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【新型コロナ】一人暮らしの異常独身が体調不良になるということ【社畜の夏休み】

 このたび人生で初めて新型コロナウイルスに感染してしまい、5日間の自宅療養生活を送った。症状としては、熱、咳、頭痛、倦怠感、身体の節々の痛み、動悸、息切れ、腹痛などいわゆる風邪の症状のオンパレードに悩まされたが、とにかく一番つらかったのは、療養2日目の朝に突如として発生した喉の激痛だった。唾を飲みこむだけでもガラスの破片を飲み込んでいるような、涙が出るほどの痛みに襲われた。

 このせいでポカリなどの水分補給もままならないし、食事もゼリーやお粥などの流動食を少しずつ摂取するのが限界だ。いちいち測っていないがコロナ感染前と比べて2~3kgぐらいは痩せてしまっていたと思う。食欲がないわけではないのに何も食べられず、呆けた顔をして布団で横になっているしかないこの絶望感は、今まで味わったことがないものだった。

 思っていたよりも症状は重く、上司の嫌そうな顔が目に浮かびながらも、在宅勤務で穴埋めをすることもできずしっかりと5日休んでしまった。そのおかげで症状はすっかり良くなり社会復帰・・・のはずが、熱や喉の痛みがなくなった代わりに、今度は味覚が消失するとともに、倦怠感、疲労感、眠気に襲われるなど、感染から2週間経ってもコロナの爪痕はまだまだ消えていない。本当に恐るべき病気だ。


発症からの経緯

木曜日(発症)

 気づいたきっかけは、木曜日の明け方に目が覚めたときに感じた喉の痛みだった。前日の水曜日は帰りが遅くなり、シャワーを浴びたらそのまま布団に寝転ぶ形で電気もエアコンもつけたまま失神してしまっていたので、しまった、やらかしたかな・・・と思ってエアコンを切って二度寝した。が、出勤して日中になっても痛みは改善しない。この時は、夏風邪でもひいたかな?ぐらいに思っていた。

 だが、昼過ぎから身体のだるさや疲労感が出てくるようになり、目の前のパソコンに向かうこともしんどくなってきた。いわゆる「クーラー病」というか、室外と室内の気温差で倦怠感のような症状が出てくるのは知っていたが、どうしても仕事を続けることができなくなってきたので、明日本気出すと心に誓いつつ、山のように仕事を残して上司に睨まれながらその日は定時で帰った。

 ちなみに本当はこの日、ちょっと早く仕事を終えてえっちなマッサージのお店で日頃の激務の疲れを癒してもらうつもりだった。お店も女の子も決めた状態であとは予約ボタンを押すだけだったのだが、この日の昼の段階で体調が不安だったのでやむなく延期することとした(強行していたら女の子にコロナをうつしてしまっていただろう。危ないところだった)。

 帰宅後、体力を振り絞って夕食を摂り、シャワーを浴びた後は、あまりにもしんどいので布団の上で寝たきり状態になった。

 とりあえず昼にドラッグストアで買っておいたトローチを舐め舐めしつつ、口内炎の薬のパッケージに喉の痛みにも効くと書いてあったのでその薬と、微熱も出てきたのでロキソニンをチャンポンにして飲んだ。一人暮らしの男の健康管理なんて所詮こんなものである。夏風邪にしては症状が重いが、寝たら治るだろうと考えて20時過ぎには電気を消した。だが、いっこうに眠れない。

 布団に入って虚空を見つめ、考え事をしているうちに、だんだん熱が上がってきた。慌てて熱さまシートと氷枕を装備するが、頭グワングワン、心臓ドクンドクンでとても安眠できるような状態ではないし、やっと入眠できるかと思ったらフッ・・・とそのまま失神してしまいそうになるので「ハッ…!」と我に返るようなことを何度も繰り返す。「ウーッ、ウー・・・」と呻きながら、身悶えるようにして症状の波が過ぎ去るのをひたすらに待つ。いやこれ絶対普通の夏風邪じゃない・・・。

 苦しみ悶えているうちに、気づけば深夜の2時を回っていたと思う。このままでは一睡もできずに朝を迎えそうだったし、ひょっとしたら死ぬんじゃないか、救急車は呼ばなくても大丈夫なのか・・・と半ばパニックで冷や汗もすごかったので、楽しいことを考えることを思いつく。

 楽しいこと、楽しいこと・・・しばらく考えて思い浮かばなかったので、とりあえず会社の可愛い後輩ちゃんの服を脱がせている場面を想像してみた。もちろん病床についていると性欲なんて湧いてこないが、これが功を奏し少しはリラックス状態になれたのか、ウトウトとしているうちになんとか眠りに入れたようだった。

金曜日(療養1日目)

 朝7時過ぎに目が覚めた。熱は平熱に戻っていたが、のどの痛み、頭痛、倦怠感といった症状は癒えていないし、もしかするとコロナかもしれないので、会社に休みの連絡を入れた。上司からはしぶしぶ了解の返事があった。思えば、皮肉にも会社員生活のおかげで生活習慣が安定していたこともあり(昼夜逆転がデフォルトだった大学生の頃は毎月のように体調を崩していた)、ちゃんとした体調不良で会社を休んだのは初めてのことかもしれない。

 検査費用が自己負担になったのは知っていたが、まぁ後で何かの話のネタにはなるだろうと思ってコロナの検査を受けてみることに(こういう人間が多いから検査数と陽性数が無駄に増えるのだが・・・)。それに立派な感染症と分かれば、いくらブラック企業のブラック部署とは言えどさすがに出社の強制はできないはずだ。フラフラと自転車を漕ぎながら9時過ぎにかかりつけの内科へ向かう。

 インターホンを鳴らすと、病院の建物の奥にあったバラック小屋の中に入るよう案内され、それが発熱外来だという。エアコンも設置されていないその空間でダラダラと汗をかきながら問診票に記入して検査を受けた。検査自体はすぐに終わったが、綿棒を鼻の奥にグリグリ突っ込まれるという、文字で書くだけでも嫌な検査で、しばらく不快感が残った。

右上にある丸い穴から鼻に綿棒を挿入されました

 5分後に医者が顔を出して「陽性でしたよ!」との報告があった。まぁ昨夜高熱でうなされている時から予想はしていた。診察料と検査代、しめて3,740円也を支払った後、近くの薬局で薬を貰う。ここもコロナ陽性者は店内には入れずインターホンを押して待つ仕組みになっており、しばらく待っていたら、重装備に身を包み、やけに取り乱した薬剤師の婆さんが出てきて対応してくれた。

 薬を貰って帰ったらあとは自宅で引きこもるだけである。幸いこの日は喉もさほど痛くなかったので、昼も夜もスーパーで買ってきた弁当を掻き込んだ。あとは適当に昼寝したり、YouTubeの動画を見たりしていたが、夕方になると熱が上がってきてしんどかった。解熱剤を飲んでしばらくしたら微熱に下がったが、また深夜になると熱が上がってきた。この熱の乱高下の繰り返しはコロナに特徴的な症状だと思う。

土曜日~月曜日(療養2~4日目)

 続く土曜日の朝はこれまでに経験したことがないほどの喉の異常な激痛で幕を開けた。とにかく、唾を飲み込むだけでも針千本を飲まされているかのような容赦ない激痛に襲われ、目に涙が滲む。唾すらもロクに飲み込めないのだから、ポカリスエットも一口飲むので精一杯、食事も固形物なんて食べられるわけがないので、横になってウィダーinゼリーを激痛に身悶えしながら少しずつ補給するしかない。

 喉が痛いのに無理して水分補給をしていたら、今度は耳まで痛くなってきて、全く水分が摂れない状態になった。汚い話で恐縮だが、飲み込むことができないので、ひたすら溜まった唾液を洗面台に吐き捨てるしかない。痰が出れば痛みは少し和らぐので、このスキに水分を摂り、そしてまた激痛に襲われ・・・こんな状態が月曜日までの3日間続き、まさに地獄だった。38度~39度くらいの高熱もなかなか下がらず、体力がかなり奪われた。

 コロナになってすぐの頃は、最近激務続きだったしこの機会にゆっくり休んで体力を回復するか~、でも自宅療養中はつまらないだろうから、映画の1本とか本の1冊でも消化できればいいなぁぐらいに軽い気持ちで考えていたが、とてもそんな余裕はなく、ほとんどの時間は喉の痛みや頭痛や高熱と闘いながら朦朧として過ごした。

 改めて感じたのは、普通に飲み食いできることがどれだけ幸せかということだ。食欲がないわけではなかったのに一切固形物を摂取できない苦しみは、この症状を呈した人にしか分からないだろう。特に土日はXのタイムラインに旨そうな食事風景が容赦なく流れてくるのを見て、文字通りの飯テロに布団の上で一人悶絶したものだった。

火曜日(療養5日目)

 火曜日には喉の激痛も落ち着いてきており、固形物を摂取できるまでに回復した。熱も平熱に戻った。頑張れば半日ぐらいは在宅で仕事をできなくもなかったが、PCを会社に置いていたので、炎天下で汗だくになってまでそれを取りに行くのもアホみたいだなと思ったので普通に休んだ。呆れた上司の顔が浮かんだがもうどうでもよかった。

社会復帰、しかし・・・

 次の日からなんとか社会復帰を果たしたが、冒頭でも書いたように、コロナの爪痕に悩まされる日々は続いている。代表的な症状としては、味覚障害と倦怠感(疲労感、眠気)だ。

 前者については、療養が終わる火曜日頃から「あれ?味覚が鈍くなってる?」となんとなく気づき始め、水曜夜には筋金入りのビール党だった僕にとって「ビールが不味い」というまさかの事態が発生。ご飯を食べても普段の半分くらいしか味を感じることができない。匂いとか、口に入れた瞬間の味覚はなんとなく分かるのだが、すぐに味が消えてしまう。まるで世界が終わったかのような絶望感を味わった。

 後者の倦怠感については、仕事をしていても前よりすぐ疲れてしまうし、ちょっと自転車に乗るのもしんどい。また、時々眠気もひどくなり、貴重な休日の活動時間が睡眠で潰されてしまう。倦怠感も日替わりでやってきて、朝から身体がダルくて昼過ぎまで仕事が思うように進まない日もある。あとは咳と痰も地味に続いており、趣味の一人カラオケにも当分行けそうにない。

 この記事を書いている時点では、味覚は80%くらいは戻ってきた感じだが、相変わらず身体のダルさ、咳、痰といった症状がダラダラと続いている。特に倦怠感はいつどの程度の症状が出るのか予測できず、ある日急にひどくなることもあり得るから怖い。最悪の場合、働けなくなったらどうしようか・・・。本当に、ここまで長引くとは思わなかった。

感染経路について

 まさに「人類の敵」ともいうべきコロナウイルスに対し、普段から感染対策に気を遣っていた方の人間だったが、今回運悪く感染してしまったのは、ある意味不可避というか、対策などできようもない環境にあったからだ。感染経路は、感染の数日前に参加したミスチルのライブで間違いないと思う。

 演出効果で換気や冷房などもなく、マスクなどしている野暮な観客はほとんどいない中で、みんな自分のやりたいように声を出す。というか、桜井さんに「みんなの声を聞かせてくれー!」と煽られて黙っているわけにもいかないだろう。それで、僕の横か後ろかその辺りにたまたまコロナウイルスを持っていた人がいて、たまたま感染してしまったということだ。

 ライブはもちろん最高だったが、楽しい時間の代償は大きすぎた。自宅療養となったことで失った体力や時間、欠勤となったことで稼げなかった残業代、失った上司からの信頼(もともと無かったようなものだが)、そしてまだ尾を引く後遺症・・・。

 正直、普段は一人暮らしで彼女も仲の良い同僚も友達もおらず、つまり濃厚接触する相手が1人もいないのでコロナの感染とは無縁の人生だと思っていたが、皮肉にもこんな場面であっけなく感染してしまうとは思わなかった。そのことだけでもかなり精神的に落ち込んでしまった。

一人暮らしで体調不良になって思うこと

看病してくれる人が欲しい・・・けれど

 自由気ままな一人暮らしでも、病気になったら寂しいとか辛いというのはよく言われることだ。確かに、優しい同居人がいれば、お粥を作ってくれたり、看病したりしてくれるかもしれない。それは心強い。

 だが、僕は仮に同居人がいたとしても、看病してもらうのは申し訳ないと思ってしまう方の人間だ。相手に病気をうつしたくないし、迷惑を掛けたくないし、病気で弱った惨めな姿を見られたくないので、できれば放っておいてほしいのである。

 自分の健康管理不足が招いた事態なのだから、食料や薬の調達なども含めて全部自分で責任を取るべきだし、今まで看病してくれる友達も彼女もいたことがないので全部1人で乗り切ってきた。そういう意味では、何かあってもとりあえず生き延びられるように、普段から食料などを備蓄しておくことの重要性を改めて感じた。

頭をよぎる「死」

 一方で、特に高熱でうなされながら1人で天井をただ眺めていると、「死」が頭をよぎって不安になる場面もあった。万一僕がこのまま肺炎を起こし、1人ぼっちで自宅で死んだとしたら、なんて無様な死に方なのだろうと悲しい気持ちになってくる。

 多分僕の遺体は、無断欠勤を不審に思って見に来た会社の同僚か警察かによって発見されるだろう。遠方に住む両親がささやかな葬式をやってくれるかもしれないが、人間関係がほとんどないので、参列客は親戚数名くらいなものだ。そんなみっともない葬式ならやらない方がいい。坊主に払う金も勿体ない。

 会社では僕の死は極めて事務的に処理され、社内のイントラネットの掲示板に載るくらいなもので、朝礼で形ばかりの黙とうか何かをやってくれるかもしれないが、数日後にはみんな僕のことなど忘れているだろうし、僕がいなくても仕事は問題なく回っていく。僕がこの会社で働いていたことに意味などないし、僕の死を悼んでくれる人もいない。あーあ、虚しい人生だったなぁ。

 ・・・なんてことを、熱に浮かされながらぼんやりと考えていた。本当に爺さんか婆さんの迎えが来るかと思ったくらいしんどかったが、少なくとも(素人童貞を卒業するまでは)ここで死ぬわけにはいかない。

 今後年を取って身体がもっと弱くなってくれば、1人で死の恐怖と向き合う場面は増えてくるだろう。「孤独死が怖いから結婚したい」とか単純なことを言うつもりは毛頭ないが、今は「孤独死保険」なるものもあるし、追い追いでいいから、色んな備えというか、1人暮らしを続けるならそれなりの心の準備をしておくべきだと思った。

社畜の短い夏休み

 かくして、社畜の短い夏休みが終わったのだった。夏休みといえど、全然楽しいものではなかったが、まあ運が悪かったということで片づけられる程度に、後遺症もそろそろ治って欲しいと切実に思っている。療養中、憂さ晴らしの意味も込めてXで逐一病状報告マンと化してしまったが、普段やりとりをしない方も含め、多くの方から心優しい見舞いのお言葉をいただいたり、同じタイミングで感染してしまった方もいたりして、少しばかり孤独感が紛れた。この場を借りて感謝したい。

 さて、そこそこの繁忙期に穴を開けてしまったので上司にはかなり恨まれているだろうし、コロナに感染したことで色々と私生活にも制約がかかってしまった。症状の重さには個人差があろうが、コロナにかかって良いことなどひとつもない。これを読んでくださった皆さまがコロナに感染して苦しまないよう、というか、この諸悪の根源であるクソみたいなウイルスが1日でも早く地球上から消え去るよう願ってやまない。(おわり)

 

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