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Salesforce流ABM戦略~エンプラ案件獲得を加速する~#ロゴトルラジオ対談記事

元メルカリ、セールスフォースの営業経験を持ち、現在はORIT社を創業して法人向け営業DX支援を行う石川氏に、エンタープライズ営業におけるABM戦略について話を伺いました。

ORIT社の営業DX支援とは?

橋本:まずは御社の営業DX支援について教えていただけますか?

石川:大きく分けて、システム側と営業・マーケティングの実行側の2つがあります。システム面ではセールスフォースやHubSpotの導入・運用支援を、営業面では営業代行を提供しています。

橋本:他社との違いはどういった点でしょうか?

石川:上流工程からの支援が特徴ですね。システムを入れても売上は上がりません。結局、クソ高いものを入れただけで終わってしまう。業務全体の設計から入らないと意味がないんです。

現場の負担を下げるためにどういうシステム連携をするのがベストか、どういうマネジメントをしていくべきか。そういった業務全体を設計する上流からの支援が必要だと考えています。

橋本:具体的にはどのような支援をされているんですか?

石川:例えば、代理店経由の販売しかしていなかった会社が直販を始めたいという場合、実際の営業支援だけでなく、KPIの設計から直販戦略の策定まで包括的に支援します。PM費用をしっかりいただいて、戦略から実行までワンストップで支援させていただくのが特徴です。

橋本:なぜこの事業を始められたのですか?

石川:商材ありきではなく、本当にクライアントの売上を上げるために何が必要かを追求したかったんです。セールスフォースにいた時は、持っている商材の範囲でしか提案できない。例えば、セールスフォースの最も苦手な部分は、リードを生み出すマーケティングの最初の部分なんです。データが入ってきた後から初めて活躍するシステムなので。

実際には、マーケティングにもっと費用をかけた方がいい場合もある。でも営業としての予算を持っている以上、そういった提案はしづらい。そういった制約のない、クライアントにとって本当に必要な支援をしたいと考えました。

セールスフォース流ABM戦略とは

橋本:ABMについての石川さんの考え方を教えていただけますか?

石川:エンタープライズ企業を攻略するための戦略です。プロダクトがPMFして売上を伸ばしていく段階で、必ず大手企業を取りに行かなければならない瞬間が来ます。中小企業だけを対象にした薄利多売では、現場は疲弊するし、事業としての安定性も欠けます。何より、実績作りの面でもネームバリューのある企業は重要です。

橋本:具体的にはどのように進めていくのでしょうか?

石川:まず重要なのは、エンプラを狙う前にPMFをしっかりすることです。自社のプロダクトや事業の差別化要素、ポジショニングが明確になっていない段階でアプローチしても、「つまらない会社が来た」で終わってしまいます。

その上でターゲット企業を数百社程度に絞り込み、そこに集中的にリソースを投下する。エンタープライズ営業は時間がかかるので、途中で挫折する企業も多いんです。だからこそ、選択と集中が重要になります。

橋本:実際に御社でも実践されたそうですね。

石川:そうですね。独立して1、2社目の支援先として、上場企業の会計SaaSプロダクト会社を狙い打ちで獲得しました。今も10ヶ月以上取引が続いています。最初は本当に自分のつながり、友人の経歴まで全部整理して、ピンポイントでアプローチしました。

ABMを加速する決裁者アプローチ

橋本:人的つながりがない企業へのアプローチはどうされていますか?

石川:手紙施策が最も効果的だと考えています。物理的な接点として、電話、フォーム、手紙しかない中で、最も可能性が高いのが手紙なんです。

橋本:最近は手紙施策を謳う会社も増えていますよね。

石川:ただ、形式的な手紙施策では効果は期待できません。本気でやるなら手書きにする、普通の封筒ではなく切手を貼る、バイネームで担当者を特定して送付する。こういった細部へのこだわりが重要です。

その後のフォローコールでも、受付をブロックする企業を突破するスキルが必要です。「この手紙の重要性は受付では判断できない」という雰囲気を出しながら、イレギュラーな形でつないでもらう。こういったスキルを持っている人はほとんどいません。

橋本:そういった高度なアプローチを提供できる会社は少ないということですね。

石川:はい。市場には確実にニーズがありますが、品質を担保して再現性のあるサービスを提供するのは簡単ではありません。特に文面の個別化は、AIでもすぐには実現できないでしょう。IR情報や最新情報、Googleアラートでキャッチした情報を適切に盛り込むには、まだまだ人の判断が必要です。

橋本:アプローチ後の展開も重要そうですね。

石川:そうですね。エンタープライズ企業は部門も多く、社員も何千人、何万人といる規模です。最初の接点が目的の部門や決裁者でなくても、それは問題ではありません。むしろ、その接点からどう組織内で展開していくかが重要です。

相手が反対者だったら別の部門にアプローチし直す、推進力のない人だったら横の部門を紹介してもらう。ここは本当に営業力が試されるポイントです。

橋本:御社のクライアントに対しては、どういったアドバイスをされているんですか?

石川:まず、ターゲット設定にこだわりすぎないようにアドバイスしています。「この部門のこの役職でないとダメ」という考え方は、実はあまり生産的ではありません。私がセールスフォースにいた時も、「営業担当でもいいから、とにかくこの企業の接点を作ってほしい」というスタンスでした。

最初の切り口を見つけて商談を設定し、そこからどう広げるか。これが本当の営業の見せどころなんです。手紙戦略などは、あくまでそのきっかけを作るための手段でしかありません。

まとめ

橋本:最後に、ABM成功のポイントを教えていただけますか?

石川:まず、自社製品・サービスのPMFと差別化要素の明確化が大前提です。その上で、最初の一社を獲得するまでは、とにかく泥臭く紹介を追求することです。

SNSで影響力を持つことも大切です。メガベンチャークラスだとSNSを活用している役職者も多いので、そこからアプローチすることも可能です。ただし、ナショナルクライアントの役員クラスはコンプライアンスの関係でSNSをあまり使っていないので、やはり人的つながりが重要になってきます。

一社でもエンタープライズの導入実績ができれば、その後のアプローチは格段に容易になります。「あの会社にも導入されています」という一言で、信頼度が全く違ってきます。だからこそ、最初の一社に全力を注ぐべきなんです。​​​​​​​​​​​​​​​​

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