グレーゾーンだとカミングアウトしてもいいことないよという話
私が発達障害グレーゾーンと分かったのはごく最近の事ですが、分かってから現在までの短い間でも色々思うことがありました。
その中でも特に思ったのは「発達障害グレーゾーンであるとカミングアウトしてもいいことはないな」ということです。
この記事ではそう思った理由について解説していきたいと思います。
そもそも発達障害グレーゾーンって何?
発達障害グレーゾーンとは、ざっくり言うと「発達障害の診断が付かないけれど、発達が定型ではなく、能力にばらつきがありますよ」という状態です。
能力にばらつきがあるので、普通の人が普通にこなせるものにやたらと時間がかかったり、逆に普通の人が苦手なもの・大変だと感じるものをこなすのが得意だったりします。
例えば私の場合、言語を理解する能力が高く、反対にマルチタスクをこなす等の動作が苦手といった感じです。
ざっくばらんに表現するならば「勉強はそれなりに出来るけどどんくさい奴」ですね。
(グレーゾーンおよび発達障害者の能力は千差万別であり、私以外のグレーゾーンのかたが同様の特性とは限りません。あくまでも私個人がそうであるという話です)
ただ、発達障害の診断基準を全て満たさない、診断が付かないからといって症状が軽いというわけではありません
発達障害のある人の状態には幅があり、調子の良いときと悪いときで症状の現れかたが異なります。グレーゾーンにいる人も同じで、様々な状態の人がいます。
日によっては大丈夫でも、別の日は症状が強く出ていたりする方もいます。
また、グレーゾーンには大きく分けて3つのパターンがあり、①診断域外ではあるが、診断域の境界に限りなく近い人、②調子が悪い時のみ診断域内に入る人、③ほぼ診断域内で発達障害である人と同じくらいの支援を必要とする人。
私はこの中の③にあたります。
病院の検査をした結果、診断域内の項目がありました。当日の体調は良好で、具合が悪くてそういう結果になった訳ではないので、診断域内だけど診断が下りないケースといえると思います。
カミングアウトしても社会的支援を受けられるわけではない
発達障害とグレーゾーンの違いはさほどないというのが個人的所感ですが、発達障害と診断される/されないの差はとても大きいです。
発達障害と診断が下りることで、障害者支援制度を利用するという選択肢が出てきます。
逆を言えば、診断が下りない限り、障害者支援制度の利用は不可能ということです。
グレーゾーンは診断が付かないので、障害者として認定されませんし、従ってそういった支援を受けることが出来ません。
そういった制度を利用出来れば自立できる可能性が広がるという場合であってもです。
なので、診断が付かないというのは、そういった支援を求める際は非常にネックだなと感じています。
障害者手帳の交付および、それに付随する制度が利用できない
グレーゾーンは診断書が下りないため、障害者手帳を取得できません。
障害者手帳は種類や等級が様々で、取得は任意のものですが、取得をすると障害者雇用枠に応募できたり、料金の割引や助成が受けられたり、税金の優遇を受けられたりといったメリットがあります。
個人的に魅力的だなと感じたのが障害者雇用枠です。
私の特性上(マルチタスクが苦手)、就労において苦労することが多いので、そういった選択肢があればありがたいのになといった感じです。
「グレーゾーンであることを言い訳にするな」と言われる
私の場合、普通の人と肩を並べて働いていると、苦手な分野に関しては人よりワンテンポずれたりするので、どうしても悪目立ちします。
同僚は当然の事ながらイライラしますし、私は私で「何で他の皆が出来ていることが出来ないのか」とストレスになったりします。
グレーゾーンだと分からなかった当時は、自分も周囲の努力不足(努力すれば改善する可能性がある)という考えだったのですが、グレーゾーンだと分かって、自分でも色々調べてみて思ったことは、
これ自分の努力だけじゃどうにもならないわ。
ということでした。
(私の発達特性の内容については以下のnoteに記載してあります)
とはいえ、それが事実であってもどうしようもありません。
診断が出ていない以上「障害」ではありませんし、周囲もそう取り扱うのが普通でしょう。
仮の話、ストレートに「障害ではないけど、その傾向があり努力ではどうにもならないから配慮して欲しい」と申し出て、職場において理解あるいは配慮をを得られると思いますか?
私は思いません。
グレーゾーンというカテゴリー自体、私自身友人に教えられて初めて知りましたし、社会的認知度は限りなく低いと考えています。
同様に職場のかたがグレーゾーンについて認知している確率は低いでしょうし、知らないカテゴリーについて突然話されても困るだけでしょう。
グレーゾーンというのを努力不足の言い訳にしているだけでは?
と考える方が、(非常に悲しいことに)普通の人は納得しやすく、簡単です。
私もグレーゾーンを自分のこととして理解し、納得するのは容易ではありませんでした。非当事者では尚更です。
まとめ:わりと自分でなんとかするしかない
noteでは発達障害のグレーゾーンということをオープンにしていますが、現実においてこれをオープンにするメリットって、正直な所全くありません。
なにがしかの配慮を求めるためにグレーゾーンであるとカミングアウトしても、恐らく多くの場合はグレーゾーンとしての配慮は受けられないと思います。
診断が下りない、下りないから障害者支援の諸制度を利用できない等、社会制度的にグレーゾーンというものは配慮の「想定外」であるというのもありますが、何より「グレーゾーンというものが何なのか」についての社会的認知や理解が不足しているからです。
発達障害のための支援制度はあっても、診断が下りない「グレーゾーン」のための支援というのはないので、わりと自分でどうにかするしかないのが現状です。
使える制度は使っていこうと思いますが、グレーゾーンという枠組みではなく(そもそもそういう制度はないのですが)、収入などの経済状況での枠組みや、就労支援制度等で使える制度の利用になるでしょう。
個々の得意不得意で仕事を選べる環境が整備されているならば苦労はしませんが、そういう企業はだいたいホワイト企業。就職自体が狭き門です。
定型発達しか想定していない社会環境下で、定型発達の人と肩を並べて働くしかないのが現実です。
私が出来ることと言えば、得意なことを自覚して、それにフォーカスした分野を探すこと。得意分野の出来ることを一つでも多く増やすこと位です。
あるいは、狭き門でも苦手な分野の労働をしなくてもいい環境を目指すか。
今後社会制度が変わったり、グレーゾーンに関する理解が広まれば選択肢が増えることもあるだろうとは思いますが、今のところはこんな感じです。
参考🍋