癒やしのアート
いきなりですが、癒やしについて。個人的には、心が落ち着ける瞬間が癒やしと感じます。今回は、そんな素質をもったアートに関して語ろうと思います。
私にとって最も心を落ち着けてくれるアート、あるいは私の心のなかで特別な場所を見つけたアートは、ときに子供に戻ったような気分にさせてくれる作品なのです。純粋な子供心で鑑賞できるアートというか。
そういったクオリティをもつ作品について考えていたら、ふと「映像作品」「絵本」「音楽」の3ジャンルでの具体例がちょうど思い浮かびまして。ただここまでの抽象的な話ではよくわからないかと思いますので、そろそろ本題に入りましょう。
『Hedgehog in the Fog/霧の中のハリネズミ』
こちらは「映像作品」からのエントリーです。Yuri Norstein(ユーリー・ノルシュテイン)という1941年生まれ、ロシア出身の映像作家のアニメーション作品。
ハリネズミが、一緒に星空を見るために子ぐまのもとへ出かけるお話(ただそれだけです)。
お話の設定からしてかわいいのですが、ハリネズミや子ぐまといったキャラクターの造形がいいんですよね。細かいしぐさや表情もかわいい。
作風をひと言で表すとすれば、「動く絵本」でしょうか。絵本的なキャラクターとかオブジェクトが動くタイプのアニメーションです。ただ、全てが絵というわけではなく、水たまりや川の水が実写だったり、カメラの焦点が外れてボケているというメタな部分があったり(これはおそらく狙ってやっている)という点が、独特なアナログな質感を生み出しています。Blu-rayのリマスター版では、そういった質感だったり細かいところまでよく見えますのでおすすめなんですが、現在は入手困難かもしれません…。
音楽も場面によってはとても穏やかで美しい。私のお気に入りは、ハリネズミが巨大な木に出会うシーンです。かわいらしいビジュアルと音楽の組み合わせが作り出す雰囲気がとても癒やし。
『Frog and Toad』シリーズ
Arnold Lobel(アーノルド・ローベル)作、あの有名な絵本『かえるくんとがまくん』シリーズです。「これが癒やしです」っていうのは、もう見ればわかりますよね??笑
この淡い色遣いと線の柔らかい絵柄が私は大好きです。
上の画像の書籍は、以下に記載するシリーズ4作品が全て収録されていて、最後のページにはかわいいステッカーがついています。ハードカバーでちょっと大きめの版です。英語ですが、さすがに子供向けなので、多少英語をかじっている人なら問題なく読めると思います。
『Frog and Toad Are Friends』
『Frog and Toad Together』
『Frog and Toad All Year』
『Days With Frog and Toad』
快活で外向的なかえるくんと、面倒くさがりでマイペースながまくんの日常が描かれます。例えば、お出かけしたときに無くしたと思っていたがまくんのジャケットのボタンが、あれだけ探し回ったのに、実は家の戸口にあったと気づく場面。「あ〜こういうことって現実でもあるよな」っていうシチュエーションが割と出てきて面白いです。お話自体はわかりやすく作られてはいますが、ひとひねりしたアイデア、ひとつまみのユーモアがどのエピソードにも用意されています。先ほどのボタンのエピソードの結末でがまくんは、迷惑をかけてしまったかえるくんにあるプレゼントするのでした。それは、ボタン探しの道中で拾い集めた、他のボタンを使ったあるもの。仲良しの2人が見せる優しさ、言い換えればアーノルド・ローベル流のロマンチシズムというか優しさの概念に、私はすごく憧れるのです。現実の世の中も、こんな優しさに溢れていたらいいですね。
『Seahorse Bells - EP』
さて、いよいよ最後は音楽部門からAlan Gogoll というアーティストのEPです。
これ一聴するとすごいオルゴールか何かに聞こえるかもしれませんが、全部アコースティックギター1本なんですよ。ご本人はこの奏法を「ベルハーモニクス」と呼んでいるみたいです。こんなにオルゴールみたいに聞こえるのも、要はハーモニクスを応用したバカテクみたいなものだからだと思います。極めるとこんなことになるんですね…、すごいです。
さて、そんな「ベルハーモニクス」奏法を踏まえたうえでの今作。タツノオトシゴがテーマのようですが、そう考えると何やら涼しげな雰囲気がしますね(歌詞がないので、言語的な情報は曲名だけ。あとは好きに感じ取れば良いと思います)。私は1曲目のイントロを聴くなりさっそくハートを掴まれたのでした。かわいい音というか、癒やしの音というか。それこそ、絵本の中に入り込んだときのサウンドトラックみたいにも感じませんか?
以上が、私の癒やしアート3選でした。
たまにはこういう形のアートも摂取しないといけないなと思いますね。笑
今回はこの辺で。
(この記事、ちょっとずつ書き進めていたら1か月もかかっていました。スローライターです。)
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