とりあえず、こちらは人生の工事中……
近所の古い建物が壊され更地になると、ついつい気になってしまう。次は何がつくられるのだろうか? 自分に関係がなくても、建築工事はちょっとワクワクする。反面、基礎工事が終わっているのになかなか作業が進まない様子だったり、買い手がついていないように見えたりするとソワソワ、ソワソワ……
この感じ、何かに似てるな……
あぁ、
今のわたしの状況か……
古い仕事を辞めて、新しい仕事を探す、スクラップ&ビルド。新しいことにワクワクする一方で、買い手がつくか不安……まさに、人生の工事中である。
そんな(工事中)な現状にぴったりのアート展に行ってきた。
2025年1月のグランドオープンに向けて工事中のGINZA SONY PARK。施行中のB2〜4階までの空間を使って3人のアーティストが思い思いの作品を展開する。
駅直結のため、地下から始まる。
光をモチーフにした玉山拓郎のインスタレーション。円の作品のイメージがあるが、今回は地上から地下に引っ張られる楕円。フロアを跨ぎコマ切れに現れるパーツに、逆にスケールの大きさを感じる。
WEBで告知を見つけた時は、工事現場の無機質感とアートのクールさに惹かれたのだが、実際に現場に足を運ぶと、かなり有機的! テンションがあがる。
足場の隙間からのぞく銀座の人並み、後ろに見切れる銀座のランドマーク、
そして何より、
そうなのだ、この会場はまさに今、工事中。
作業中の音、作業員さんの会話、生活も融合しての展示なのだと思う。すんごいおもしろい。
4階の山口幸士の作品も納得がいった。スマホ越しで見ていた時は、(なんでこの雰囲気の作品? 建築現場によくある、殺伐感を誤魔化すためのとってつけた花みたいにならないか?)と思っていたが、有機的な空間で見ると、現場の片隅に息吹く野の花みたいなやわらかさだ。
SHUN SDOUは、空間と作品の相性がバツグン。世界を旅した時に感じた風がテーマだそうだが、空気が滞りそうな工事現場に吹き流れる新鮮な風のようなエネルギー。ビビットな色の中の墨の線の躍動感が! 京都・両足院の屏風もかっこよかったしな……
とりあえず、工事現場に大満足!
事前予約が必要だが、無料で観覧できたし。
(人生工事中の人間にもやさしい……)
帰り道、うれしくなって散歩心がうずく。銀座から2、3駅離れた駅まで歩くことに。
そして道すがら引っかかるキューバサンドのお店。
バナナチップスは食べきれず持ち帰ったが、新しい味、めっちゃ楽しい。
カロリー消費のために、さらに2駅歩くことにする。
隅田川を超える。
結局フラフラと長い散歩になった。日本橋から深川まで歩くって、江戸時代の人間みたいなルートだ。時代小説に出てくる地名に「おぉ!」とか言う時間。貴重だけど、あんまり続けるものではないよな……人生も、いつまでも工事中ではまずい……
とりあえず、年内中の完成を目指して……!