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ラベンダーの香り
人は自分の受けた傷を過小評価することがあります。
大したことではないと自分に言い聞かせ、その痛みを鈍らせます。
確かにそれはそれでしのぐ方法としては、一つの良い選択なのかもしれません。
けれど、それをずっとそのままにしておくというのは、また良くない選択でもあります。
やはり、私たちは必ず適切な処置を傷にしなくてはいけないのです。
そうしないとそれは影となって自分の中で根深く育ってしまうから。
ふとした時に、自分の忘れていた傷に気が付くことがあります。
あぁ、私はこのことを無意識のうちに心の奥へ、体の奥へしまいこんでしまっていたけれど、今、この問題が出てきてつまづいているのは、あの時に受けたものが原因なんだろうとぼんやり思い出します。
そのおかげで避けてきたこと、それが目の前の課題として起こった時、私たちは過去を振り返り、遠い昔の傷を見ます。
どうして癒してあげなかったのだろう、と思います。
時間がなかったから?
受け止められるだけの余裕がなかったから?
認めたくなかったから?
大したことではないと思っていた、そんな風に自分に言い聞かせていたということもあります。
私はこれを受け流せる、その時はそう思っていた、しかし、本当はそうではなかった、その傷は、痛みを発していたのに、気づかないふりをしていた、そんな風に自分を軽んじてしまっていつしか意識の隅からも消え、無意識の方へと沈んでいく、そういう傷が大人になると増えていくのかもしれません。
ある時、自分に対して、厳しい言葉ばかりを自分に投げかけていることに気が付いた時、他者が同じことをした時、私は自分を責めるような感じで、他人を責めるだろうかとふと思い至りました。
他者がしたら責めなくて、自分だと責めるというのは、あまりにも自分に対してひどいのではないか、人の傷は処置をしても自分の傷は処置をしないなんて、そんな乱暴なことはないのではないだろうかと思いました。
誰かを励ます時に使う言葉を自分にもかけてあげられたら、と思いました。
受け取り下手で、自分からのそういう言葉に違和感を最初は覚えるかもしれませんが、それでもそうやって自分に対して柔らかく対応することで、昔の傷たちも少しは癒されていくのかもしれないと思います。
自分の言葉が薬となって、自分を癒せれば、間違いなく、根の太い自分になって立てると思いました。
ラベンダーにはよくリラックス効果があるとされています。
それから、肌への治癒能力が高く、抗菌性、消炎性があり、不眠や頭痛などを軽減したり、胃腸のトラブルや風邪の緩和も促進する効果があるようです。
副交感神経を優位にする効果があると言われていて、沈静、沈痛効果作用があるようです。
昔から薬としても扱われてきたラベンダーは、人の生活に寄り添い、傷を癒してきてくれていた植物なのでしょう。
やはりその香りを嗅ぐと、ホッとします。
ふわっと自分を包みこんでくれる、そして、固くなったところをほぐしてくれるような角をとってくれるような爽やかで、また土を感じるような気がする香りです。
自分の内側でもラベンダーを育て、自分の傷を自分で癒すことが出来たらと思った夜でした。