納豆を手作りする日が来るなんて思いもしなかった。

私が移住してきた先は日本食を手に入れる事が難しく、日々の食卓に納豆を欠かしたことの無かった私には中々の試練が訪れました。

これを機に色々な武器を手に入れた今、切るだけ!混ぜるだけ!和えるだけ!簡単料理が大好きなレベルのこの私がなんと、納豆を手作りしています。

渡米してきて、納豆にありつけたのは移住から1年半経った頃です。車で高速道路をかっ飛ばして40分のアジアンスーパーで感動の再会を果たしました。日本にいる時は徒歩5分のスーパーで3連パック89円を爆買いし、冷蔵庫のストックを欠かさなかった日々。

所変われば品変わるということで、再会場所はまさかの冷凍食品コーナー。そして、お値段はまさかの3ドルです。視力は裸眼で2.0ある私の視界がかすみ、二度見です。

え?ちょ待って? 

繰り返します。あのお馴染みの納豆の3個セットが1つ3ドル。

1ドルが単純計算で100円だったとしても300円。

こんなもん納豆に300円払えるのなら、高級デパートに鎮座しているあの超高級納豆が買えてます。達筆で目を細めないと読めない様な字で書かれているパッケージで藁に包まれた、これぞ納豆という代物のあれです。

せっかく再会できた納豆のおったまげる金額がきっかけで、私はその場で妄想一時帰国。今ままで指をくわえて、美術館の作品を見るように通り過ぎて、愛でるだけだったデパートのあの高級納豆の映像が頭に過りました。

でも目の前にあるのは皆さんご存知、毎度お馴染みの発泡スチロールの容器。

しゃーない!何のため遥々来たんや。買うで。もう買うで。買うから!と自らを奮い立たせ、

もう再々来られないので、清水の舞台から飛び降りる思いで2パック購入しました。

後にこれが最初で最後の市販の冷凍納豆となります。

帰宅後はすぐ冷凍庫にしまい、賞味期限なんぞ自分の舌と腹で判断するんだという意気込みで日付完全無視。ちびちびと大切に長い期間をかけて頂きました。

これまで納豆を冷凍なんてしたこと無かったので、初体験の味でした。しかし、意外なことに味はいつもと同じ。冷凍してもあのネバネバは全然衰えることなく健在で驚きました。

どうでもいい情報ですが、賞味期限を何ヶ月も有に過ぎ去ってから食べましたが、何の被害も無し。無事中の無事だったことを、ここにお知らせ致します。

さて、一回再会してしまうと、やっぱり食べたい。あの魅惑の粘り。

でも、ホイホイ簡単に買いに行けない。いや、でもめちゃ食べたい。

はい、ほな自分でこしらえましょう!

ということで手作り納豆の旅に出ることになります。

普段からTwitterを電気、水道、Wifiの次に優先順位を置き、大切にしているライフラインなので早速情報収集開始。日本食にありつけない地域にお住まいの方は私だけではなく、納豆への熱い思いをお持ちの先輩方がいらっしゃるのです。色々な有益なアドバイスが手に入りました。

必要なものは以下の通り。

乾燥大豆

電気圧力鍋(またの名をインスタントポット)

納豆菌(または市販の納豆でも可)

なんと、必須アイテムはこれだけ。そして、更に素晴らしい事にこのインスタントポットは、スイッチを一旦入れてしまえば後は放っておくだけでいいという魔法のアイテムです。

大まかな手順は、こちら。

❶お豆を水洗い後、一晩水に漬ける

❷インスタントポットにお水、お豆を投入。Beans の豆専用ボタンを押して2時間を選ぶ。(離乳食を兼ねているので、これで歯がなくても噛める納豆になります)

❸お豆が出来る頃を見計らって、粉状の菌を混ぜる為、湯冷ましを用意。スプーンと種菌用の小皿、おしゃもじを熱湯消毒。

❹茹で上がるとお湯を切り、お豆に納豆菌をまぶす。(この時に触れる用具はすべて消毒済のものを使用)※前述の納豆作りの先輩からご紹介頂いた2段重ねが出来るザルに分けると、空気がうまく対流し、大成功の納豆に出会えました。また、この茹で汁はお味噌汁に再利用可。

❺インスタントポットのヨーグルトモードのスイッチON。40℃前後をキープするため、蓋に水滴が付き納豆に落ちるのを防ぐためキッチンペーパーを挟んで置く。

工程は以上。24時間後お知らせのピー音が鳴れば完成です。旨味成分を引き出すため、小分けにした後冷蔵庫で1晩寝かすと、あのお馴染みの凍ってない納豆に再会ができます。

手作り納豆の1番のハイライトは、菌を混ぜる容器やスプーンを熱湯消毒するところぐらいでしょうか。インスタントポット頑張ってもらうだけなので、私は乳児の世話をしながら納豆菌たちに思いを馳せ

「よろしゅう頼んます!」と念を送るくらいです。

ちょうどこの記事を書き終える今、昨日仕込んだ手作り納豆に呼ばれる頃です。試行錯誤の結果、安定した粘りと最適なお豆の硬さの加減を発見できました。

これまでは不安定な出来上がりにドキドキしながら、開けてた蓋も、今や堂々たるものです。

これから、小分けした後明日が食べ頃ですが、待ちきれそうにありません。バルコニーの再利用無限青ネギを伐採してきて、味見と称してオリジナルの手作り納豆を一足お先に頂きたいと思います。

1パック89円を爆買いして何不自由の無い納豆生活もある程度幸せでしたが、インスタントポットの力を大いに借りて少しの手間をかける、手作り納豆生活に別の形の幸せを感じています。

口に入るものを最初から最後まで見届けられる手作り生活もなかなかええな〜と思っています。



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