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おごれハンバーガー


今日、夜中の九時、自宅から歩いて三十分くらいに住んでるの年下の友達から連絡が来ました。明日提出の小論の課題にやっと取り掛かろうとした時です。
何やら、停電が起きたらしくパソコンでやっている課題の提出ができないので私の家のWi-Fiを使わせてほしいとのこと。今はコロナで店も閉まるのが早く、カフェも開いてないところが多いので同情していいよと答えた。そしてその友達は私の家の場所が分からないので近くの公園まで迎えに来てほしいと言った。
驚きました。 お前は家に何回も来たことがあるはずだと。
まあ、確かにいつもその公園で集まり、談笑しながら私の家まで歩くのがお決まりでしたので道を覚えていなかったのかもしれません。しかし今回は平日の夜、遊ぶわけでもなく、Wi-Fiを貸してほしいと言ってきたその口でです。正直イラッときました。
今思えばこの時住所を教えてお前が直接来いと言えばよかったのでしょう。しかし頭が回りませんでした。
中途半端にお人好しな私はコートを着てフードを被り雨の中家を出ました。傘は先日なくしてしまった上、外に出る機会も最近はあまりないので新しく買うのを忘れていました。雨はそれほど強くなかったのが幸いでした。道中、また勉強に対するやる気が出ない理由が増えたとかくだらないことを考えました。課題が終わらなかったときの言い訳が増えたと。
  ちなみに集合場所の公園は比較的大きく、公園の反対側まで行くのに五分かかります。
雲行きが怪しくなってきましたね。
二十分ほど歩き、公園に着きました。寒いです。
着いたよと連絡の返信は、此処まで来れますか?と公園の反対側のバス停の写真を送ってきやがりました。
うーん死ねと。
ワタシ、コマッテルトモダチタスケルと心に言い聞かせ、バス停まで行くことにしました。少し早歩きで、三分ほどでバス停に着きましたが誰もいません。
おっとぉ?プルルルッ 電話が鳴りましたよ。
出ると少しキレ気味の声。どこにいるのかと。
てめえが指定したバス停だよクソ野郎といいそうになりましたがグッとこらえて、自分がいるバス停がある交差点を伝えました。
そこで待っててと言われたのでバス停のベンチに腰を掛けて少し頭をクールダウン。
しばらくすると、視界の端に車が止まりました。その中から私の友達の声がします。
あれ?どうやら、友達の同居人が車を出してくれたようです。
此処で一言。
え?私の家知ってるよね?
そうです。その友達の同居人は私が今の家の家に引っ越すときに車を出してくれた方なので、私の家の住所が車のナビに入っているはずです。
色々疑問はありますが、車に乗り込みます。
聞けば初めは歩いていくつもりだったが、急遽車を出してもらえることになったとか。先に言えや。私がここまで歩いてきた意味は?
車の中では、いきなり停電で大変だったとか、お前の住んでる地域はなんで平気なんだろうとかそんな話があがりました。 
ここで少し違和感を覚えました。正直私の機嫌は悪かったです。が、それの違和感の正体には気づきませんでした。
家に入れ、手洗いうがいをさせます。コロナですからね。
友達が課題をやっている間(提出するだけと思っていましたが終わっていなかったようです)、私も課題をやろうとしましたが、どうも人と一緒に勉強するのが苦手な質なのでパソコンを開いても頭にまったく入ってきません。
仕方がないのでなにかつまめるものをと、自粛期間で培った料理スキルを発揮することにしました。
ジャガイモをフライパンに薄く敷いて両面をよく焼きます。その間、別のフライパンに半額で買ったオリーブ油とみじん切りのニンニクを入れ、トマト、ベーコン、ブロッコリーを入れ炒めます。
最後にジャガイモの上に乗せれば、あらやだ。なんちゃってジャガイモピザの出来上がりです。
ワタシ料理ウマいというマウントがとれる上に、これはおいしいの言葉が頂ける…!とか感謝の言葉目当てでテーブルに置きました。
食え、と。
褒めたたえよクソ野郎、と。
結果としては、一口二口しか食べなかったうえに、無言でした。 
...ま、まあ夕食のあとでしょうしね。ちょっと押しつけがましかったかな?とは思いつつも、まずいはずはなかったので恐る恐るおいしいよね?と聞きました。
トマトに味がついてない、だそうです。
舌狂ってんのかてめえと、味覚障害疑いで検疫所ぶっこむぞと。
思いましたが、優しい、優しい心で黙ってました。
ちなみに余った分は私がおいしくいただきました。
大変、おいしくいただきました。
まあ一年以上の付き合いなので会話もそこそこ弾みます。会話は、楽しかったです。まあ言葉の端々に毒は混ぜましたが。


その結果お前は毒が多いと言われました。
うぅぅうん 混ぜてるんだよぉおおおおお。
気 づ け ☆


  日が変わる少し前、課題が終わったようです。
よかったですね(棒)
飲み物を所望してきやがりました。
あいにく炭酸ジュースはなく、私秘蔵のドラフトビールしかなかったのですが正直私も呑まなきゃやってらんねえと思っていたのでそれを出すことにしました。
そのビールはIPAでお前がいつもより呑んでるのよりたぶん苦いよと言ったのですが関係ねえおれはビール好きだから平気だといってコップに注いだビールを一口で飲み干し、苦くねえとかと抜かしやがりました。
楽しみ方は人それぞれなのであまり強くは言えないのですが、そのビールは私にとっても初めて飲むもので、値段も私にとっては少し高めのものでした。
まあ、これは人にあげた私が悪いのでなんも言えません。
後日同じものをおいしいつまみ(自作)と共にいただきたいと思います。

午前零時を少しまわったころ帰る友達を見送ります。
さて、課題やりますか…。

 いやいやいやちょっとまてクソ野郎と。


私への感謝の言葉は?君の課題の危機を救った救世主を褒めたたえないの?
そう、私は今回ありがとうもごめんも言われてません。
器が小さい奴だなと思いますか?
私自身、お礼の言葉を欲しがっている自分が少し嫌でした。
しかし、あえて言いましょう。
ちっせぇよ。それでいいよ。だってむかつくし、わりにあわねえもん、と。
その友達をぶん殴りたくもなりました。
お礼の言葉一つ言えないのはだめだと言った方がいいかとも思いました。
そいつと私は別に先輩後輩というけでもないので上下関係とか一切ないのですが、礼儀ができてないのはたとえ友達でも人として駄目だろうと。
しかし、私は怒るのが苦手で、強く怒ることもできません。それに私が本気で怒ったところでこいつはちゃんと聞くのだろうかと。
だから、私は
「次会ったときハンバーガーをおごれ。Lサイズのポテトをつけて」
と、言いました。
お礼が言えないならブツをよこせと。
私は器がちっせえからなぁああああああ!!
開き直りました。
彼は嫌そうな顔をしました。
そうじゃないよぉ、君が一言お礼言えればこんなこといわないんだよぉ。
たぶん彼はこれからも私を度々ムカつかせるのだろう。私だけじゃないだろう。
そのたび私は一つ貸しだとハンバーガーをせびるだろう。
つぎやられたらぶちぎれるかもだけど。

でもね、私は、お前に

私なんかよりもっと怖い人に怒られてほしい。

      (その方が心に刻まれるしね)
涙を流してほしい。
      (できるだけ盛大に。写真撮るから)
親しき中にも礼儀ありてうのをみをもって知りやがれと。
      (萎んでるお前をニヤニヤにやつきながらなぐさめてやろう)
私の優しさに気づけと。  
      (ワタシクソヤサシイ。オコルノメンドイワケジャナイ)
あ、あと料理うまいでしょ?私
             (わりと自信作だったんですが…)
おいしいよな? な?(圧)


そして怒ってくれる人のありがたさをしれと。





だからそのときまではハンバーガーをおごってね。

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