犬猫には塩を与えるべき理由がある
塩って生きてくうえでめちゃくちゃ大事なのにあんまりその働きを理解されていないですね。
たまにペットの食事やおやつを作られている方がいますが、塩を使わないようにしている方は多いみたいです。
人と同じ動物で哺乳類なのでそんなに気にしなくてもいいのに。
というかむしろ犬も猫も人よりもナトリウム量の多い食事をしているから、かえって健康を損なうことがあるってことも覚えておいたほうがいいと思います。
というわけで今日は塩の話。
塩といっても必要なのはナトリウムですね。
塩は唯一食べられる鉱物といわれておりますが、ナトリウムに至っては分類は金属(確かそうだったと思う)だそう。
ただ容易に酸化するから単体で存在することは不可能らしいので、一般的には塩という形で存在し必要量も塩として摂取されるのです。
で、今回は犬猫になんで必要かって話ですが、塩って舐めるととってもしょっぱいじゃないですか。それでめちゃくちゃのどが渇きますよね。それが実は病気予防にも繋がっていたりします。知ってました?
なんで塩舐めるとのどが渇くかっていうと、体内のナトリウム量が増えることで問題が起こるからなんですね。
ナトリウムはカリウムと切っても切れない関係にあり、その濃度のバランスがが一定でないと生命活度の維持が難しくなります。
それぞれがセットになってどんな働きをするかというと、体中の細胞は水分で満たされていますが、内ではカリウムイオンが外ではナトリウムイオンがが多く存在しています。
その濃度差を利用し神経の伝達、心筋や骨格筋の収縮を可能にするんですね。
説明がざっくりしすぎかもしれませんが、ここを掘り下げるとややこしくなるので、とにかく濃度のバランスがとっても大事なんですってことは伝わりましたか?
普通に考えればナトリウムだけを摂取するとそのバランスが崩れるのでカリウムも欲しくなりますよね。でもそんなに都合よくカリウムを摂取することはなかなか難しいです。
なので余ったナトリウムは体の外に出そう!って脳が信号を送り水を飲ませようとするんです。塩舐めるとのどが渇くのはそういう理由があったんですね。
でここからが問題。
犬も猫も本来は捕食動物です。
野生で生きていくことになれば当然調理したものを食べる機会はほぼなくなりますから、動物を食事としてとらえることになります。
その際に対象となる動物の体内水分量は60%以上ですし、塩分濃度も0.8%程度に保たれていますから、仕留めた獲物をすべて食べてしまえば自らの身体に必要な栄養素はほぼ取り込むことができますので、水を飲む機会はそう多くありません。
特に猫は祖先が砂漠で生活していたと言われている動物です。
犬に比べると水分摂取が少なく濃い尿をすることが特徴の一つに挙げられます。
砂漠で暮らしていれば水を飲む機会が少なくなるのは言うまでもありません。こうした特徴は生存競争に勝ち抜くために進化の過程で手に入れた優れた能力です。
ただ、そんな彼らもペットとして飼われていると、食事は与えられるものになりますからその内容はガラッと変わります。
もしドライフードが主食になると、いくら栄養バランスが優れた食事とは言え水分不足になりがち。これはめちゃくちゃ健康に良くないです。
個体差で多少変わりますが、犬猫は健康なら10日以上も食事を取らなくても生きていられます。でも水を飲まないで生きていられるのは3日か4日くらいです。
食事を取らなくとも蓄えられた脂肪などを分解してエネルギーを作り出せば、その生産過程で体にとって有害なものも産出されます。それを排泄することができなくなれば当然健康ではいられなくなります。
下部尿路疾患などがその代表的な病気ですね。
水分が不足して尿中のミネラル濃度が高くなれば結晶化が進んで尿道を詰まらせたりします。だから水はよく飲んだほうがいいというわけなのですが、こういう話が通じるのは共通言語を持った人間だけ。
残念ながら毎日数十頭の犬猫に囲まれ過ごした僕でも、その事実を犬猫に伝えることはできません。いくら熱心にそのことを語っても耳を貸してはくれないのです。
だから水を飲むための工夫として塩は重宝することがあるというわけです。
犬猫にも生きていくためにナトリウムは必要です。
その事実を飼い主が正しく理解しなければ、腎臓病や下部尿路疾患のリスクを高めることに繋がります。
塩は取りすぎてもいけませんが、心臓に問題があるような場合を除いては犬猫の健康を考えれば過剰摂取より摂取不足のほうが怖いかもしれませんね。
もしあなたがこれから犬や猫に何かを作って与えるなら、塩のことちょっと気にしてみてください。
大切な家族の健康はあなた次第です。これからも手塩にかけて育ててあげてください。
それではまた。