とりあえず、夏休みがやってくる。
子の夏休みを前に、本屋に行く。
課題で使う小説を2冊選び、ほかに読みたいものがあるか聞く。
「『動物農場』を、読みたい」
どうぶつ・のうじょう……?
タイトルは知っているけど、触れ合ったことはない……
作者が思い出せない。
でも、子を本の世界にひっぱり込んだ責任者として、「誰? 知らない」とは言いたくないっ!
ケストナーじゃないし、
うーーん……
「……
葉っぱの人?」
「……
『最後の一葉』は、オー・ヘンリーでしょ。
作者調べるから待って」
くやしーー!!
っていうか、われながら、
“葉っぱの人”
ってなんだよっ!
そして、あっさり通じるなよっ!
葉っぱの人!
くっ……
小1の夏休み、
アンデルセンを
アルデンテ
と言い間違えていたくせに……
「ジョージ・オーウェルだったよ」
自らの探索能力で、無事、目当ての本を手に入れることができた。
さて、家に帰ると、さっそく買った本を読んでいる。
「オーソン・ウェルズ、面白い?」
一瞬、考える、子。
「……
ジョージ・オーウェル……だよ」
ごハッ……
またしても……
くう……
オーソン・ウェルズは『市民ケーン』だよっ! 有名な映画監督なんだよっ!
5歳の夏休み、
沖縄で隣り合わせたロシア系の観光客の方に、
ダジャレを披露しまくり、笑わせた最後に
「ロシアのころし屋おそろしや!」
と言って、一瞬、
真冬のシベリア
みたいな空気にしたことがあるくせにっ!
(後で大爆笑してくれた。やさしい方たちでよかった)
とりあえず、子は成長している。
今年はどんな夏休みの思い出が生まれるのか……