とりあえず、まさかの1日に2回……(2回目)
メインの予定の“ついで”に出かけたはずの田端文士村記念館。展示物を興味深く読んでしまい、予定時刻までにすべて見ることができず……
予定を済ませた後、まさかの2度目の来訪をすることになった。
ということで、やっと今回の企画展の中心である芥川が書いた“手紙”の話である。
記念館に新収蔵された手紙が多数展示されていたのだが、その多くが中学からの友人・山本喜誉司宛のものだった。
内容を読んで気になりメモしていたものを上げていく(重ね重ね一部を簡易意訳している。ぜひぜひ原文を!)と、
……うん。
なんだか……
青い!
書いた手紙を燃やしてくれとか、まさに青春じゃないか(ニヤニヤ)
しかも、英語のあだ名を作って宛名を書いちゃうとか、コレ……
後日、また、必死で捨てるようにお願いしてるでしょ……
(そして、そんなハズい手紙を残しておいてくれてありがとう! 山本喜誉司!)
中学〜大学入学したてくらいまでは、真面目な秀才の厨二…ではなく、青春な面が見られて愉快な気持ちになるが、久米や菊地と同人誌「新思潮」を出したあたりから、また色合いが変わってくる。
夏目漱石から『鼻』を絶賛する手紙をもらったり、山本に不安や恋愛の悩みを書き連ねた手紙を送ったり、もともと手紙にがっつりイラストを添えていたけれど原稿にもがっつりお絵描きしたり、山本喜誉司の“喜”の字をとって“JOY様”とまたもやあだ名で宛名を書いたり……(笑)
尽きない不安を抱えつつも、手紙をやり取りする仲間たちにかまわれることで(苦悩を共有できなくても、そばでわちゃわちゃしてくれる人たちがいたことは救いになったと思う)、専業作家への道につき進むことが出来たのだろう。
展示スペースの最後には、第一短編集『羅生門』を出した頃に芥川が揮毫した掛け軸も展示されていた(こちらも新収蔵の品)。
愛用のペン皿にも刻むほど好きな「本是山中人 愛説山中話」の漢詩。後半の「山」の字に芥川のユーモアが感じられ、うふふっとなってしまった。
また、書斎の扁額「餓鬼窟」も展示されている。書斎の中をはじめ、田端の自宅のジオラマもあり、芥川一家が思い思いに過ごす姿も見られて楽しい。
さらに、常設展の方では、田端にゆかりのある作家、芸術家たちの秋冬をテーマにした作品が展示されている。板谷波山の画帳に描かれた柿の絵など、こちらもじんわりと沁みる素敵がつまっていた。
2階通路に苔と一緒に展示されていた室生犀星との“ご近所ばったりエピソード”もほんわかするので、お出かけの際にはお見逃しなく。
とりあえず、2回に分けなければいけなくなるほど、田端文士村記念館は読みがい(見どころ)があった。芥川への親しみも深まった。
そして、これにより思い出される後悔がひとつ……
神奈川近代文学館にも、いつか行ってみよう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?