【化学】§1原子の構造とイオン化エネルギー
はじめに
高校の理論化学はまず周期表から入り、イオン化エネルギー、電気陰性度、原子の大きさをはじめに習います。この辺りは本番では決して落とせません。しかしながら意外と苦手な受験生が多い印象です。この記事ではわかりやすくまとめていますので、ぜひこれを読んで自分のなかにしっかり消化しきってください。
原子量の基準
原子量の基準はC (12) の原子一個の質量 1.993 x 10^-23 g を12としたときの元素の相対質量です。
つまり炭素の原子量は 12 ではなく、
これを計算して約12.01 になります。
原子の構造と電子配置
また電子核内には軌道が存在し、一つの箱に二個まで電子が入れる。
(頭の片隅に入れておこう)
原子、イオンの大きさ
まず原子の大きさは最外殻電子核の位置で大まかに決まります。しかし同周期の(同最外殻電子核を持つ)原子同士を比べると原子核内の正電荷(原子番号)が大きいほど電子を強く引き付けるので、イオンの大きさは小さくなります。同じようにイオンも、大まかな大きさは最外殻電子核の位置で決まり、電子配置が同じイオン同士をくらべると、原子核の正電荷(原子番号)が大きいほど電子を強く引き付けるので、イオンの大きさは小さくなります。
イオン化エネルギー・電子親和力
イオン化エネルギーは単体(気体)から陽イオン(気体)と電子を作る際に必要なエネルギーのことです。熱化学方程式を書くとき、イオンと単体は気体であることに注意しましょう。
また電子親和力は陰イオンのイオン化エネルギーとみなすことができます。
ここで問題です。下の①~⑤の特徴を理由付きで説明できますか?
【解答】
① 希ガスは安定な電子配置なのでイオン化エネルギーは大きい。
②1族元素は最外殻に1つの電子があり、この電子が失われると安定した希ガスの電子配置になるためイオン化エネルギーは小さい。
③ホウ素 ( B ) には1個の不対電子があり、この電子が失われると安定した閉殻になるためイオン化エネルギーはベリリウム( Be ) よりも小さい。
④窒素 ( N ) は安定した半閉殻構造で、酸素 ( O ) の電子が1個失われると半閉殻構造になるので、イオン化エネルギーは酸素のほうが窒素よりも小さい。
⑤原子番号が増加しても、原子の大きさはほとんど変化しないので、イオン化エネルギーの値はほとんど変化しない。(遷移元素の特徴)
半閉殻構造(応用)
上記の半閉殻構造について説明したいと思います。下のように軌道のすべての箱の中に一つずつ電子が入っている構造を半閉殻構造といいます。共通テストでは出題されないと思いますが、二次試験(特に私立や医学部)では当たり前のように上記の④を記述させてくる大学も多いです。頭に入れておきましょう。
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