かつて猫に憧れた犬

田舎育ち都会暮らし。海と温泉を愛するアラフォー。現在は地方に住み、時々本の虫。

かつて猫に憧れた犬

田舎育ち都会暮らし。海と温泉を愛するアラフォー。現在は地方に住み、時々本の虫。

最近の記事

天井プラネット

遅くまて部屋で過ごした時は 幼い頃に姉と貼った 蛍光シールの星空が広がる 窓の向こうに本物の星が出ていて 虫の声と水音も聞こえるけど 天井に広がる星を見てると 知らない間に眠りについている 結構悪くない 天井プラネット

    • ホイップクリームみたいな波

      ホイップクリームみたいな波 しゃかしゃかボールの中を泡立てたみたいに 細かい角がたくさん立っている 台風が来てるというのに 車から見えた波を見て そんなことを考えてる 呑気なもんだ

      • 今日はとても低い位置に月が出ていた 海のほんの真上 いつもいない場所に月があって 偽物みたいだった そんな嘘みたいな月に照らされた海は とてもきれいな光の波を作っていた 見慣れない 物語のような月

        • 夏の残り

          山の間から角を出した入道雲 もこもこ白く先が尖っている ソフトクリームみたい なんて 窓から視線を戻すと 目の前に開けたいつもの景色は 秋だというのにまだ夏休みのよう 濃緑の山 乾いた道路 照り返す暑さ なんだか夏のおまけのようで 嬉しくなった

          涙と花火

          涙流してあなたの心が 軽くなるなら泣けばいい 次々溢れた頬を伝う滴たち 偽りの平気を盾にして ひとり抱えた感情が あの花火みたいに散ればいいのに 脱け殻を残した青い魚 流れる滴は鱗となって 透明な夜に咲くシャンデリア 暗闇を游ぐ赤青白の魚たち

          つばめ

          いつまでたっても飛んでいかないつばめ達が 飛んでいった 朝、おはようって親に言って、階段の下で靴下を履いていたら網戸の外を3羽のつばめが入れ代わり顔を見せるように飛んできた 網戸から外を見ると、電線に並んで停まっている中の1羽がしきりに鳴いている すぐさま母を呼び一緒に見ていたら、こちらへ語りかけるようにピチュピチュジージー あれは親だと母が言った どうやら1羽だけ、尾羽が長いらしい 巣の中に11羽もいたわけではないから多分親戚家族だねと話した 巣の中にいた子ども達

          挑戦すること

          人生において挑戦することは 游いでる最中に息継ぎをするようなものだ 息継ぎの時、心臓はバクバクして 身体が空気を吸う喜びに満ちている 挑戦をした後、身体は活気に溢れ 心は前向きになり かつての自分が懐かしいほど 今の自分は拡がっている 次元が変わるように 自分が違うステージに上がったことを知る 挑戦しない人生は 息継ぎをせずに潜り続けるようなものだ

          おじちゃんとおばちゃんが遊びに来た 前の日から来てると母の電話で知ってたけど 本当に来てくれた こんな遠い遠い神奈川からしたらすっごく遠い田舎まで 私は明日出発するし今日は早く帰って 一緒の時間をいっぱい過ごそうって思ったんだ 夜には美味しいものも食べるって聞いてたから お昼はおにぎりとオニオンスープで軽く済ましてた 5時近くなって手が震えて脱力感があって 体が熱くてインフルエンザだったらどうしようって思ったけどきっとお昼軽めにしたから血糖値が下がったせいだって なんと

          大粒の雨が 僕たちの不安をぬぐい去るかのように 灰色を流していく。 染み込んだ灰色は 大地を潤す糧となって 新しい芽を息吹かせる。

          無題

          かわいさにかこつけて 笑顔を振りまくあの子たち 高見えする服で 今度は何を望むの 自信のなさに輪をかけて いつも猫背で上目遣い 自分の殻にこもったら 次が来るたびため息をつく あの子も その子も 他人と自分を区画分け 勝手に築いた隔たりを越えて ホントはちっぽけな僕らだと知る 完璧に乗りこなしてた日々が 薄っぺらく感じたら 立ち止まらないで景色を見よう 冷たくなった体を 温めて溶かすから 重くなった世界を 塗り絵みたいに彩るから 少し現実から外れた 空想と創造の間

          一番ボタル

          母を隣に乗せてホタルの出る川まで 普段は見ない数の車 子供連れ 田んぼの角の道で脱輪した車 大階段を降りて夜店を眺める 草むら近くに 人 人 人 手作りの竹笛があちこちで鳴る みんなが見ている方向は 川向かいの茂みのホタルの群れ 高瀬舟を待つ列の間を抜けて 人々の頭上をゆるゆると飛ぶ 見上げると星が出ている 一番星と一番ホタル 見つけた

          お店の中では

          肉が卵液の中で泳ぐ ジュジュ ジュワワァ オタマがフライパンに当たる音 ひっくり返す音 かき混ぜた箸の液垂れをボールで切る音 真っ黄色のお月さんみたいに フライパンの中で卵が広がる みんな みんな 嬉しそう まな板の上のささみも 揚げられたエビフライにハンバーグも お皿の上では ハムのタオルケット ポテトサラダの枕 パスタのスプリングにハンバーグのベッド 最後にデミグラスソースのシーツをかけて 一緒に運ばれたら 「いただきます」

          午後の有休

          何もかもほっぽりだして、休みたい時がある。 やることはいっぱいたまってるけど、みなさん、ごめんなさい。今日の私は我慢の限界です。 午後から休む宣言をして、荷物をイスに置き、夏の日差しみたいな中を歩いて車に乗り込む。 もわっとあたたかな空気が体を包み、そのまま走らせると海が見えた。あー、とてもいい海。夏の色の波。 平日午後からの有休で心が元気になるなんて。 今朝の私は腰痛で、さっきまで職場で「午後からお酒飲んでジブリ見て泣こうかな」なんて言ってた。言ってた時はつまみにラ

          涙くんさよなら

          久しぶりに泣いて胸がきゅうとなる。 なんでかは多分月1のホルモンの揺らぎ。 そうだ、昔から影響を受けやすい方だった。たびたびコイツに泣かされる。丁度疲れがたまったり、色々思ったりしてる頃、普段は心の押し入れに閉まったものたちが拡大鏡を通したみたいに、ポンと目の前に置かれる。 私は閉まったはずの感情たちを久々目にして、一瞬「君たちって誰だっけ。どこから来たの?」ってなってるけど、思いや感情たちは、すっかり忘れきってる私を無視して自己主張してくる。 「ボクたちは君の心にいるよ。捨

          焚き火のような恋

          そもそも長い間一人の人を好きでいたことがない 知らない間に友達になって ある日突然いい感じになって 好きが何かもわからないまま 気づけば付き合っていた 自分がどうかもわからずに 気持ちをすっ飛ばして 楽しいが続いて いつか始まったモヤモヤから 釣り合ってたはずの気持ちも 相手が見えないまま 相手のことを知らないまま 見えてるのに 心は見えなかった 見ているようで 見ようとしなかった 知らないまま近づいて 観察して気づいて なんとなく気になって 励まして気を揉んで 嬉し

          ただ 在るだけなのに

          ただ 在るだけなのに 照らす光が強くなれば 影が濃くなり 光が弱ければ 影は薄くなる 障子の向こうの柿の木は そのままなのに そのまま 在るのに 人間も ただ同じように在るだけなのに 注目され照らされる光が強ければ 濃く写る

          ただ 在るだけなのに