見出し画像

忘れえぬ想い出 ep14

いつまでも、心に残るあたたかな言葉のやりとり。




新人として、社会に出たころの話です。


会社の全国各地にある工場や支店などに、社報のような冊子を、毎月社内メール便で送るという仕事も担当していました。
(雑用みたいなものです笑)

戻ってくるメール便の袋を開封し、中に何か連絡が入っていないかを確認して、新しい号の冊子を入れてメール便に乗せます。


やり取りをしているうちに親近感が湧き、時折、土地の銘菓や手紙などが入って返ってくる事もあり、先輩達には内緒で、私もお菓子を送り返しては、秘密の業務を楽しんでいました笑。



そんなある日、滋賀にある工場の主任からの便に一枚のメモ


「今まで、社報を送って下さり有り難うございます。私は◯月◯日付けで定年退職いたします。後任の者が決まっておらず、来月からの発送は結構です。今までありがとうございました。」

と、書いてありました。
そして、定年退職の日付はなんと明日


定年退職という言葉を初めて聞いた新入社員の私は、とっても寂しい気持ちになりました。私には、思いも及ばない永遠のずっと先の定年・・・。
会社を辞める?寂しく無いかな?
いてもたってもいられなくなった私は、昼休みにこっそりとFAXを書いて送りました。


退職されるまでに、間に合いますように!



「◯◯工場 I倉様

私は、社報を発送している新入社員のmumuと申します。
この度、メール便のメモを拝見して、定年退職なさる日が明日になっており、失礼ながらこの方法しかなく、こっそりFAXを送らせていただきました。
会社に入って、定年退職という言葉を初めて聞き、とても寂しい気持ちになりました。
今まで、ずっと毎日頑張って来られたのだと思います。会社を退職されて、これからどうなさいますか?お寂しく無いですか?
これからもお身体をお大切に、ご健康で、楽しい毎日をお過ごしください。
長い間お疲れ様でした。

大阪支社 mumu」




そして翌日


「mumuさん、滋賀の工場からFAX来てるけど?あなたに何の用事?」
という先輩の手から

「何でも無いんです、何でも無いんです、有り難うございます」

と、頭を下げてFAXを受け取り、席に着いてこっそり読みました。


「大阪支社 mumu様

この度は、心優しい言葉を有り難うございました。
私は、この会社に勤めて30年以上経ちますが、あなたから届いたFAXが、会社生活の中で一番嬉しい思い出となりました。
新人のあなたが、会社の中を溌剌と忙しく働いて回っている姿が目に浮かび、爽やかな気持ちになりました。
退職後は、趣味の囲碁をしたり、孫達と遊んだりを楽しみにしています。会社を辞めるのは寂しいですが、自由な時間がある事を楽しみにしています。
社会に出たばかりのあなたには、これから色々なことが起こると思います。大変な時もあると思いますが、ずっと素直で優しい気持ちを持った人でいてくださいね。
応援しています。

この度は、お手紙を有り難うございました。◯◯工場 I倉」


デスクでボロボロ泣きながら読みました。
そして、この出来事は、私の生涯忘れ得ぬ想い出になりました。

新入社員と定年退職…
社会人の始まりと終わり…




ご縁と言いますが


私は、この滋賀の工場のI倉さんと、実際にお会いしたことは一度もありません。
ただ一度、メモから始まったコミュニケーションだけでした。

あれから長い年月が流れた現在でも、こうして時々あのFAXの事を思い出します。
「I倉さんはどうしておいでだろうか?」


人生にある、多くの出会いは、もしかしてワンチャンスかもしれません。


それなら、お互いの心が、ほんの少しでも優しくほんわりと温まるような出会になるといいな、と思っています。


応援したり
応援してもらったり
それは、何よりうれしいことです。


akaiito RÉGAL CHEESECAKEがお届けする優しい気持ち

そして、そんな私が、心を込めてお焼きする「akaiito RÉGAL CHEESECAKE」に出会って下さり、お召し上がり下さる皆様の心にも、ほんわか優しい気持ちをお届け出来ますよう、真心をいっぱい込めてご用意させていただきます!


RÉGAL CHEESECAKEは、WEBショップから、全国へ発送させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
アルバイトさんもおらず、製作から発送まで、わたしが全てひとりで心を込めて行っております。生駒市のふるさと納税返礼品にも選定されていますので、そちらからもよろしくお願いいたします。

店主mumu

ひとりぼっちで毎日奮闘しています。 サポートありがとうございます。