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アップルティーの香り
フルーツの甘くて爽やかな香りが湯気とともに上ってくると、とても幸せな気持ちになります。
先日、美容室でのカラーの待ち時間にホットのアップルティーが出てそれを飲みながら時間が過ぎるのを待っていました。
少しばかり空調が効いていたので、温かいアップルティーが喉を通っていくのと同時にホッとするのでした。
久しぶりに髪の毛を短くして、カラーもして、と気持ちも一新されるようなスッキリとした気分になりました。
不思議ですが、美容室で髪を切ったりカラーをしたりするだけで、昨日までの自分とはまた違った自分になれたような気がします。
もっと正確に言うと、美容室に入る前と出た後では自分の足取りが変わるのを感じます。
何か、そこで特別な儀式で行われたかのように、人は美容室で外側だけではなく内側も変化をしているのだと思われます。
もしかしたら、目の前に大きな鏡があって、その前に座り自分が変わっていく様子を見るということ自体が、ビフォーアフターを作ることを手助けしているのかもしれません。
昔からよく言われていることではありますが、失恋したら髪を切るということもそこでそれまでの自分とは決別をする、一新するという気持ちの表れなのでしょう。
それを自分で見届けるということが、また新しいステージに向かうための一つの大事なステップなのかもしれません。
大袈裟かもしれませんが、また浄化というような作用もあるのかなとも思います。
いわゆる現代の簡易的なスウェットロッジのような、ある空間の中である一定の時間を過ごし、その中で何か変容が起きてまた外の世界に戻っていくという、単純に外側だけを切り取ってみたら、中で行う内容は全く違いますが、そのように言えるのかもしれません。
とにかく、それまでの髪形をしていた自分とは意識的であれ、無意識的であれ、そこで一旦分かれるのです。
区切りがつくのです。
そうして、また新しい自分で世界に出向いていきます。
だから足取りが軽くなるのは当然のことなのかもしれません。
鏡の前で自分の髪の毛が切られていくのを見ます。
痛みを感じないのに、自分の一部だったものが自分から離れていきます。
その様子を見ているととても不思議な感覚になります。
自分とは一体なんなんだ?
あの髪の毛はかつて私の一部であり、それが引っ張られれば私は痛みを感じました。
しかし、床に落ちた髪はもはや私の一部とは呼べません。
一部だったとは言えますが、切って離れてしまった以上、もう一部ではありません。
鏡よ鏡、鏡さん。
世界で一番美しいのは誰?
それは白雪姫です。
ディズニープリンセスの中で私が好きなのは白雪姫なのですが、大好きなシーンがあります。
白雪姫がお城を出されて森に追いやられます。
女王様が鏡に一番美しいのは誰と聞いて白雪姫と告げられ、それに怒った女王様が部下に白雪姫を抹殺するように命令します。
女王の部下と白雪姫は森に向かいます。
そして、純粋な白雪姫を殺すことが出来なかった女王の部下は、白雪姫に「森の奥に逃げなさい」と言います。
殺されかけ、恐怖にかられた白雪姫は走りながら森の奥にどんどん迷い込みます。
そこは暗くて、進みにくくて、彼女が走ると、木の枝が引っかかったり、動物が急に現れて追いかけられたりで、半ばパニック状態でどんどん足取りの悪い中、森の奥へ奥へと入り込んで行きます。
そして、ついには倒れこんでしまいます。
彼女は倒れこみながら泣きます。
すると、その周りには可愛らしい動物が集まってきます。
リスや、ウサギや、小鹿など。
動物が回りにいることに気が付いた白雪姫は泣き止み、動物たちに驚かせたことを謝ります。
そして、自分が臆病者だから大騒ぎして、恥ずかしいわと言うと
「困った時はどうしたらいいの?」と動物たちに聞きます。
すると小鳥たちがさえずります。
それを見て白雪姫はハッとして
「歌うのね♪」
と言います。
さっきまで恐怖にかられて泣いていたのに、歌い始めると、かわいい動物たちがさらに近寄ってきて一緒に歌います。
そして、「元気が出てきたみたい」と彼女は言います。
只者ではないです。笑
「歌うのね♪」って。笑
でも、そこが白雪姫が好きなところです。
昔に見た時には、こんな時に歌うなんてないないないない!って感じで、超ポジティブな白雪姫を斜めに見ていましたが、今では、この切り替えの早さにまぶしさを感じるほどです。
そうして、彼女は自分に被さった恐怖を取り除き、森の中でも自分を取り戻したのでした。
こういった時、私だったら恐怖に引きずられたり、そのままズルズルと悲しんでいたりしそうなところですが、そこを白雪姫は華麗に自分で自分の心に変化を起こします。
見習いたいスキルだなと心底思います。
手放した恐怖はもう自分のものではないのです。
それをいつまでも自分のものと思うか、それは自分のものではないし、今の自分に必要なものを自分で作りだすということが出来るかが、白雪姫的スピリットになるかならないかの分かれ道のような気がします。
いつだって、つけようと思えば自分で区切りをつけられるのです。
歌ってつけることもできるし、美容室に行ってつけることもできるし、方法はいくらでもあります。
なかなか簡単ではないかもしれませんが、いつだって新しい気持ちになれるということを知っていたらそれだけで励まされた気持ちになります。