共通テスト直前!10分で物理の点数を伸ばす【原子】〈前半〉
共通テスト1日目お疲れ様でした!
2日目は理系科目メインなので、前日にやれることはそう多くないと思います。
しかし、物理の中でも特に原子分野は『直前に見ておけば点数に直結』しやすいので、まとめてみました!
これを見つけた方の周りで、物理の受験をする人がいれば、この記事を教えてあげてください!
前半では、「高校物理における原子とは何か」を話して行きます。
全部覚える必要はないですが、ストーリーの内容を覚えておくといいことがあります。
<ストーリーで見る原子>
現代では当たり前と思われている原子構造だが、ほんの130年前ほどにはビー玉のような一つの粒だと考えられていた。原子核があり、その周りを電子がまわっていると分かったのは、ほんの100年前の出来事なのである。
19世紀、夜の街に輝き、色とりどりな光を放つネオン管は空中放電することにより光を発し、封入する気体の種類によって色が決まる。トムソンはこの封入する気体を抜き、真空に近づけると陽極側のガラスに黄緑色の光が現れることを発見した。この原因となる陰極から飛び出る何かしらのものを陰極線と呼び、偏向板を用いて電圧をかけると曲がることから、比電子(e/m)を求め、電子という存在を証明するに至ったのである。
さらに、ミリカンはこの電気素量(e)を求めるために、油滴実験を用いた。帯電させた油滴を極板間で落下させ、その速度をいくつか計測し、計測が難しい質量(m)を連立方程式により削除、それぞれに帯電している電気量(q)を求めた。電気素量(e)は電子1個あたりの電気量であり、油滴に帯電している電荷量は電気素量の整数倍ではないといけないことから、最小の電気量:電気素量(e)を求めた。
ここから原子に関する研究は大きく進歩していく。
金属板に光を当てると、電子が飛び出てくることが分かった。この現象を光電効果と呼び、飛び出した電子を光電子という。高校物理をやってきたみなさんは、光は波(電磁波)であると認識しているはず。ところが、光が金属板に当たって光電子が出てくる光電効果の説明は波の知識だけでは説明がつかない。そこで、アインシュタインは「光は波の性質だけではなく、粒のようなものである。」と考え、これが光量子説である。波は連続的なもので、ぶつ切りに考えることはできないのに対し、粒子は1つずつ数えることができるものであり、特に光の粒を光子(光量子)と呼んだ。光子ひとつが持つエネルギーはプランク定数(h)と光の振動数(ν)を用いてE=hνと表せる。
あくまでイメージの話だが、金属板に存在する自由電子を外に出すためには、原子核から引き離すためのエネルギーが必要であり、当然、そのエネルギーは金属の種類によって変わる。この、金属板から電子(光電子)を飛び出させるのに最低限必要となるエネルギーを仕事関数(W)と呼び、金属の種類に依存するものである。つまり、光電効果が発生するためには光子のエネルギー(E=hν)が仕事関数(W)より大きくないといけない。仕事関数(W)は金属による定数であり、プランク定数(h)も定数であるから、光電効果が起きる条件は光の振動数による。これを限界振動数(ν_0)という。hν_0=Wから分かるように、限界振動数はWのみに依存、つまり金属の種類によってのみ決まるものである。
光子のエネルギーが仕事関数を上回り、光電子として飛び出たとき、余ったエネルギーは光電子の運動エネルギーとなる。当然、光子のエネルギーが仕事関数より下回っていれば、光電効果は起きない。
光電効果が起きるように光の強度(単位時間における光子の数)を一定にしたまま、飛び出た光電子に電圧をかけることによって、様々なことがわかるのである。例えば、光電子が飛び出た方向に加速するように電圧を十分にかけると、ある一定の電流(I_0)から変動しなくなる。これは、光の強度が一定の為、単位時間あたりに放出される電子の数に限りがあるからである。このことから、電流(I_0)を求めると光の強度を求めることができる。光の強度とこの電流は比例しているから、光の強度を半分にすれば、電流も半分になることが予測できる。
一方で、飛び出す光電子に対して逆方向に電圧をかけると電流(I)は徐々に下がり、阻止電圧(V_0)で電流は流れなくなる。光電子の最大の運動エネルギーは、光の振動数(ν)によって決まる光子のエネルギー(hν)から仕事関数(W)が引かれたものであり、電圧差を上り切るために必要なエネルギー(eV_0)と同じになる。このことから、阻止電圧を計測すれば光電子の最大の運動エネルギーを求めることができる。また、光電子の最大の運動エネルギーは(K_max=hν-W)光の振動数によるものであり、阻止電圧もまた光の振動数によってのみ決まる。(eV_0=K_max=hν-W)
最後に、X線の発見の話をしよう。レントゲンが見つけた、陰極のフィラメントから発せられた熱電子が陽極のターゲットにぶつかることで発せられる電磁波をX線と呼び、この発生したX線の最短波長(λ_0)は、先述の話とほぼ同じで電場によって与えられたエネルギーが電磁波の振動数(fとしたら)eV=hfで表すことができ、波動の性質(v=fλ)を光の領域で考えると光速(c)を用いてc=fλとなり、代入することでeV=h*(c/λ)で求めることができる。最短波長から連続的につながる連続X線とある波長において強いX線が出る固有X線に分かれる。このグラフの形はそのまま記憶しておくと良い。