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妖怪と私と悪役と

妖怪に惹かれる

大人になってから、妙に妖怪に惹かれるようになった。怖いもののような、可愛らしいもののような。

昔からテレビでゲゲゲの鬼太郎のアニメを見ていたし、朝ドラで水木しげるのドラマを見たこともあった。妖怪戦争の映画も楽しく見たし、京極夏彦や畠中恵、宮部みゆきの妖怪小説もハマって読んだ。

妖怪の存在って一体何なんだろうと思っていたけど、科学が存在する前の時代に不思議な現象を説明したり、怖がらせて何かから離れさせるために生まれたものなのだろうなぁといったん納得してみていた。

べとべとさんが好き

ちなみに、好きな妖怪は、べとべとさん。大人になってから知った妖怪。水木しげるロードでべとべとさんが描いてあるTシャツを見つけて、嬉しくなって買ってしまった。

子どもの頃育った田舎では、外灯がほとんどなく、冬は夕方を過ぎると真っ暗になる。習い事の帰り道、1人で星空を眺めたり、ぽつぽつとある家から漏れ出る光を助けに、歩いて家に帰ったものだった。

そんな1人で歩く夜道に、後ろからべとべとさんが付いて歩いてきてたのかもな、と思うと、そっと笑ってしまう。別に寂しいとは思ってなかったし、慣れてしまえば暗闇も大して怖くなかったけど、やっぱり誰かが一緒に歩いてたと思うと、心が和らぐような気がする。

べとべとさんTシャツ

悪役に自分を重ねる

子どものときはヒーローに憧れてたけど、大人になってからは悪役の奥深さを感じるようになった。

そして、あれ?自分はもしかして、どっちかというと悪役の方なのか?と思うことも。物語の中で悪役と呼ばれる登場人物の気持ちがわかるぞ!?みたいな。

一番強烈だったのは、「20世紀少年」という浦沢直樹の漫画。映画にもなったけど。その漫画の最終巻を読み終わって、あ、私は『ともだち』と一緒だ…と愕然としてしまった。自分の子ども時代が漫画の悪役の子ども時代と重なるのを感じてしまった。

その後、「ワンス・アポン・ア・タイム」というディズニーのドラマに出てくる悪役で、白雪姫に出てくる悪い女王にも、自分を重ねてしまう経験をした。

悪いことはしない

小学生のとき、お寺で遊んでいて、「地獄と極楽」という大型本の漫画を読んだ。そこには、自分の欲を優先して地獄で苦しむ人間と、人と助け合って極楽で微笑む人間とが描かれていた。地獄には行きたくないと思うには十分、強烈な漫画だった。

悪いことはしない。子どもの頃から真面目すぎるほどに守ってきた。ワガママではあるけど、人には優しくする。まわりからはどう見えてたかは知らないけど、自分の中では、悪いことはしない、と決めていた。

自分は悪いことはしないけど、悪役の気持ちはわかる!?ワガママだから!?
自分は悪役側の人間かも、とうっすら気づいてしまって、信じたくも認めたくもないけど、でも、もしかしたら…という葛藤が芽生えていたように思う。自分が悪役なんて。そんなの認めたくない。

さて、そんな私が面白い論文に出会ったことで、いっきに自己理解が深まった。
私、本当の自分を隠してた!

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