『平凡パンチの時代』 序(はじめに)
いろいろなことを調べるにつけ、歴史というものは誰かがひとりで自覚的に操作しているわけでもないはずなのに、不思議に符号あわせするように、自然調和的にものごと、できごとのつじつまをあわせながら動いていくものだと思う。戦後の、──太平洋戦争が終わってからいままですでに64年が経過しているが、──この64年をどういう区切りで考えるか、問題はそのことである。 どうしてそのことがそんなに問題なのかというと、この64年間というのは、いま62歳になったばかり(わたしはこの10月に62歳になった)のわたしたち、団塊の世代にとってはものごころつく前から、さらに戦前でも昭和10年生まれ以降、戦後も昭和30年ぐらいまでは、戦後というのが自分たちの人生の経過そのもののような状態で存在しているのではないかと思うからだ。だから、戦後をふたつに区切るとは、自分の人生をどこで区切るかというような、大げさにいうと、人生を問うような作業なのである。
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