私の推しは師範
比喩ではない。本当に師範なのだ。
大好きなあの人の惚れ惚れするようなアクションにビビりながら、彼が久しぶりに演じるコメディ作品に湧いた前作から2年。約半年の公開延期を経て、ついに『ザ・ファブル』の新作が公開された。
奇しくも公開の半月前にゼミの発表があった私は、師範と呼ばれる彼のアクションについて研究し、当作品を扱った。
学問なのか趣味なのか、グレーゾーンを存分に楽しむことができる演劇学専攻なので、伝えられる限りの岡田師範の魅力を研究した。
好きになった頃から、ストイックに格闘技を追求する彼だということは知っていたが、やはり『ザ・ファブル』を観ると気迫が違う。
「この映画で日本映画のアクションに革新をもたらすんだ!」という主演の強い意志が感じられた。
そのためにアクションに出会った20代のあの頃からトレーニングを続け、インストラクターの資格も3つ取得した。今では共演者の指導も行っているという。間違いなく、ジャニーズ事務所所属勤続26年目の普通のアイドルではない。師範という肩書きはまさにしっくりくる。
どこまでもストイックで隙のない彼のことはもちろん尊敬もするし愛しているが、一方でこの「ファブル」と呼ばれる主人公・佐藤アキラを演じている姿を見ると、ふとした表情や仕草に遊び心と素朴な純粋さを感じてしまい、格闘家の岡田師範は40歳の少年・じゅんいちくんとして愛おしく思える。やっぱり彼のファンはやめられない。
自分には当たらないと分かっていても不可能と思えるようなアクションにいちいち自分を防御する姿勢を取りながら、彼が真顔で呟くギャグに笑い声を堪えることができなかった私は、夜の映画館で1人、ずっと変わらず大好きな彼にまた惚れた。
いよいよ人を抱き締める強さが分からなくなったらしい彼だけど、ちょっとした表情にその覚悟を知ったり、一方で変わらない可愛らしさが見えたり、『ザ・ファブル』は岡田准一を語る上で外せない作品です。お時間あればぜひ。