「AO入試で楽して受かる」とか考えてる受験生、危機感持った方がいい。その②
こんにちは。Loohcs志塾 渋谷本校舎長の佐々木です。
前回「総合型選抜(以下AO)はそんな簡単じゃないよ?本当に大丈夫?」という記事を書いたわけですが、今回は「実際AOで有利になるのってどんな人?」という話をしていきたいと思います。
前回のおさらい
AOは志望理由書+調査書+小論文or共通テスト等+面接で合否判定する入試。就活の大学入試バージョンみたいな感じ。早くて11月頃には合否が決まる。
「一般では受からないレベルの大学にAOで受かる」ためにはいくつかの条件がある。AOなら一般よりも楽に受かるわけではない。
AOに向いている人、向いていない人
一般入試では、受験生をペーパーテストの点数のみで評価します。では、AOで評価されるのはどんな要素でしょうか?
ざっとまとめると以下のような感じです。
調査書→高校3年間(厳密には3年夏まで)の校内の成績
志望理由書→大学で学びたいことと、その具体的な理由
小論文や共通テスト→大学入学後も授業についていけるだけの思考力・論述力
面接→受験生の人となり、自分の考えを自分で説明できるかどうか
さらに、大学によっては、任意提出資料という形で受験生の人となりや活動実績のアピールをより具体的に求められる場合もあります。
つまり、AOで有利になる条件を具体的にまとめると、
評定が高いほど有利(ただし、評定がいいだけでは受からない)
志望理由が具体的かつ大学学部とマッチしているほど有利
思考力・論述力が高いほど有利
面接の受け答えがうまいほど有利
ということになります。
この条件さえ満たせば、一般では無理かと思われた大学にAOで逆転合格、「なんでアイツが慶應に?」みたいなことが起こりうるわけですね。
なお、実際には大学学部によって重視されるポイントに差があります。例えば、AOの最難関の一つである慶應SFCのAOには小論文試験がなく、また評定が4未満でも合格することがあります。
1.評定が高いほど有利 について
読んで字のごとくです。特に、全教科の平均が4.0あるかないかで、出願できる大学の選択肢がかなり変わります。
また、近年は英検やTOEFL、IELTS、TEAPなど英語資格試験の成績も重視される傾向があるため、例えば英検であればなるべく準1級、せめて2級くらい取っておくとだいぶ安心感が違います。
ただし、「成績優秀ならAOで受かりやすい」という安易な決めつけは危険です。学業成績はあくまで数ある指標の一つにすぎません。後述するように、志望理由がマッチしていなかったり、面接での受け答えがしどろもどろだったりすると、評定が高くても不合格となるケースは多々あります。
また、出願条件に評定や英語資格が明記されていないからといって、「一切評価しない」ということではないので注意が必要です。
そもそもAOは合否の判定基準について一般入試よりも不透明な点が多く、担当する教授によっても基準が異なるという説もあります。同じような志望理由・活動実績をもつ受験生が並んだとき、評定や語学のスキルが高い方が優先される可能性は十分あります。油断しないように。
2.志望理由が具体的かつ大学学部とマッチしているほど有利 について
AOの大前提として、「教授が求めている人物像とマッチしなければ絶対に受からない」ということを理解しておく必要があります。
例えば、あなたがAOで法学部を受験するとします。
法律が専門の教授に対して、あなたが「僕は大学で日本文学の歴史を学んで国語教師になりたいです!」とアピールしても、「じゃあ文学部か教育学部に行ってくれ」と言われて終わりですよね?
このような問題は一般入試では起こりえないことです。なぜなら、一般入試は「所定の科目で一定以上の点数を取れれば、どんな人でも合格とする」という前提で成り立っているからです。(だからこそ、「実は男女で合格最低点が違う」みたいな「裏基準」が発覚すると問題になるわけですが)
そのかわりに、大学に入ってから「思ってたのと違う」「興味がない学部に入ってしまった」というミスマッチが発生するおそれがあります。裏を返せば、AOにはそうした不幸なミスマッチを事前に防ぐ効果もあるんですね。
大学によっては、説得力を増すための材料として、活動実績をアピールすることも重要です。
なお、よく部活の実績を活かしてAOを目指す受験生がいますが、スポーツ系の学部やアスリート選抜を除くと、部活の実績一本でAOに挑むことで教授とミスマッチを起こすリスクもあります。(自己アピールの一部として書くことはできます。また部活と志望理由との関連性が高く、教授の専門分野としっかりマッチしている場合は問題はありません。)
3.思考力・論述力が高いほど有利 について
思考力・論述力が重要なのは一般入試(特に国公立)でも同じですが、AOの場合1つ気を付けるべき点があります。それは「日本の高校では小論文の書き方をほとんど教えていない」ということです。
小論文はいわゆる「作文」と混同されがちですが、フリースタイルの「作文」と異なり、小論文には明確な「論理構造の型」が存在します。また、「結論を最初に書く」「事実と意見を区別する」などのさまざまなテクニックがあります。これらのテクニックを身につけ、なおかつその学部に関する前提知識(例えば、法学部なら法律や政治など)を知っておくことが合格の必須条件です。
4.面接の受け答えがうまいほど有利 について
前回の記事で「AOは就活の大学入試バージョン」と書きましたが、「就活において面接がどれだけ重要か」を考えれば、AOにおける面接の重要性も理解しやすいかと思います。
必ずしも「コミュ強」「しゃべり上手」でなくてもよいですが、教授の質問に落ち着いて答えられること、論理に矛盾がないことは必須と言えるでしょう。(コミュ強であっても、論理破綻していると教授に突っ込まれます)
特に、志望理由書に書いたことと、面接での受け答えは一貫している必要があります。出願書類は「やろうと思えば他人が代筆できてしまうもの」ですが、面接はさすがに替え玉受験というわけにもいかないので、書類だけ立派でも面接がしどろもどろだと、低評価をつけられてしまうわけですね。
逆に一般入試のほうが向いている人とは?
これについては長くなってしまったので次回詳しく書きます。
ただ、あえてめちゃくちゃ辛辣なことをいうと、「学力も勉強する気もまったくない人」は、AOであれ一般であれ相当苦労することになるので、真面目に受験と向き合ったほうがいいです。
それでは、また次回お会いしましょう!
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