【中小企業の経営者・人事・総務の方向け】男性の育児休業取得 育休取得を本気で考えよう 最後まで読めます
おはようございます。lotterです。
記事をのぞいていただきありがとうございます!
このシリーズでは、厚生労働省が展開している助成金を解説しています。
過去の記事はコチラから。
全3回でお送りしてきた男性の育休取得に関する助成金。
最終回の今回は、そもそもの育児休業制度を振り返った上で、助成金との関係を解説してみたいと思います。
とーっても長いので、小分けにして読んでください(工夫しろ)。
では!スタート!
1.育児休業の基本
①誰がとれる?
育児休業を取得できるのは、1歳に満たない子を養育する労働者です。
性別の限定はもちろんないので、男性でも女性でも取得できます。
ただ、労働契約の期間が決まっている場合は、取得するために条件が設けられています。
1 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年以上である者
2 その養育する子が一歳六か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者
この2つの条件を両方クリアしないと取得できないことになっています。
育児休業は「休業」ですので、取得している間仕事をしないわけです。
そのため、過去そして将来の一定期間にわたって雇用が継続しない場合にまで取得を認めると、有期で契約したということと矛盾してしまいます。
契約期間のほとんど仕事しないということもあり得るわけなので。
それがいいかどうかは議論の余地がかなりありますが・・・
そのほか、会社によっては取得できる条件を設けている場合もあるので、注意してください。
②どうやってとる?
育児休業は、
労働者からの請求
によって取得します。
子どもが生まれたり、産後休業が終わったりした瞬間から自動的に始まるわけではありません。
③いつ始まっていつ終わる?
そのため、育児休業がいつ始まっていつ終わるかも基本的には労働者が決めます。
自動的に1歳までと決まるわけではないですし、会社が決めるわけでもありません。
ただ、始まる日には少しだけ制約があります。
1 お母さんは産後休業が終わってからじゃないと取れない
2 開始日を希望日通りにしたい場合、開始日の1か月前までに申請する必要がある
2の場合は、正確にいうと「育児休業の申請から育児休業の開始までの間が1か月空いていない場合、会社は申請から1か月の範囲内で、育児休業の開始日を指定することができる」というものです。
別に会社は指定しなくても構わないので、2は絶対の条件というわけでもありません。また、お母さんの場合、通常は産前休業と同じタイミングで育児休業も申請するでしょうから、あまり問題にはなりません。
でも、お父さんの場合はこの点に注意です。
お父さんは制度上産前休業を取得することができないので、お子さんが生まれてから仕事を休むことになります。だからといって、生まれてから育児休業を申請すると、2のルールに従うと、開始が1か月後になってしまうかもしれないということです。
育児休業の開始日は、早産の場合には変更することができるので、早めに申請しておくことが望ましいです。
なぜ「早産の場合」と限定したかというと、
育児休業の申請や取得は「1回」しかできず、
開始日を前倒すこともできないのが原則
だからです。
労働者の都合に会社が振り回されないようにしたルールです。
でも、早産の場合は別です。労働者の都合ではないですから。
※ほかにも前倒すことのできる場合があります。
2.助成金との関係
こんな風に、育児休業は基本的に労働者が開始日と終了日を決めて、自由に取得するものです。
でも、申請も取得も1回だけ、
開始日の前倒しは基本的にナシ。
というルールです。これによって経営とのバランスをとっているわけです。
さてさて、男性の育児休業取得コースの支給には、
子の出生後8週間以内に育児休業を開始していること
という条件がありました。
この条件にはいくつか理由があります。
【実際的な理由】
1 出産直後はお母さん自身がまだ回復しておらず、育児の負担が大きい
2 出産直後に育児参加することが、育児に対する意識を育むことに効果的とされている
【育児休業制度との兼ね合い】
3 生まれてから8週間以内に育児休業を取得できるのは基本的にお父さんだけ
4 出生後8週間以内に終了した育児休業の場合、理由なしに「再度」育児休業を取得することが可能
特に4はほとんど知られていないのではないでしょうか。
8週間以内に「終了」している必要があるので、8週間以内に「開始」すればいい助成金の条件とは少し異なりますが、助成金の場合は5日(あるいは14日)以上の取得で構わないので、実際にはそんなに違いがないと思われます。
つまり、育児休業を早めに取り終えてしまったとしても、お父さんにはほとんどデメリットがないということです。もう一回取りたくなったら取ればいい。
そして、このことが、お母さんとお父さんが両方育児休業を取得することによってはじめて利用できる、
パパ・ママ育休プラス
という制度につながっていきます。
3.パパ・ママ育休プラスって?
「パパ・ママ育休プラス」というのは、お母さんとお父さんが両方育児休業を取得する場合に、育児休業の期間を1歳2か月まで延ばせる制度です。
※他にも条件はあります
活用方法についてご興味がある方は下のURLから、厚生労働省が出しているリーフレットをご確認ください。
ここでは、制度の本質について。
この制度は1歳2か月まで延長できるという期間面のメリットに本質があるわけではなく、
お母さんとお父さんが交替で
育児休業を取得することで、
主にお母さんの職場復帰を支援する
ことに大きな意味があります。
休業という仕事上の空白は可能な限り短い方が復帰には望ましいです。
また、たとえ合計の休業期間は同じでも、一度に長い期間離れるよりは、間に少しでも仕事をしている期間がある方が復帰しやすいともいえます。
しかし、育児休業は分割して取得できないため、お母さんかお父さんのどちらかだけで取得すると、どうしても取得した側に長いブランクが発生しがちです。
それを緩和するためには、お母さんとお父さんが交替で育児休業を取得し、片方だけにブランクが偏らないように調整することが必要ということです。
特に、産後8週以内に終了した育児休業がある場合、理由なく再度育児休業を取得できるわけです。
それを利用して、
・お父さんの育児への意識を高め、
・お母さんが早めに職場復帰し(お母さんが育休の間はお父さんが働く)、
・その後お父さんが再度育児休業を取得する
というおよそ日本では普及していない形態を実現することができます。
4.まとめ
ということで、この助成金は、男性労働者の育児休業取得を促進するとともに、女性の仕事復帰を支援するという意義も持っています。
それとの関係では、出生後間もない時期にお父さんに育休を取得してもらうことには大きな意味があるのです。
とはいえ・・・育児休業の開始日と終了日が従業員の自由だということに変更はありません。
なので、助成金のために出生後8週以内に育児休業を開始させるとか、5日で終了させるとか、そういうことはできないのでご注意ください。
また、育児休業を取得してもらいやすくするために、男性が育児休業を取得した場合にだけ「休業期間に賃金を出す」とか会社から「補償金を出す」とかもNGです。
ほぼ法律通りの取組みをするだけで受給できる稀有な助成金ですが、それはあくまで社会的意義が大きいからこそ。
まず第一に男性労働者の家庭環境に配慮して、育児休業の取得を促進していくことが助成金のキモです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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