井戸に焦りはこだまする。
この半年間、ずっとあることについて、そう感じている。去年の今頃は、こんな世界が待ってるとは思わずに過ごしていた。年が明けたら、渦巻くものに世界は覆われて。そんな中でも日常は続いてゆき、同時進行で誰もが命のからくりを続けている。
ときどき、深い息を吐いて、その音に耳を澄ます。それから、ゆっくりと息を吸い込んで、大丈夫、まだ体の芯まで空気が行き来してるなと確認する。何かに囚われすぎているときは、空振りだよ…と身体はサインをくれる。そう、しばらくぶりに動く井戸から水を汲み上げると