見出し画像

京大院卒が考える「大学院行くべき?」への答え

本記事では、京大の大学院を修了した筆者が、大学院というものに行くべきか否かをまとめます。

前置きは苦手なので、早速結論から。「んー、別にいかなくてもよかったかも?」こちらが私の結論です。

私は学費免除×奨学金免除でほぼタダで大学院を修了することができました。にもかかわらず、この結論です。

以下で、
・大学院に私が進んだ理由
・大学院にまつわる私の感想
・大学院に行くべき人
・大学院に行くべきではない人
を紹介します。実体験に基づく内容および感想なので、それなりに説得力があるのではないかと思います。

就活の時期ですし、進学or就職に迷っている人などに届けばいいな。助けになればいいな。


私が大学院に進んだ理由

私が大学院に進学した理由は主に4つです。

大学院進学を通じて自分の進路を変えたかった

一つ目がこちら。学歴ロンダリングではありませんが、専攻ロンダリングを考えていました。

私が大学で通っていた学科は少し特殊で、研究室選択によって3~4つの専攻に進むことができました。つまり、うまく研究室を選択すれば別の分野の学生として人生を進めることができました。

私はこれを希望していました。というのも、大学受験の際に第一希望の専攻分野の学科に落ちてしまったのです。そのために、コース選択を通じて元の進路に軌道修正したい!という思いがあったのです。

そのため、希望の分野の研究室を選択して大学院することで、自分の専攻を変えようと思い、大学院進学を選びました。

コロナと就活の時期が被った

2つ目の理由がこちら。私の就活の時期とコロナが完全に被ってしまったのです。

私は大学院進学せずに就職活動を進めた場合、21卒となる予定でした。そうです、コロナが始まった2020年3月~2021年3月に就職活動を進める学生たちです。

これがかなり不安でした。特に、興味のある業界がコロナで大打撃を受けていたこともあり、「一度大学院進学して様子を見たいな」という思いがありました。

ほぼタダで修了できる自信があった

3つ目がこの理由。なぜか、私には「大学院はタダで通える」という自信がありました。

大学院に進学するにあたって、ネックとなるのはやはり金銭面です。入学料、学費、在学中の生活費など…。しかも、他の同年代は働いている時期にこれらを消費するわけですから、よりリスキーとなります。私の場合、進学するならば必要な金銭面はすべて自分で、という家計でしたのでなおのことでした。

しかし、ここに対して、私は「何とかなるっしょ」と思っていました。

もちろん、ずるしてタダで通うわけではないです。「学費免除×奨学金免除」で行けるだろう、と思っていたのです。この根拠は皆目見当もつきませんが、当時は自信満々でした。若気の至り猪突猛進、怖い。

幸い、想定通りにほぼタダで通うことができたので結果オーライなのですが…。そのあたりは前置きで紹介した記事で紹介しています。

そういうものだと思っていた

最後の理由。あまりにも情けない理由ですが、「そういうものだ」と思っていたのです。みんな大学院に行くものだと。

というのも、私の所属する学科の大学院進学率は約90%でした。ほとんどの学生が大学院に進学していたのです。

その波に乗って、私もなんとなく大学院受験をしていた節は否めません。「もうすぐ大学院行くか決めないとな」という思考ではなく、「もうすぐ大学院受験か」という思考が先に来ていました。

もう少し真剣に考えてもよかったんじゃないかな、過去の自分よ!

大学院にまつわる私の感想

ここでは、実際に大学院に通った感想を紹介します。大学院を修了し、その後1年社会人として働いたうえでの感想をまとめております。

なるべく生々しくなるように努めました。

人生で一番頭がよくなった実感がある

大学院の2年間は人生で一番頭が良くなった実感があります。小中高大院の中で最も短い期間にも関わらず。

ここでいう「頭が良くなった」とは、「考え抜く力が身に着いた」という定義です。何かしらの知識が身に着いた、などではありません。

大学院の2年間は、答えのない問いに対してひたすらに試行錯誤を繰り返します。その過程で、どんどん考える力やタフネスが身に着きます。

考え続けないと修了できませんからね。

自分なりにゴールを設定し、そこにたどり着くまでのプロセスを構築し、愚直に実験や解析を繰り返します。そして、その結果によっては、ゴールを改めて設定しなおし、ゼロから再開していきます。

そりゃもう考える力は身に着くでしょう。つなかいはずがない。大学受験期間以上に頭が良くなったなと実感できたのはとても嬉しかったです。

とはいえ、お金を稼ぐには頭はそこまで必要ない

これは社会人になってから思ったこと。働くには大学院の経験は不要です。

あんなに頭を使う訓練をしたのに、仕事はそれを全く必要としません。仕事内容によっては、むしろ「考えないこと」を求められます。昔ながらの大企業なら特にこの傾向が強いです。「無個性な歯車」であることを求められます。

研究職にこだわりがない限り、大学院での経験はいらないのではないかなと思います。

必要なのは体力とコミュニケーション力です。

モラトリアムを伸ばすにはいい選択

まだ遊びたいと考える学生にはいい選択だと思います、大学院進学。

研究室の選び方によっては、週に1回行くだけで修了できてしまうような大学院生活を送ることができます。

私の友人は上記のような生活で修了していました。大学卒業してからバイトを増やしたりしていましたね。いいなああああああ!

「24歳新卒」はその後の選択の腰が重くなる

これは今まさに思っていることです。社会人1年目だからといって、のほほんとしている時間が一切ありません。

転職や結婚などの人生イベントが目の前に怒涛の勢いで控えています。

まず転職について。「今は転職は当たり前」なんて言われる時代になりましたね。いい時代だなと考えます。しかし、同時に言われるのは「まずは3年続けるべきだ」という主張。「転職は20代のうちにしておけ」なども言われますね。

これらを同時に行うならば、院卒が転職できるチャンスは最大2回です。27歳、30歳の2回です。どちらも3年勤める計算ですね。チャンスが少なくないか?つい、キャリア選択に慎重になってしまいます。「大学院まで出て就いた仕事を3年で投げ出してしまっていいのか?」などの考えが頭をよぎることもあります。

続いて、結婚についてです。新卒一年目の時に同級生の結婚式に出たときはとてもびっくりしました。「もうそんな年なのか」と実感させられました。また、その同級生は家の購入まで行っていたのでなおさらでした。

30歳までに結婚したいなーなど考えているならば、結婚までに2年ほど交際期間があるとして、タイムリミットは3年(27~28歳)です。社会人となって格段に減る出会いをうまくものにできるのか?さらに、「それまでにもう少し遊んでおきたいな」など考えるならば、この3年間でしっかり遊びきれるか?そしてこれらと同時並行で仕事も頑張れるか?

このように。大学院修了してすぐに、いろんなことを考える必要があります。そして、その考えた結果の行動一つ一つがライフプランに大きく影響を与える年齢で新卒となります。

社会人学生は本当におすすめ、憧れる

これは強く思います。大人になってから大学院に通うのもありだったなー、と。

こう思うのは、「社会人を経験してからの『学びたい』は、強い想いであることが多い」と考えるためです。

社会人になると、様々なバックグラウンドを持った人と出会います。そうして、自身の視野も格段に広がります。周囲の人間が、同じ学校に通う学生ばかりであった頃とは大違いです。

その上で「この分野を学びたい」と思って通う大学院は、とても貴重で充実した学びになるのではないかと考えるのです。知的探求の最上級のような。心から知ることを楽しいと思えるような。

いつか生活に余裕が出来たら、また勉強したいですね。

行くべき人

それでは、どのような人が大学院に通うべきなのか?通うべきでないのか?以下にまとめます。

今の研究や専攻の内容に人生を捧げたいと思える/大学院に進学しないと希望の研究ができない

とにかく研究が楽しい!だとか、大学院で絶対に研究したい分野があるんだ!という人。行ってください。そのまま研究者になりましょう。大学の時点で天職に出会えているわけですから。

社会人を経験してから強く思いますが、「好きな仕事がある」というのはとても幸せなことです。仕事を仕事と思わない=働いていない、とも言えるわけですので。

あなたの熱意が日本を明るくします。日本はあなたたちのような研究者のおかげで毎日より良いものへと変革を続けています。お願いします。他責でごめんなさい。どうか日本を導いてくれ。

大学院で学歴を変えたい

就活のために大学院を利用するパターンです。いわゆる学歴ロンダリングとかですね。

正直、あんまり効果はないと思うけどなあ。学歴フィルターをかけるような企業は、学部時代の学歴も見てくるし。

まあ、自己満足としてはいいかもしれないなと思って挙げさせて頂きました。自信をもって就活に臨める、などのメリットもあるだろうしね。

最後に

以上、大学院についての経験談かつ独断・偏見に基づいた持論でした。

よい会社に就職したい、高い年収を目指したいなどの目的があるならば大学院には通う必要はないと思います。オーバーキルになります。会社はそこまでの知的労働は求めていません。

「なんとなくでは通うものではないな」と思ってもらえたならばこの記事を書いた目的は達成です。嬉しいです。

ありがとうございました。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?