ある地名の風景
夏草踊る間家の電柱 makka-3
ここ三戸町の”間家”は馬淵川が大きく蛇行し、
谷を穿つ河岸段丘の上にあります。
”まっか”と聞いて私がまず頭に浮かんだのは
北海道の”真狩村”(まっかり)でした。
私がもっとも信頼するアイヌ語地名研究家
山田秀三の「北海道の地名」を紐解くと
真狩は「マク・カリ・ペツ」で
「奥の方を回る川」とあります。
真狩川は屈曲が多く、この名で呼ばれたと。
東北の北部には北海道同様、アイヌ語の地名が散在しています。
このあたりにあっても不思議ではありません。
三戸町の”間家”を流れる馬淵川も
源流から八戸市の河口までの間、
この辺がもっとも大きな蛇行部です。
そしてもう一つ、「綜合日本民俗語彙」には
マッカ=「青森の東部で、坂あるいは崖の険しい所」とあります。
どうやらこの辺ですね。
この二つの話は別物に聞こえますが
私は無関係ではないと思っています。
というのも、崖を作るのは川だからです。
もともと「マク・カリ・ペツ」と呼ばれていたのが
「マッカリ」から「マッカ」になり、
馬淵川が作った崖の上に集落ができると
本来の意味よりも崖が主役になってしまった・・
どうかなー
でも津軽の中泊町には
断崖の岩場を「マッカイシ」と呼ぶという情報も。
もし海岸だとすると川の蛇行には無関係。
あーだこーだ言ってここで分かる事ではないのですが(笑)
風景を見ながら勝手な想像を巡らせるのが楽しいわけです。
最初に話した岩手の真下さんの町にも
”まっか”という崖がどこかに隠れているかもしれません。
(青森県三戸町)