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ご挨拶

いつも興味深い記事を読ませていただき、ありがとうございます。

なかなかコメントできないながらも楽しく拝読していたのですが、しばらくnoteにアクセスする時間を取れそうになく、”スキ” など、何の反応も示さなくなるかと思いますが、ちゃんと生きていますw

また時間的な余裕ができましたら、皆さまの記事を読むことを楽しみにしております。

この記事につきましても、お返しが難しいと思いますので、スキ・コメントはお気遣いなく!

どうか、お体に気をつけてお過ごしください。

Loris M.



イタリア滞在記Ⅲ

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6月5日(月)

■kaekoikさん、
コメントありがとうございます。

『色々な野菜を炒めて煮たやつ』は、ラタトゥイユという名前でしたね!
以前どこかで聞いたことがあるはずなのですが、日常的に使わないと忘れてしまいます...

黒トマトは、実は僕も、この日に初めてその存在を知りました。
ずっと昔から食べていたみたいですが、ほとんど料理の手伝いをしないので、見かける機会がなかったようです。
こちらのスーパーマーケットには、これ何だろ? と思うような野菜や果物が売られていることがありますが、案外すでに食べたことがあるものなのかもしれません。

スーパーマーケットといえば、トマト関係の商品(?)は本当に種類が豊富ですね。
ホールトマトを使うかカットトマトを使うかで仕上がりが異なる、というのを聞くと、その理由に納得がいきます。
ちなみに、ダッテリーニも美味しいですが、”cuore di bue” という、ひだのあるトマトも美味しいですよ。友人曰く、サラダ用のトマトだそうです。

さくらんぼは、目算ですが750gずつ、友人と小競り合い...じゃなかった、仲良く分け合って食べましたw

前日から二日連続で断続的に雨が降ったため、うちの35歳児が、
「川の水、溢れるかなぁ?」と、目を輝かせながら始終そわそわしている。
そこで、この日は所用で忙しかったが時間を見つけ、近所の川の様子を見に行くことにした。

水位は低いけれど二週間前の洪水の痕跡が残っている。

洪水の痕跡といえば、詩のプライベートレッスンが二週間延期になった。
先生ジョヴァンニの学校の所在地が、最も被害を受けた町のひとつであるラヴェンナなので、もしかしたら...とは思っていたけれど。
水害の影響でCILSもDITALSも、全ての試験がリスケになり、調整が大変だという。
そんな状況なのに、学校とは関係のない僕のことを覚えていて、連絡をくれたのはとても嬉しい。今度彼に会ったとき、お礼を言わないとな。

それにしても、約三か月の滞在期間中の主な予定が、全て滞在後半に集中することになるとは...

ちなみに、この日食べたものの中で一番美味かったのはこちら(↓)

仔牛のステーキ

6月6日(火)

■kaekoikさん、
コメントありがとうございます。

ミニトマトを育てていらっしゃるのですね!
僕は子供の頃、枝豆を育てたことがありまして、ふだん皿に乗っているものが生えてくるのを見ると、不思議な感じがしたことをよく覚えています。
収穫したものは、自分で育てたということもあり(水やりは8割方、母と祖父がやっていましたが…)、いつもより美味しいような気がしましたw
ミニトマトの収穫、楽しみですね。kaekoikさんは植物を枯らしてしまうタイプではないと存じますので...どうか天気に恵まれますように!

今回、作詩...というか、詩の理論的なことを教えてくれる先生には、試験準備など、困ったときにお世話になっておりまして、きっと「あいつ、また変なこと始めたな...」と思われていることでしょうw

YouTubeで、日本の大雨や洪水、高気温のニュースなどを耳にしました。先日は九州南部で激しい雨が降ったとか...
Kaekoikさんも、お体に気をつけてお過ごしください。

とてもいいことがあった。
リビングのセンターテーブルに置かれたチェス盤上の駒と、譜面台に乗せた楽譜が見えるようになったのだ。本は少し前から普通に読めるようになっていたけれど、この二つを取り戻したことにより、灰色の世界に色がついたような感覚を覚えた。

おぉ主よ、心から感謝いたします。もうこれ以上、望むものは何もありません...

...なんて。この僕が思うわけがねぇ。
視力が戻ったのはよかったけど、これから一生、明るいところではサングラスや光量調節用の眼鏡をかけていないといけないのか?
海で泳ぐときはどうすんだよ。
...まったく。万能なんだったらさぁ、小出しにしないで一気に解決してほしいんだよね。
まぁ、昨日(6/6)は久しぶりにすげぇ楽しんだから、一応「ありがとう」とは思っておくけど...

...とはいえ。日記映えする予定は全て先送りになったため、日々の雑用や滞在中にやらなければならないことをこなす毎日が続く。
この日はファエンツァにある中華・日本料理レストランで夕食をとった。

一か月ぶりに見る印刷された日本語。
ひらがなで書かれていたのでアンドレアに読ませてみると…「おととい」。二番目と三番目の文字はどう見ても同じじゃないし、『お』しか合ってない。しかも、『おととい』なんて単語は教えていないのに、一体どこで覚えてきたんだ?
この日食べた中で一番美味かったものは二人共通して、寿司。
僕は海老、
アンドレアは炙りサーモン。
造りが雑だけど、いくらも美味かった

ちなみに、僕もアンドレアも、生の魚は食べられない。


6月7日(水)

■kaekoikさん、
コメントありがとうございます。

『「視界が開けた」あるいは「視野が広がった」ときは、気持ちまで明るくなる』というのは、おっしゃる通りだと思います。
kaekoikさんの記事で『伊勢物語』に触れたことがイタリア語詩を始めるきっかけでしたが、あのときのことは一生忘れないと思います。今までずっと “何か” を探していましたが、まさに “これだ” と感じました。

外国語の習得は、本当に難しいですよね。
昨日は日記にあのようなことを書きましたが、僕も、彼の「おととい」を笑うことはできません。というか、今日、しっかり逆襲されましたw

今日の昼食は近所のレストランで。アンドレア、アンドレアの友人・リーノ、僕の三人でテーブルを囲んだ。ちなみに、僕がリーノに会うのは今回が初めて。

プリーモ
トマトソースとバジルのタッリョリーニ。テーブルに届いたとき、量が少なすぎて衝撃を受けた。美味かったけど。
セコンド+コントルノ
鶏肉と野菜を細かく切って焼いたやつ+野菜をぶつ切りにして焼いたやつ。これはガチで美味い。ちなみに、一番美味しかったのはズッキーニ。ペペローネも捨てがたいけど。
ドルチェ
チーズケーキ。写真では黒っぽく見えるけれど、実物は食欲をそそる紫色。生クリームが添えてあれば満点だったんだけどなぁ

食後、レストランの駐車場でリーノと別れ、アンドレアと二人フォルクスワーゲンに乗り込む。家へ帰る前にバールへ寄ろう、ということになり、車が走り出すと僕は切り出した。
「...あいつ、僕が話してるときに、内容とは関係なく笑ってたよな」

「そうだね... でも、そのあと君のことsimpaticoって言ってた」

「...お前も僕の隣で、あいつと同じタイミングで笑っただろ。横目でしっかり見てたからな」

「うん... 俺も君のことsimpaticoって思ったんだ」

「...いまさら教科書の1ページ目に出てくるような形容詞について質問するのもアレなんだけど、なんなの、simpaticoって?! みんなそうなんだよ! 初対面のやつはどいつもこいつも、僕が喋るとみんなおんなじ表情で笑って "Come sei simpatico!" って言うんだ! 僕のイタリア語は完璧だったはずだ! 何がそんなにおかしいんだよ!」

「もちろん! 君のイタリア語はいつだって、冠詞が間違っていることを除けばイタリア人が話すよりも正確だ。でも、ほら、子供が大人の口調を真似するとおもしろいだろ。それで...」

「僕は子供じゃない!」

「わかってるよ。君の言う通りだ。でもね、俺と君は12歳離れてるだろ。だから、やっぱり君のことが幼く見えるんだよ。ましてや彼は君より20歳以上も年上なんだ。子供っぽく見られても仕方ないよ... それに... なんて言うか、君の話し方、アニメのキャラクターみたいだから...」

「...声がこんなだから、ってこと?」

「まぁ、それもあるけど... ローリス、colazioneって言ってごらん」

「...なんで」

「いいから」

「...colazioneコらチオーネ

「WWW WWW WWW」


6月8日(木)

■kaekoikさん、
コメントありがとうございます。

僕が高級レストランへ行くことはまずないので(人生の中で一度しか行ったことがありませんw)、6/7(水)の料理も実はカジュアルなのですが、とても美味しかったです。

kaekoikさんのイタリア語学習ルーティンを教えていただき、とても参考になりました。ニュースを聞いて音読なさっているのですね。
自分は、最近はともかく、以前は “ニュースを読み、それを文章で要約する” というのを毎日やっていました。
振り返ってみると、読み書きに特化した学習ばかりを行ってきたような気がしています。やはり、意味をとるだけではない、純粋なリスニングや音読に重点を置いた訓練をしないと、変な発音は直らないでしょうね...
ただ、僕は言語の種類にかかわらず、音声を聞いていると眠ってしまうので、何かいい方法を考えないと...w

おっしゃる通り、"colazione" で笑われるのは、"l" が "r" に、”zi” が “ci” に聞こえるためです。
ちなみに、自分が ”Grazie” と言うと、みなさん満面の笑みを返してくださるのですが、その理由はおそらく...

■りんどんさん、
コメントありがとうございます。

橋脚は今でも通行止めになっていまして、完全に詰まった左側を何とかしようとしている最中かと思われます。
早く元に戻るといいのですが、まだまだ先は長そうです。

『サンマやアジの寿司は美味しい』...
生の魚を食べたことがないのですが、りんどんさんがそうおっしゃるなら...
イタリアで食べるよりも日本で食べたほうが絶対に美味しいと思いますので、帰国したら挑戦してみようと思いますw

外国語学習には発音の問題がついて回りますね。
実は昔、自分が喋っている音声を録音して、それを聞いたことがあります。
正直、「みんな、よくこんなのが理解できるな...」と思いましたw
あれから10年。少しはまともになっていることを願うばかりです。
また録音して聞いてみれば一目瞭然なのでしょうが...勇気が出ませんw

朝から天気が良かったため、朝食を近所のバールで買い求め、景色のいい場所で食べることに。

ここで食べた。
僕たちの他には誰もおらず、風もないため、鳥のさえずりだけが聞こえてくる…

バールで買ったホットドッグを車に乗り込んだ瞬間に食べてしまったので、ここではアンドレアから半分わけてもらったサンドイッチを秒で食べ終え、蝶を追いかけていた。
すると、ふと、あることを思いつき、それをスマホのメモ帳に打ち込む。
そして、クリームの詰まったカンノーロを食べているアンドレアの元に戻ると、
「ねぇ見て。ストルネッロ作った」と、彼にスマホを差し出した。

Oh, farfallina,
volteggia con la nivea gonnellona!
Sei tu la più legger principessina.

「どう?」
やつにそう聞いてスマホを引っ込める。

「音節もアクセントも韻も完璧だね。Bravissimo!」

「...この詩、好き?」

「うん、いいと思うよ。最後のprincipessinaがかわいらしいし、niveaなんていう言葉をよく思いついたなと思う」

「...詩としてどう思うか聞いてるんじゃなくて、主観的に好きかどうか聞いてんの」

「うん、好きだよ」

「...そう。あのさ...前にお前が言ってた出版の話...あれって、小さくて薄い本でも別にいいんだろ」

「もちろん」

「著者名はさ、本名じゃなくても大丈夫なんだよね」

「うん。ペンネームを使えばいい」

「内容とかタイトルは僕が自由に決められる?」

「少しは編集者と話をしないといけないこともあると思うけど、大体は君の自由にできると思うよ。どうして?」

「...それだったら、やってみてもいいかな、って思って」

「...本当に?」

「うん」

「じゃあ俺は編集者と話を進めておくから、君は原稿に取り掛かってね」

午後はアンドレアの友人・グイードに会うため、カザルボルセッティへ行く予定だ。
本当は先週会いに行くはずだったのだが、急に向こうの都合が悪くなったとのことで延期になった。しかし、今日の昼過ぎ。グイードから、
「うちの猫が、いつもは俺のベッドで寝てるのに、今日はクローゼットの中で寝ててさ。いなくなったと思って探してたから寝られなかったんだ」と、またしても延期を仄めかすような連絡が来た。

しかし、アンドレアはこう返す。
「うちもローリスが、いつもはソファで昼寝するのに、今日はチェス駒の上で寝ててさ。顔中に跡がついていて大変なんだ。でも、来週は行けないから今日行くよ。君に頼まれていたものを渡さないといけないし」

...前半は言わなくてもよかったんじゃないかな。

そんなわけで、午後3時前。フォルクスワーゲンに乗り込み、カザルボルセッティへ向かう。
夜から仕事に行かなければならないグイードはギリギリまで寝かせておくことにして、途中、散々寄り道をした。

川を見て…
コマッキオの中心街を散歩して…
コマッキオの観光スポット "Trepponti"
ショッピングモールのフードコートで…
アペリティーヴォ!

寄り道を終えてグイードの家に押し掛けると、彼はちょうどベッドから出たところだった。
僕が彼に会うのは約9か月ぶりだ。9か月もあると、人は変わる。時として、息を呑むほどに。だから、Ciao! Quanto tempo! と挨拶するより先に、つい言ってしまった。
「お前、アンドレアより腹出てるな」

グイードの家に上がり雑談をしていると、二人から「君も十数年後にはこうなる」としつこく脅された。

その後、グイードの職場付近のレストランへ。
先の出来事に少し恐怖を感じたので、夕食はこれだけ...

insalatona
食った気しねぇ

6月9日(金),10日(土)

■kaekoikさん、
コメントありがとうございます。

イタリアには小さな出版社がたくさんあり、そこの関係者と知り合いだったりすると、比較的容易に本を出すことができます。
noteでブログを始めて今年の秋で2年になりますので、何か記念に残ることを… と思い、挑戦してみることにしました。
まだ原稿の元になる旅行すらしていない段階なので、どうなるかはわかりませんが、おそらく旅行後にイタリア語で執筆、それを日本語に翻訳したものをnoteに載せ、今年の秋にイタリアへ戻った際に出版… という感じになると思います。
少しでもいいものができたらいいな、とは思いますが、まぁうまくいかなくても、いい思い出にはなるでしょうw

自分や家族・友人の顔はしょっちゅう目にしますので、その変化には気付きづらいですが、やはり誰でも時と共に変わっていきますね。
変化を楽しみながら生きていきたいとは思いますが、正直、避けたい変化もありますw
そんなわけで、最近、僕は寝る前に腹筋を始めました… 一度につき20回ですけど…w

『心の若さ』には、好奇心と探求心が大きく関わっているような気がします。ということは、Kaekoikさんはいつまでもお若いままでしょうね。

この二日間はアンドレアの仕事も女の子との約束もなかったので、ずっと彼と一緒に遊んでいた。

9日(金)。日中は二人でピアノを演奏したり歌をうたったりして過ごし、夜はルイージの家でピザを作って、三人で食べた。

カボチャの花
ピッツェリアではあまりお目にかからないトッピングだけれど、とても美味しい。
瓶詰カルチョーフィ
初めて食べたときは、なにこれ、まっっっず!…と思ったけれど、今では大好き。
トッピングの一部をサラダにして食べた
ピザ生地
全部で12個あるということは… 一人4枚…??
伸ばされたピザ生地
一枚目は練習用。
焼いてる途中のディアーヴォラ
焼いてる途中の "カボチャの花&カルチョーフィ"
ディアーヴォラで練習したはずなのに、ちょっと焦げてる…

三人で8枚のピザを食べたあとは家に帰り、アンドレアと二人で朝方までチェスをしたり、半分寝ながら映画を観たりした。

10日(土)。いつもより遅く起き、朝食兼昼食をとりに車で出かける。

【プリーモ】
ボンゴレ・ビアンコ
スカルペッタ用(?)のパン
【セコンド】
焼魚(スズキ)
【コントルノ】
サラダ
アンドレアのコントルノを半分貰った。

食後はドライブ。

ラベンダー畑
僕が日本に帰るまでにラベンダーのはちみつができるといいな。

ドライブを始めて秒でアンドレアが疲れてしまったので、バールに寄る。

ペンギン…??
バールそばの小麦(?)畑

バールを出て、ベルティノーロへ向かう。

ベルティノーロ中心街の広場から撮影
高い所から家や車を見るとミニチュアみたいでおもしろい
景色を眺めたあとはジェラートを食べた。
mirtillo nero e fior di mora

ジェラートを食べたあと、帰路につく。
途中、教会の駐車場に車を停め、前日の夜に二人で寝落ちしてしまい、中途半端になっていた映画の続きを最後まで見た。

ティッリョの香りと共に…

6月11日(日),12日(月)

■kaekoikさん、
コメントありがとうございます。

『本が名刺がわり』というのは、友人にも言われました。あまり変な名刺を作らないように頑張りたいと思いますw

日本の初夏もとても美しいですが、イタリアのこの季節も素晴らしいです。(特に果物が)
ベリーかどうかは分からないのですが、先日、桑の実を初めて食べました。公園の木になっていたやつですけど...甘くて、とても美味しかったです。

先日投稿したつぶやきの短歌『てとてとが となり合わせの 名の花よ(…)』は、noteでフォローさせていただいている方が少し気になる投稿をされていたので、その方を想って詠みました。
解説... 少し、というか、かなり恥ずかしいのですが、ご説明させていただきます。
リンデンの「テ」を「ト」に変えると、その方のクリエイター名になるのです。
「たちつてと」では、「て」と「と」は隣り合っており、また、リンデンの花びらが指、花が手のように見えたため、『てとてとが となり合わせの』としました。
ロジックが破綻しており、大変申し訳ございません...
しかしながら、僕の力ではこれが精いっぱいでした...w

■ムーンサイクルさん、
コメントありがとうございます。

コメントを拝読し、写真を見返してみましたが、おっしゃる通り、赤レンガと木々の濃い緑はよく合いますね!
どれもこれも美味しくて、そちらに気を取られ、危うく見逃すところでした...w

11日(日)。この日、アンドレアは女の子との約束があり、忙しかった。
しかし、彼はどんなに忙しくても、一日に一度は僕を散歩に連れて行く。将来、犬を飼うことがあれば理想的な飼い主になれるだろう。

そんなわけで、朝食後。ファエンツァの公園へ出かけた。

昔の電車
かっこいい!
白孔雀
普通の孔雀

12日(月)、午前5時半。
アンドレアが実家の母親から呼び出された。彼の父親が、一瞬だけれど気を失って倒れ、頭を打ち、救急病院に運ばれたという。

同日、午前11時頃、病院へ行ったアンドレアから連絡が来た。
頭部の傷を3針縫い、いくつかの検査をした結果、今日のところは帰宅できる、とのことだった。
ただ、心臓にちょっとした異常があり、今週の金曜日に心臓専門医で再度検査を受けなければならないらしい。

去年も同じようなことがあった。ただ、アンドレアの父親にではなく、やつの母親に。
彼女は気絶して頭を打ったわけではないけれど、心臓の不調で病院へ運ばれたのだ。

僕とアンドレアの年の差は12歳だけれど、僕たちの両親には20歳の年の差がある。僕の父さんは49歳、母さんは50歳だから、アンドレアの父さんも母さんも大体70歳だ。
70歳くらいになれば、誰にでも体の不調はありそうなものだけれど、両親揃って “心臓” ってことは、アンドレアもあまり心臓が強くないのかもしれない、と思ったりする。

でも、両親共に70歳でも生きてるし、あいつの母さんは薬を飲みながらだけど、普通に暮らしてる。父さんだって、ちょっとした異常はあるかもしれないけれど、きっと薬を飲めば普通に暮らせるから、まだ生きられるだろ。だから、アンドレアだって70歳以上までは生きるよね。

あいつが70歳になったら、僕は58歳。
僕の母さんは孤児だから、母さんの血縁者がどんな病気になったのかとか、何歳まで生きたのかとかは分からない。でも、父さんの方はみんな短命だ。だから、たぶん僕は60歳くらいまでしか生きられないはず。
僕が60歳になったら、あいつは72歳。余裕を見て75歳まで生きてくれたら、あいつの死ぬところを見なくて済む。

...なんとなく大丈夫そうだな。

もうあいつを怒らせたり心配させたりするのはやめようと、ちょっと思ったけど...やめた。

正午。両親を実家へ送り届けて戻ってきたアンドレアと共に、近所のレストランへ昼食をとりに出かけた。

ペペロンチーノ
コトレッタ&焼いた野菜

食後、アンドレアが、
「ドルチェ、どうする?」と聞く。
僕は、
「いらない。お前も食うな。また太るから」と答えた。


ところで、次回から先に掲載したフェイク記事『星とバラのソネット_1』に秘密基地を移すことにする。

イタリア滞在記Ⅲ
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