
Photo by
フィンセント・ファン・ゴッホ / メトロポリタン美術館
【随想】短編アニメ『Mindscape』ジャック・ドゥルーアン
1976年
ジャック・ドゥルーアン監督の『Mindscape』を視聴。
7分半ほどの短編アニメーション。
世にも珍しいピンスクリーンアニメーション。
ただただその陰影が美しい。
モノクロのアニメーションでこんなにも奥行の広がりを感じさせられるのは
実際の影を使ったアニメーションだからなのか。
つれづれなるままキャンバスに向って、
心にうつりゆく心象風景を逐一詳細に描きつけていると、
心の風景に迷い込んで正気を失ってしまいますよというお話。
主人公は自分で描いた風景画の中に入っていき、
途中で現実と虚構の境目が分からなくなる。
それはまさに、インセプションの夢の階層。
絵を抜けだしても抜け出しても、
今自分がいったい何階層目にいるのかが分からない。
まだ夢の中なんじゃないかという疑念。
そうモルの状態。
主人公は、最後風景画の中から抜け出せたような感じでもあるが、
実はそのアニメーション作品【風景画】自体も、ドゥルーアンによって作られた作品なのであり・・・
ドゥルーアンは、果たして風景画から抜け出せたのであろうか。