Assemble with Care -雰囲気最高、コンパクトなゲーム
SteamでAssemble with Care をクリアしたので、その感想。
結論から言うと、数年前にモニュメントバレーをプレイしてめちゃくちゃ良かったので、今回のゲームも手を出してみたら、正解でした。
(なおトップ画像はお借りしたものです。ゲーム中に貝殻は出てこないし、なんなら「ビーチ」という単語が出てくるくらいで海へ行くこともない。でもイラストがカラフルで、この画像もカラフルだったので、そのあたり通ずるものがあるなあと思って選びました。)
どんなゲーム?
モニュメントバレーを作ったのと同じところが作ったゲーム。
1章ごとに簡単なパズルをクリアして、ストーリーを進める。
主人公マリアは、修理屋をしながら各地を旅している若い女性。彼女は列車に乗ってベラリーバという街にやってきて、ホテルに滞在しながら路銀を稼ぐために仕事を受ける。彼女が引き受けた修理が、そのままパズルになっている。
どんなストーリー?
マリアは修理を通して、二つの家族とかかわっていく。一方は父と娘、一方は姉と妹。どちらもすれ違いがあり、関係はぎこちない。それが変わっていくのを、プレイヤーはマリアの視点から見守る。
良かったところ
とにかく、ゲーム全体の雰囲気が良い。
プレイ画面はシンプルでおしゃれ。パズルが始まると、画面全体が修理のワークスペースになって、ドライバーやネジを失くさないよう入れておくケースが置かれる。
修理の対象は立体で、分解してパーツごとに分けたり、くるくる回転させたりできる。その背景が各章に合わせたもの(ウッドデッキ風だったり、広場の石畳風だったり)になって、そこに降り注ぐ日差しがアニメーションする感じがすごく良い。
ストーリー部分は、キャラクターの台詞テキストとカットイラストが表示されて、絵本のような作り。
ちなみにテキストは英語のフルボイスで、それぞれのキャラが台詞を言い、地の分をマリアが読み上げる。過剰な演技が入っていないというか、ちょっと淡々としゃべる感じが日常っぽさを感じられて良い。
(自分が英語に慣れてないので、その声音から感情を読み取るのが苦手というだけかもしれないが)
そして海辺ののどかな街をイメージさせるような、ゆったりとした癒し系な音楽。Steamでゲームを買ったらサントラもついてきたので、今まさに聞きながらこれを書いている。
主人公マリアは、旅の途中で路銀を稼ぐために修理を請け負うわけだけど、この街と音楽の雰囲気がめちゃくちゃよくて、これはもはやバカンスなのでは……?と思わせる。
(まあ、まったく流行らなかったワーケーションとかいう表現でも使ってみようか)
ちょっと残念だったところ
ボリュームが少ないと感じる人は多いと思う。私もプレイしていたらあっという間に終わってしまった。
でも、下手に間延びさせても良いことはないと思うので、このくらいに綺麗にまとまっていて良かったと思う。
だがしかし、どうしても気になる点が……。
それはストーリーの内容。
基本的に、マリアが知り合う家族は関係がこじれている。修理の依頼をきっかけに関わるようになり、持ち主の思いを知り、プレイヤーは物語に引き込まれていく。
そしてもつれた糸は、物語である以上は必ずほどかれる。そのセオリー通り、それぞれの家族は互いに和解し、新しい一歩を踏み出していく。
その流れは当然なのだが、この「和解するシーン」はプレイヤーの前には一切出てこない。気が付いたら関係が良くなっていた。そういう感じである。
もちろん彼らにとってマリアはただの知り合いで、しかも街に一時的に滞在している超外部の人間である。そんな人間に、身近な者同士がぶつかる正にそのシーンを見せられるかというと、本人たちとしては気まずいだろう。現実的な意味では、それは正しい。
しかしプレイヤーとしてはそこがないのは不満だった。というか、それを見せてくれるのがフィクションなのではないか……?
自分が活字中毒で、個人のプライバシーも何もかもが暴かれるミステリなんかを愛読しているせいで、こんな出歯亀みたいな考えになってしまうのかもしれない。
が、こじれた二人が「どんな風にぶつかり合って、やり直せることになったのか?」というのは、この手の物語では一番興味を引かれるところで、かなり大事な見せ場になるはずだ。
これがないのは、なんというか、饅頭食べてたら真ん中の方スカスカで餡が入ってなかったみたいな感じ……?いや、全然わからない例えになってしまったが、核心が抜けてしまっているというイメージ。
一番楽しみにしていたものが用意されていない。そんな残念さだった。
ところでパズルは?
パズルの難易度は低め。一部、ちょっと迷うところはあるかもしれないが、よく観察すればわかる。自分はパズル苦手な人間だけど、どのステージもサクサク進められた。逆に言えばパズルが得意な人にとっては物足りないだろう。
こういうところも含め、ゲームを通して物語や雰囲気を体験することを重視したゲームなんだろうな、と思う。
しかしサントラが良い。エンドレスリピートしてしまう。
巷では猫シミュレーション(?)のStrayが話題で、猫好きだから気になるけど、ちょっと長そうなので保留。今はコーヒートークの続編を待機中。
ボリュームはそれほどないが、質の高い体験ができる雰囲気ゲーっていうのが、大人になると嬉しいですね。まあFF14やってるけど。