりも先にツアーやMVの動画配信、フェス出演、YouTubeライヴなどで新曲が発表されていましたが、本格的な音源リリース後という意味では、「満を持してのツアー」という趣があるかと思います。
9月にリリースされたシングル「凛々爛々」、10/23リリース予定のEP「消えない」では、久々の音源ということもあって、先行で動画配信されていたものや、ポップス色の強いものがセレクトされているように思いますが、まだ未音源化でライヴ解禁のみの作品も多い状態。石野理子さん加入以前からある津野米咲さんのセンスに溢れているものや、ベースの藤本光さんが作曲したもの、石野理子さんのヴォーカルだからこそ映えるものなど、新しいバンドアンサンブルで演るにふさわしい、新しいニュアンスのものもかなりストックされているように思います。ライヴでどんなカードの切り方をしてくるのか期待は膨らみます。(2019/11/30 福岡DRUM SON 「FUYU TOUR 2019 "YO-HO"」)
ZAZEN BOYSはかなり久々(5、6年ぶりとか)にライヴへ行ける予定となりました。まぁ、初NUMBER GIRLに行く目論見は落選により潰えましたけど、それを気持ち的に挽回できるくらいライヴが楽しみなバンドです。あと、ベースがMIYAさんになってから初めて演奏を聴くので、ベースの感じは改めて要チェックですね。
それにしても、バンドアンサンブルの渋く、本質的な部分をここまで突き詰め、研ぎ澄ましたバンドもなかなかいないのでは。限りなく誤差ゼロのシンクロ率を実現してます。
そして、新曲『Amayadori』が昨年から先行解禁されてるので、今回のツアーで新曲や新アレンジも期待できると思うし、福岡DRUM LOGOSで久々のZAZEN BOYS聴けるのってなかなかエモい。(2019/12/06 福岡DRUM LOGOS 「ZAZEN BOYS TOUR MATSURI SESSION」)
Base Ball Bearは2010年頃から好きで、ライヴにも頻繁に行ってますが、今回は何気に3年ぶりくらいです。
3人編成という結論を出すことで、むしろアンサンブルが洗練され、整理され、メンバーそれぞれの引き出しは増え、やりたい音楽を理想的な形でプロットできるようになっているベボベ。
かつてと比べると小出祐介(Vo/Gt)さん自らの楽曲解説や自分語りは減り、マテリアルクラブを始動したこと、関根嬢(Ba/CS)のSticoでの活動、堀之内(Dr)さんの作曲など、メンバーに直接的/間接的な余裕や視野の広がりが感じられることからも、プロットした作品や演奏に込めた想いと、受け取られ方も整合してきたんだろうなと思います。これまでの姿勢をアップデートしつつ、聴くたびに新しい地平へと臨んでいるベボベのアンサンブルは、今回はどう響くのか!(2019/12/21 小倉FUSE 「GUITAR! DRUM! BASS! TOUR」)
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