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とりあえず、禁断のコーンアイス

お祭りの紅く艶やかなリンゴ飴、そら色のソーダフロート、モコモコしたクリームがかわいいバターケーキのプードル……

子どもの頃、食べないようにしていたものたち。

見た目が華やかな食べ物は往々にして甘ったるく、子どもでは食べきれない。
「どうせ食べきれないでしょ」
残すと母が嫌な顔をする……それがいやで、欲しがらないようにしていた。


コーンにダブルで重ねたアイスも、そういうものの1つだった。

(きっと……食べきれない。
 ダラダラ溶けて嫌な顔をされる……)

そう、思い込んでいた。


この思い込みは大人になってからもなんとなく残っていて、どこでアイスを頼む時も、シングル×カップでしか頼めずにいた。

だが……

ディスプレイがコーンアイス


前を通るたび、ずっと心惹かれていたお店。

雨の中、予定をこなした安心感で、つい手を出してしまった……

クレミノ on チョコビア75%!
ラズベリープラス。贅沢。


“禁断のアイスに手を出してやったぜ感”に浮き足立ちながら外に出ると、

⁉️

わぁっ! チョコアイス色のハトだぁ〜!!

これ、一緒に撮ったら、可愛んじゃね?!

アイス片手に追いかける。

アイスにしかピント合わず。
ハトもあっち向いてホイ⤵︎
ハトにピントはきているけれど、びみょー。
ハトの顔はうつせたけれども……
これが限界⤵︎


チョコアイスちゃん(ハト)を静かに追いまわす、ハトストーカー。


そんなアホなことに時間を費やしてしまった罪は重かった……


ペタリ…… ポタリ…… ベトベトベト……

すごい早さで溶け出したアイスは、濁流の様にわたしの左手を飲み込み、銀座を歩いては行けない“禁断の手”を完成させたのだった……。


とりあえず、そんな状況でもアイスは濃厚で素晴らしい美味しさだった。カカオとヘーゼルナッツの香りが、数時間たった今でもありありと思い出せる。
が、
次にまた楽しむのなら、カップでオーダーしようと思っている。
子どものように気を散らせてしまう私には、コーンアイスはやはり、禁断の品なのだ。

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