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木材の挙動や組織をよくみた経験

自分は、木材保存の加圧注入機と乾燥機を持つ、静岡県の木材工場にいて家業のこの工場で働いていたことがある。この古いテーブル式帯鋸で、加圧注入した中で、できた不良材をここで挽きなおすことが、中心の作業だった。

押し方(へしかた)、舞い取り・・材を帯鋸の歯が回る方で、寸法に合わせて押し出す、押し方。それをまっすぐ後ろに引っ張っていく舞い取りで、角材を丁寧に割り直すのだ。

古い機械は、未だに製材工場では使われているケースが多い。これを使うのは、機械化された近代製材所と違い、一個一個材木を見極め木材のいい割り方を一瞬で見定める技術が必要になる。

材木の種類によって、帯鋸の厚みを変える。厚みを適正なものに変えるときのゲージ

この時は、珍しく新木場で買ってきたイペを、ドアの扉の桟にするので荷重を抑えるため薄く再割した。この場合、帯鋸の刃先に合金を点付けしたステライト加工でないと、刃が負ける。

ハードウッドの場合、幅・厚みが決まった寸法しかないので自由度を高めるため再割した。この時に、イペのおが粉が材にびっしりへばりついてるのは、奇妙な光景だった。


基本的に、加圧注入材の不良材の加工が主で、この時、木の繊維方向と断面をじっくり見るので、目視で確認できる注入精度に敏感になってしまう。一日に何百本も加工するのだから、当たり前だが。

仕事最中は、自分自身が一個の機械になってしまうので、仕事が終わってから作業を思い出してるうち、木材の挙動やら、眼に見える注入精度の樹種による具合も感覚でわかるようになってしまった。

実践と理論とかいうけれど、運動感覚の実践から理論を反芻する癖がついたのが生きているように思う。リアルな経験は、再現性を重視しする、実験室の実験と同じものにはならない。


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