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「52ヘルツのクジラたち」を読んで

子供が、学級文庫を借りてきて、泣きそうになったというので、借りて読んでみた。随分以前に評判になっていたので、題名だけは知っていたが、内容は全く知らなかった。

虐待がテーマになっており、単に「面白かった」とは言えないが、読み始めてから最後まで一気に読まされる本だった。

同じ境遇にある子供達に、この本がどのように響くかは分からないが、運良くそのような経験をしなかった私にとっては「声なき声」が自分の周りにも飛び交っているかも知れないと、いや、飛び交っていることを知っていながら目を背けている自分を自覚する本となった。

後半に、昌子夫婦が出てきて、現実的な解決策を提示することで、この本のストーリーとしては「解決する」。が、実際にはこの本の結末のようにいくケースは少ないと想像する。

この本で私が感じた事は、「成熟した大人」だ、
先に述べた昌子夫婦が登場するまでは、そのような大人は不在である。かと言って、変な大人ばかりが出てくる訳ではなく、ごく普通の人たちだ。この本に即して言えば、もっと早く昌子夫婦が登場していれば、もっとスムーズに現実的に解決していたと思う。「成熟した大人」の不在は、自分の身の回りでも様々な問題を引き起こしていると思う。

この本は多くの人に読まれた本だが、感銘を受けるポイントはかなり幅広のような気がする。私は、(成熟していない大人の一人としては)、少しでも「成熟した大人」として、あらねばならないと感じた本だった。

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