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エンタープライズBDRのKPIは月間アポ数が正しいのか?
エンタープライズ営業において、BDR(Business Development Representative)のKPIを「月間アポ数」とすることは本当に正しいのでしょうか?
短期的なアポ獲得のみにフォーカスすると、限られたターゲットアカウントを焼き畑的に消費するリスクがあり、エンタープライズセールスにおける持続可能な戦略とは言えません。本記事では、BDRの適切なKPIについて考察します。
限られたターゲットアカウントを焼き畑的にアポ数を追うのはリスク
エンタープライズセールスでは、ターゲットとなる企業数は数百から多くても数千程度です。日本国内の法人は約400万社ありますが、実際に取引対象となるエンタープライズ企業はそのうちのごく一部に限られます。
例えば、1社あたりの主要キーマンが3名だと仮定すると、ターゲットとなる人物は数千人程度です。もしBDRが「月間アポ数」のKPIだけを追い求め、片っ端からテレアポを実施すれば、わずか3か月で一巡してしまいます。そして、一度商談機会を逃してしまえば、次にアプローチできる機会を簡単に作り直すことはできません。
このように、エンタープライズ営業ではターゲットリストが限られるため、単にアポ数を追うだけではなく、長期的な視点でターゲットアカウントをどのように攻略していくかを考える必要があります。
どこから?だれから?どうやって?を突き詰めて1社ずつ攻略していく
エンタープライズBDRの役割は、単なるアポ獲得に留まらず、ターゲットアカウントごとに深く理解を進め、最適な接点を創出することにあります。そのために必要なステップは以下の通りです。
1. ターゲットアカウントのセグメント化
ターゲット企業を一律に扱うのではなく、業界・企業規模・組織構造・成長フェーズなどで細かく分類し、各グループに対して最適なアプローチ方法を検討します。
2. 部署・キーマン単位での解像度向上
ターゲットアカウント内でも「どの部署の誰にアプローチすべきか」を突き詰めることが重要です。例えば、
CxO層向けのアプローチ → ビジョンや経営課題に沿った提案
事業部長向けのアプローチ → 部署のKPIに直結する提案
実務担当者向けのアプローチ → 現場課題を解決する具体的なソリューション
このように、ターゲットごとに異なるアプローチ戦略を取ることで、商談の成功確率を高めることができます。
3. マルチチャネル戦略の活用
エンタープライズ営業では、テレアポだけではなく、手紙やSNS、エグゼクティブサロンや個別メルマガなどの長期的な施策を並行して実施することが不可欠です。
手紙営業:ターゲットにパーソナライズした手紙を送付し、認知と信頼を獲得
LinkedInなどのSNS活用:キーマンとの関係構築と情報発信
エグゼクティブ向けサロン:業界のリーダー層と継続的な接点を持つ機会を創出
ターゲット別の個別メルマガ:特定の関心領域に特化した情報提供を行い、リードナーチャリングを実施
このような多層的なアプローチを組み合わせることで、エンタープライズ企業の意思決定プロセスに寄り添った営業活動を展開することができます。
商談/リードのカバレッジ率が最適なKPIなのでは?
単純に月間アポ数をKPIにしてしまうと、以下のような問題が発生します。
リストの枯渇 → 目先の商談獲得にフォーカスしすぎて、長期的なターゲットリストがなくなる
雑なアプローチ → アポ獲得のためにターゲット選定が粗くなり、成約につながらない商談が増える
そのため、適切なKPIとして考えられるのは、ターゲットアカウントの商談/リードカバレッジ率です。
1. 商談カバレッジ率をKPIにする
「ターゲットアカウント全体のうち、何割の企業と商談機会を創出できたか」を測ることで、単なるアポ数ではなく、長期的な関係構築の進捗を評価できます。
2. 受注金額やパイプライン創出金額を3か月スパンで評価
アポ数だけでなく、「受注金額」「パイプライン創出金額」を3か月ごとに評価することで、短期的なアポ獲得のみに偏らず、目先だけではない戦略的な施策が可能になります。
例えば、
目標:3か月以内にターゲットアカウントの30%と商談機会を創出
パイプライン創出金額:1億円以上を目指す
受注率の向上を前提にしたアプローチ設計
このようにKPIを再設定することで、単なるアポ数ではなく、本当に価値のある商談を創出する仕組みを作ることができます。
まとめ
エンタープライズBDRのKPIとして「月間アポ数」を追いすぎることは、リストの枯渇や雑なアプローチを引き起こし、持続可能な営業戦略にはなりません。
そこで、
ターゲットアカウントの商談/リードカバレッジ率をKPIに設定
受注金額・パイプライン創出金額を3か月スパンで評価
ターゲットアカウントごとの深いリサーチとマルチチャネル戦略を活用
といった視点で営業戦略を組み立てることが、持続可能で成果の出るエンタープライズBDRのあり方だと考えます。
ロゴトルは商談獲得数だけではなく、ターゲットアカウントからのアポ取得にこだわり、パイプライン創出金額とリードのカバレッジ率も指標としてクライアントと追っています。