甕になりたい

底が見えない甕があった

手を入れると指先はパリパリと裂けてゆく

本当の姿は毛細血管なんだと知って

みんなの身体の糸が緩む

底が見えない甕に私は浸かる

「光」がないと知って

みんながいないことを知って

1人だけと知っても

生命の樹はなにも言わない

よく晴れた日のおまじないほど効果があるものだ

私は甕に入って

1人に浸かる

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