マガジンのカバー画像

自作短歌

13
御殿山みなみとして発表した短歌です
運営しているクリエイター

2020年1月の記事一覧

短歌を三十首書いていました「わさび猫」

短歌を三十首書いていました。

テーマは「へんな文語」です。

よければご笑覧ください。

  わさび猫     御殿山みなみ

 出張を終えてこころのどこだろう洗濯機の本気を眺めおり

 謎の力を秘むるようなり額へとひらり貼らるる絆創膏の

 歯みがきの鏡にはんびらきたる眼のじきに開店する花屋さん

 気がつけば昼の去りおり部屋獏のせいにはできぬぼくのぼんやり

 黄昏。魔法のあるやい

もっとみる
短歌十首「手入れをやめて草が生い茂る売却予定地の写真」

短歌十首「手入れをやめて草が生い茂る売却予定地の写真」

手入れをやめて草が生い茂る売却予定地の写真  御殿山みなみ

たしか霧の朝に利き手の反対で揺らしたことのあるさくらんぼ

人形も持たず参拝客たちは腹話術士のくちびるをして

どちらとも老人ホームなんだけどこれをいつまで驚くだろう

夕焼けはまだ先だけど整った雲に胸がつぶされてしまいそう

帰ったらつけっぱなしのテレビから知らない芸人の声がする

アイドルのめがねと、めがねのアイドルと、電池がないと

もっとみる