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とりあえず、袋、ふくろを呼ぶ
予定のついでに、お出かけをする。
どこにするか迷いつつ……
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土日だと混雑する。平日に行けるうちに行っておきたい(とくに、出光美術館は12月から休館の予定だし)。
なにより、今回はテーマがいい!
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布袋さんの指が「この指と〜まれ」に見える。
別れ別れになっている作品どうしでも、ひとつに愛情を注いでいれば、残りはおのずと集まってくる…
板谷波山
この言葉を体現するように、出光佐三が慈しみ、好きの数珠つなぎ的に集まって来た美術品たちを展示している。
最初の展示スペースでは、今回のテーマの代表ともいえる酒井抱一の2つの“十二カ月花鳥図”
が出迎えてくれる。
先に所蔵していた金屏風貼の「十二カ月花鳥図貼付屏風」に呼ばれるように、図様がそっくりな、掛け軸の「十二カ月花鳥図」が仲間入りしたという。
2つの作品はメインの木や花がおなじであったり、構図も似ていたりする。でも、ニュアンスはちがう。
春の花びらや鳥の羽などは、掛け軸の絵の方が柔らかくて触れたくなる。
一方、秋の絵は、屏風の方が涼しく澄んだ空気が伝わってくる。冷たい風を避けるように柿の木に寄り添ってとまるメジロたち、より洗練されすっきりと配置された月やススキなどを見ていると「早くこんなキリッとした秋にならないかな(この日も夏日だった)」と思える。
おなじように描いて欲しい・描こうと思っても、描いている時の気候や気分、依頼者の好みなどが反映されてちがいが生まれるのだろうなと、興味深く鑑賞した。
似た図様が存在する絵の展示は他にもあった。
伊藤若冲の「鳥獣花木図屏風」の枡目がきの白象(静岡県立博物館・「樹下鳥獣図屏風」)や、酒井抱一の「風神雷神図屏風」(京都・建仁寺にある俵屋宗達の「風神雷神図屏風」を手本に描いた)などだ。
先に紹介した「十二カ月花鳥図」のようにその場で見比べることはできないが、今回見たことをきっかけに、あらためて調べ直した。“物、ものを呼ぶ”のテーマが鑑賞後にもつながるのは感慨深い。
それにしても……
調べ直して感じたのは、どちらの絵も出光美術館にある作品の方が、ゆるやかで簡略化されていて愛嬌がある点だ。
ゆる日本画の代表・仙厓の絵からスタートしている美術館だからだろうな。これも、“物、ものを呼ぶ”を実感させられる。
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この他に、池大雅の文人画、「伴大納言絵巻」、国宝の古筆、「江戸名所図屏風」、英一蝶(サントリー美術館にも行きたいっ!)など、紹介したいものはたくさんあったのだが、この“物、ものを呼ぶ”のテーマにもっともぴったりの展示は、実はこれなのではないかと思うものがあったので、そちらを紹介したい。
出光美術館【陶片室】
うつわが焼かれた窯跡や使われた生活遺跡から出土した“陶片”を日本をはじめ世界各国から集め、常時展示している。やきものの新たな魅力やおもしろさを発見できる展示室。
引き出し付きの展示棚には、古今東西、様々な陶器の破片が詰め込まれている。
「こんなの、よくあつめたなーっ!!(褒め)」
と、つい叫びそうになってしまった。
そして、嬉々として引き出しを引き出しまくる!!
一つ一つだと価値がわかりづらいものだけれど、たくさん集めて比べることで、時代ごとの技術や美の基準、地域ごとの装飾の違いなど、発見することが無数にあった。なんだか、すごいロマンを感じた。
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写真は自宅にあるタイ土産のカップ。
これとおなじカロン窯の陶片もあったな。
個性強めの展示が、引き出し妖怪的なおかしな客を呼ぶ……
ここでも“物、もの(者)を呼ぶ”のである。
さて、美術館を出た後、さらに一駅歩き、買い物をした。
指月布袋画賛の布袋さんを見て思い立ったのだ。
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もう、何年も前から、お守りがわりに香袋をバッグに忍ばせている。そして、なんだかイマイチだな……と感じたら、空気を変えるために取り替えている。
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並べるとなかなかに素敵だ。
このまま、袋にふくろを呼び込ませたら、美術的価値が……
なんてことになるはずはない!!(笑)
とりあえず、本棚同様、袋も役目を終えたものはお片付けしなくては!