バイリンガル/トリリンガル育児の留意点
5つのMyルール
実際ハーフの子どもたちを育てるまで、ハーフの子は自然にバイリンガル or トリリンガルになるものだと思っていました........
もちろん自然にそうなる子もいるでしょうが、大抵どの言語も完璧に読み書き会話をする為には、本人や親の努力、また周りの環境、その子の性格がとっても大事になってくると思います。
私は国際結婚をして、現在ベトナムでベトナム人の主人とその両親と子供2人の6人家族で同居をしています。同居なのでネタは尽きませんが、その話はまた別の機会にするとして、やはり環境的に、ベトナムで生活し尚且つ家族の中で日本語を話すのは私だけなので、子どもたちの母国語は「ベトナム語」です。学校では英語を習い、私とは日本語で会話をするので一応3言語を日常生活で使うトリリンガルです。
子どもが生まれるまで、「ハーフの子は両親それぞれの言語をネイティブ並みに話せるようになる」って勝手に思っていました。そして、それは違うことを思い知りました。国際結婚がもう珍しくない今の世の中で、国際結婚したママさんパパさんが直面するであろうこの、子どもの言語問題。
もちろん家庭や住んでいる国によっても変わりますので、一概にこれだとは言えませんが、私が主人と話し合って出した我が家のルールをシェアしたいと思います。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
私が2人の子どもをベトナムで育てるにあたってまずしたことは、夫婦それぞれの希望を明確化する事でした。大きく分けて5つあります。
1: まず母国語を何にするか?
日本語なのか居住国の言語か、パートナーの母国語か。
これは、本当に住んでいる地域によっても変わりますよね。ヨーロッパのように3か国語4か国語誰でも話せるような環境と、アジアのようにほぼ一言語で生活している国では、また変わってくると思います。
私はベトナムに住んでいるので、ベトナム語を主人と主人の両親と話し、夫婦間はベトナム語と時々英語、子どもには日本語で話しかける3か国語(最近英語の比率は少ないですが)が混じっています。
その中で、主人と話し合ってベトナム語を母国語にすることに決めました。
2: (親として)どの程度までの日本人アイデンティティをつけてあげたいのか?
日本語ネイティブ並みに漢字も敬語も文化も習慣も全てなのか、それとも会話ができればいいのか、第二言語としての日本語力にするか......などなど今現在日本にいるかいないか、今後日本に居住予定があるのかないのか居住環境で左右される部分です。
私の本音を言えば、日本人として文化も漢字も習慣も全て日本の良いところは吸収して欲しいという想いは今でも持っています。でもそれは子供には求めていません。ただ、いろいろと夫婦で話し合い、最低限、私の日本人の両親と会って会話できるくらいの日本語力はつける、というルールを決めました。
子どもの将来を思えば、将来の可能性を増やすためにも日本語が完璧に出来た方がいいというのはありますよね。でも、私たち夫婦の考えは、
・将来的に見て今後日本よりも伸びてくるのはベトナムだろうという点。
・その次に優先度が高いのはあきらかに、英語。
・英語さえできればいいわけではないけれど、英語ができれば世界中のいろ いろなソースから情報を取れる点。
・日本やベトナムは情報操作が少なからずあるだろうと思われる点。(ベトナムは社会主義国、日本は海外から見ていると情報操作ありそうな気がします)
・小さい頃から3か国語ではなく、まず母国語をしっかりさせて意思疎通をちゃんと出来るようになってからの第二第三言語にしたいという夫婦共通の意見。
こんな理由から、日本語は日本人祖父母と意思疎通ができればいいねというスタンスになりました。
3: その子のやる気
個人差があるので、読み書き大好きな子もいれば勉強が苦手な子もいます。嫌がった時にそれでも必要だからと続けるのか否か。
これは夫婦の教育方針もあるかと思います。
我が家は、勉強よりも人間力重視。これからAIの時代で、正直勉強なんかよりも、あいさつや思いやり、生き抜く力、などの方が大事だよねという共通認識でした。
グーグル翻訳も今は意味がちゃんと通じるくらいの翻訳はしてくれますし、きっともっとこれからAIが進んだら言葉の壁問題もきっと解消されるでしょう。だったら、嫌がっているのに無理やりさせるくらいなら、好きな事をさせてそれを伸ばしてあげればいいよねっていうのが私たち夫婦の考えです。
ですので、今11歳になる息子は「ひらがなをやりたい」と言い出すまで、こちらからは無理に教えませんでした。小さい頃から読み聞かせなどは日本語の本でしたが、何度か聞いてもやりたがらなかったので、そのままにしていました。8歳の夏休みに突然、千と千尋の神隠しを観て日本語に目覚め一人でひらがなドリルで覚えました。逆に娘は5歳でお風呂に貼ってあったひらがなを毎日見ているうちに覚えていました。個人差ですよね。その子のタイミングでいいと思います。
4: パートナーの意向
これは相手の文化的背景や、パートナーとの家族との関わり合いでも変わってきますのでそれぞれに考えがあると思います。
私の主人は、やはりこれからもベトナムメインに生活をするのでベトナム人としてのアイデンティティや文化はしっかり身につけさせたいとのことで、お互い日本への移住予定もないため子どもはベトナムの現地校に通っています。ですので必然的にベトナム語メインになります。
5:子供の将来行くであろう学校などの教育環境
日本人学校の有無や海外への留学(日本も含め)などを考えているのかどうかなど。
海外に住んでいるとこの教育環境も重要になってきますよね。日本人学校が側にあるかないかで大きく変わってきます。ベトナムにも日本大使館付属の日本人学校が小学校・中学校とあります。世界中に日本人学校は存在します(2018年で世界51か国に86校の日本人学校があります。)ただ、日本は義務教育が9年ですので、小学校と中学校までしかないのがネックです。
私の周りのベトナム人+日本人カップルのお子さんは我が家を除いてみなさん日本人学校に行かれています。我が家も相当悩みましたが、ベトナム現地校にしました。
日本人学校のメリット・デメリットは
(メリット)
・日本のカリキュラムで日本と同様の教育
・日本文化なども学べる
・独学ではなかなか難しい漢字や日本の習慣も身につく
(デメリット)
・高校がない(これが理由で我が家は日本人学校は除外しました)
・4月スタートなので海外やベトナムの9月スタートに合わない(特に編入時)
・高校進学で選択肢が減る
ほかにもいろいろあるかもしれませんが、ベトナム在住のママ友さんとの最近の話題はいつもこの子供の高校進学問題です。海外の日本人中学校を卒業して高校進学となると、考えられるのは
・日本へ帰国しての高校受験(日本人学校生徒の大半は駐在員の子息のためほぼこれです)
・現地or海外のインターナショナルスクールへの進学。(ただ、中学卒業時点でインターでやっていけるだけの語学力がないと厳しいですし、日本式から海外の教育スタイルの変化へ対応するフレキシブルさも必要です)
・海外の日本人私立高へ進学。(シンガポール早稲田、ニューヨーク慶応など、ただ全寮制で学費はそれなりにします)
・現地の高校へ進学。(現地の言葉を話せないとまず勉強についていけません)
我が家の決め手は、日本人学校に「高校がない」ことでした。
我が家は小学校から高校まで一貫の現地校に通っています。大学は子供本人が希望すれば、日本に留学生枠(二重国籍のため外国人として)で留学しそこで日本語を勉強する選択肢もあるなぁなんて思っています。
個人的見解になってしまうのですが、私は現地校に入れてよかったなと思っています。日本人補習校には通わせていません。これは日本と違い、海外では保安上の理由もあり親の送迎がマストで、私や主人の職業柄毎日家にいない+義両親は高齢で送迎が頼めない、補習校が遠方であるなど様々な理由です。現地校に通わせて土日は補習校というご家庭もアメリカの友人には多いです。
正直、これはどれが正解というのは本当にないと思いますし、どのご家庭もとても悩んだりするかもしれません。
でも、一番は子供が自分の人生を楽しく、けがや病気なく生きてくれたらそれで十分なので、我が家はこんな感じで、
第一言語:ベトナム語(娘、息子)
第二言語:日本語(娘)、英語(息子)
第三言語:英語(娘)、日本語(息子)
家庭では3言語が混ざっています。
もし、今バイリンガル・トリリンガル育児で悩んでいらっしゃったら、この5つをクリアにすれば自然と、答えが見えてくると思います。