ゲーム会社に意見を伝えることの重要性とその伝え方

私もゲームは比較的プレイするほうですが、多くのコアプレイヤーは一般的にゲーム会社の人間よりも多くゲームをプレイし、現在のゲームの状況を肌で感じており、一般的にコアプレイヤーはゲーム会社の人間よりよほどゲームに詳しい存在です。ゲーム会社の中の人としてはこうしたプレイヤーの意見に耳を傾けることは非常に大事なことだと考えています。

私にとって大事なことはプレイヤーが問題としていることを社内に共有して、チーム内における問題意識を共有させることです。プレイヤーは大なり小なり、ゲームに不満を持っています。不満の内容も多岐にわたります。私のような中の人は彼らの意見に耳を傾け、ゲームをより快適なものにするため、社内に情報を共有します。

多くのプレイヤーはゲームに対する意見をSNS(日本では主にツイッター)でつぶやきます。運営側もできるかぎり耳を傾けようとはしますが、そうしたつぶやきはハッシュタグを使っているわけでもなければ定型文があるわけでもなく、リスニングツールを使っても取りこぼしがでてしまいますし、普段からまとまった数を収集するのは困難です。そうしてゲームへの意見は往々にして運営の耳には届きません。それが積み重なっていくと、運営への不満につながります。これはお互いにとって非常に不幸なことです。

どうすれば意見を運営に伝えることができるのか?

まず手始めに問題と感じていることがあれば、公式アカウントや中の人にメンションやDMをしてみるといいと思います。コロナの状況下で現在は少し難しいですがオフラインイベントで直接会って、意見を伝えるのも良いでしょう。直接会って話をするというのは非常に効果的です。

ツイッターで適当につぶやくことは別に悪いことではありませんが、深刻度があいまいですし、伝わるかわからないので、あなたが特別注目されているプレイヤーでないかぎり、あまり効果的ではないと思ってます。というのも、改善を行う場合に「どのくらいの規模のプレイヤーがその問題が重要視しているのか」というのは非常に大事な指標になります。それが価値のある意見であっても、少数の意見だとしたら採用することに二の足を踏んでしまうかもしれません。しかし、多くの人のあなたの意見にいいねしてくれたり、RTで拡散されるようなことがあれば運営にとってとても価値があります。

あなたがコミュニティの中で発言力があるのであれば、彼らは耳を傾けてくれるでしょう。しかし、そうでなければあなたは彼らから信頼を得て、あなたの意見は考慮するに値するものだと理解してもらわなければなりません。意見を伝えるにあたってお互いに信頼関係の構築することは非常に大事なことです。もしあなたが相手の視界に入っていないようであれば、まずはそこから始めてみましょう。

信頼を構築するにはどうするか?

最もわかりやすい手段はインフルエンサーになることですが、恐らくこれは大多数のプレイヤーにとっては難しいでしょう。

先に述べた通り、直接メンションするのは悪い手段ではありません。運営にとって耳に痛い言葉であっても、伝え方を間違えなければ「この人はゲームのことを考えてくれる」という認識になり、自然と目に留まるようになります。運営にあなたがゲームを楽しんでおり、問題を抱えていることを理解してもらうことが大事です。また、もし身近に既にパスを持っている人がいるなら、その人に伝えて間接的に意見を提案するのも良いと思います。

何を伝えればいいのか?

意見を伝える上で大事なことは「運営は万能ではない」いうことです。ここから少し言い訳がましくなってしまいますが、長い間解消されてない問題は往々にして運営としても対策が難しい(技術的にもしくはリソース的に)問題であり、彼らは認識していたとしても様々な経緯から問題の解消には至っていないということです。

また優先順位やそれぞれに仕事を抱えている関係で、すぐには改善できないこともあるでしょう。比較的小さな問題の場合で彼らはメインの仕事の合間にプレイヤーの意見に対処することになります。大体の場合、より具体的に伝えると効果的です。例えば「迷惑なプレイヤーがいる」では動くにしてもどこから手をつけていいか難しいとなってしまいますが、「〇〇というプレイヤーがXXという迷惑を行っている」と伝えると可能な範囲での対策を取ってくれるかもしれませんし、また意見の内容によっては何故改善できないのか、当たり障りのない範囲で事情を説明してくれるかもしれません。ただし、伝えた相手の裁量の範囲外で、プレイヤーサポートから問い合わせしてと言われることもあります。タイトルによっては運営に意見伝える方法やプラットフォームが用意されているので、その場合は指定の場所をご利用ください。

発生している問題に対して専任(SME:Subject Matter Expertと呼ばれることもあります)の人を雇えばいい、という意見をたまに見かけます。プレイヤー側からすると問題を解決することでプレイヤーのプレイ意欲の減少を防ぐことができると思うかもしれませんが、運営からすると問題を解消することで得られるメリットを想定しづらく、問題解決というのは運営からすると問題が発生してなければかける必要のないコストであり、さらにいえば売上に直接つながらず、ある程度解決するとSMEの手が空いてしまうリスクが発生する可能性もあるため、判断が難しい問題です。

もし意見を伝えてダメだったとしても残念に思う必要はありません。プレイヤーの意見の中には運営が問題と認識していない場合もありますし、そうしたすれ違いを防ぐために定期的にプレイヤー側と運営側で意識に擦り合わせることはとても価値のあることです。

運営側にできること

基本的にプレイヤーの多くは運営のこと過大評価しており、「運営は気づいているだろう」「すぐに解決できるだろう」という目線で見ています。
しかし、運営がプレイヤーと同じレベルで問題を深刻に捉えているケースはまれです。大体の場合は問題が膨れ上がり、手を付けられないレベルになるか、炎上してから初めて気づきます。それを防ぐためには運営もプレイヤー側とこまめにコミュニケーションを取り、常に目を光らせておくことが大事です。しかし、それも24/7で出来るわけではないので、問題が発生したらすぐに伝えてくれるよう常日頃から信頼を構築しておくことが大切です。

プレイヤーの意見が必ずしも正しいとは考えてはいませんが、耳を傾ける価値は大いにあります。しかし、プレイヤーの意見をないがしろにして舵取りを誤ったゲームはごまんとあります。私としては運営とプレイヤーが意見を交換し合って、より良いゲームプレイ環境を構築できれば嬉しいです。


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