面接選考とはなにか。 ~「不正解」はあっても「正解」はない ~
今回は、面接選考というものをどうとらえるのか、について説明していきます。これを勘違いしていると、対策はまったくうまくいきません。ですから、最初に理解して頂きたいことです。
面接選考の回答に「正解」はない。
比較的頻繁に、「○○という質問にはどう答えるのが正解ですか?」という質問を受けます。「試験」とか「選考」といった言葉からすると、「正答」があると思うのは無理のないことかもしれません。ましてや、就活でSPI対策をしていたり、公務員試験で筆記試験対策をしたりしていると、「答えがあるはず」と思ってしまいますね。
しかし、面接の回答に「正解」があると考えるのは今すぐやめましょう。面接選考では「正解」を述べることが求められているわけではないからです。「正解を答えなければ」という意識をなくす必要があります。
人材はそれぞれ個性的なものです。似ている人はいても、個人には必ず違いがあります。採用活動は、良いにつけ悪いにつけ個性のある人間を採用するものです。そしてそれを採用側は十分理解しています。
単に質問への答えを知りたいだけならば、質問をペーパーテストのように書類に並べ、答えを書いてもらえば済みます。しかし、わざわざ対面して会話するのはなぜでしょう。
それは、仮に言葉としては同じ答えであっても、その人の口調や声のトーン、表情など、言葉以外の情報によってパーソナリティが表現されるからです。
たとえば、丸暗記した回答原稿が立派な回答であっても、暗い表情や無表情で、また小さな声で自信なく答えていたのでは意味がありません。面接官は答えの内容以上に答えている様子の方を見ています。内容が今ひとつだったり、表現が稚拙だったりしても、回答する様子が前向きで明るく、誠実な印象を与えるのであれば、十分良い評価を得られる可能性はあります。
でも「不正解」はある。
もちろん、「いやいや、その答えはないだろう」という答えがあるのは確かです。求められている人材像とあまりにもかけはなれているような回答はしないようにしなければなりません。
たとえば、顧客と頻繁に接触するような職種であるにもかかわらず、「人と接するのが嫌い」「極力人と関わりたくない」などと言えばやはりマイナス評価です。
しかし、不正解はあっても、確実な正解はありません。先の例でいえば「人と接するのが大好きです」と答えれば「正解」というわけではないのです。
そう答えたところで、他の質問への回答、あるいは表情や立ち居振る舞いからリアリティが感じられなければ、「嘘」だと見抜かれます。
もしあなたが元々はあまり人と接するのが得意ではないのなら、単に「人と接するのが大好きです」という回答だけでは、きちんと伝わらないかもしれません。でも、
「もともと引っ込み思案で人と接するのが苦手な面がありましたが、それを克服するために飲食店で接客のアルバイトをしました。最初は苦労しましたが、自分の方から積極的に接していけばうまくいくことを学びました。失敗もありましたが、年配の方なのか若い方なのか、その時の様子などに合わせて接すれば、相手の反応は自分の鏡のように返ってくると感じるようになりました。今では名前で呼びかけてくださるお客様がたくさんいます。」
と答えればリアリティがあります(まだ抽象的ではありますが)。
大したことは言っていないのですが、自分のネガティブな面も表現しながら話すことで、誠実な印象を持ってもらえる可能性もあります。
つまり、機械的な回答で済むわけではなく、面接官は「あなたのストーリー」を聞くことで、あなた自身を知ることになるのです。
面接官は「あなた」を知りたいのです。
面接選考の評価基準は、企業や組織によって異なります。しかし、共通していることは、面接官が知りたいのは応募者がどのような人材なのかということです。個性のある人間を採用するのですから、面接の場でその人のすべてがわかるはずもありません。しかし、面接官は、限られた時間の中で、「ああ、この人はきっとこういう場面ではこういう行動をする人だな」とか、「こういう経験があるのなら、このような仕事にも耐えうるだろう」とか、そういうことを把握しようと努力をしています。
したがって、応募者の側も、その理解が進むように自分を表現しなければいけません。あなたのストーリーを話して、あなたを売り込むのです。
面接はあなたを「売り込む」場です。
あなたのストーリーを話すこと、つまり大切なことは、自分にしかできない答えすることです。決して、他の人にはできない優れた答えをしなければいけないということではありません。あなたの経験や考えはあなただけのものです。それをいかにうまく表現するかなのです。
「うまく」というのも「立て板に水」のように流暢に話すことを指すのではありません。自分の個性や自分の経験を、いかに具体的に相手に伝えられるかということです。
没個性では「売り」にならない。
自分の個性や経験を具体的に相手に伝えようとするとき、人によっては、きれいにおさまった表現や、かっこいい言い回しなどを使えなくなる人もいるでしょう。失敗しそうな気がして、具体的に突っ込んだ答えができず、抽象的でぼんやりとした答えになってしまう人もいます。
「正解があるはず」、「不正解を言いたくない」、「うまくやりたい」、という気持ちが強いと、結果的には没個性的な回答になりがちです。それでは、面接官の印象には残らず評価も良くない可能性は十分あります。大失敗はしなかったけれど手応えもない、といった面接をいくら繰り返しても、なかなか内定にはつながりません。
「何を」答えるかだけではなく「どう」答えるかが大切。
自分を売り込むアピールをするためには、「多少失敗しても良いから、積極的に自分を押し出そう」という意識が必要です。決して「正解をはずしたくない」といった気持ちではできません。ペーパーテストではわからない人材としての価値は、回答内容以上に話し方や表情、表現の仕方で決まります。
「何を答えるのか」をしっかり考えておくことが不要だというわけではありません。もちろん、準備も大切です。しかし、良い答えをすることだけに腐心したところで、内定には届かないことも多いのです。「何を答えるのか」と同じように、あるいはそれ以上に「どう答えるのか」が重要だという意識は早いうちに持っておいた方が良いでしょう。
まとめ
面接に臨む際に、「正解」を言わなければと意識してはいけません。面接選考にはペーパーテストとは異なり、絶対的な正解不正解はありません。
大切なことは攻めの姿勢で、失敗を恐れずに自分を売り込むことです。そのためには、抽象的ではなく、具体的なエピソードなどが必要です。この点はまた別の機会にお話ししますが、今日のところは、「面接選考の回答に正解はない」ということだけおさえて頂ければと思います。
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