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【W】2025学習記録②-西洋中世文化事典を立ち読み-

2024年12月に出版された『西洋中世文化事典』が気になりすぎる!しかし即購入するには高額すぎる(税込26,400円)。図書館には未だ所蔵されていない。仕方ない。本屋さんで立ち読みすることにした。

土曜日の正午近く。Webサイトで在庫ありと表示されている、近所で一番大きな本屋さんへ行く。そこそこ賑わう店内で、西洋史コーナーはいつものことながら比較的ひっそりしている。無事お目当てを発見。

『西洋中世文化事典』は、様々な角度から網羅的に西洋中世文化史の概要を学べる楽しい「読み物」。(事典というより読み物という印象。)16章にカテゴライズされる296各項目が、大御所から若手中堅まで幅広い西洋中世学会所属の研究者の方々によって2,400字程度にまとめられている。大所帯が書いたものの集積なので、異なる項目に重複する内容が散見されるが、別々の人が同じことについて書くということは、それだけ重要ポイントなのだと知ることができるわけで、それはそれで勉強になっていい。はじめから終わりまでじっくり読んだら、西洋中世文化史の大枠を掴めそう。美術史に偏って学んできた自分にはぴったりな一冊だ。はやくじっくり読める機会が欲しい…。

西洋中世史ゼミの学部生が卒論を書くときのテーマを考えるのにも、良き教材になりそうだなーと思った。まずは16章のうちから自分の興味のあるジャンルを選び、そこからもっと調べたいと思う項目を一つ見つける。狙いを定めたら、あとは事典に書かれている2,400字をどんどん自分の興味の方向性に膨らませていって、かつオリジナルの意見を織り込めれば、そこそこの卒論が完成しそうな気が。学部生が大した勉強もしないままに急に論文を書けと言われ、まず困るのはテーマ設定。その後、傷少なくゴールできるか大コケするかも、テーマ設定にかかっている。そんな卒論構想の初期段階で、この事典はきっと頼もしいアシストをしてくれるだろう。

ちなみに、わたしが今回立ち読みさせていただいたのは以下項目。

2章 国家と支配
【コラム】フェデリコ2世
3章 ことばと文字
ラテン語と俗語/寓意擬人像
7章 移動と交流
説教
9章 信仰と想像
托鉢修道会/シスマ(教会分裂)
11章 書物と文芸
古典古代の受容/アレゴリーの系譜と『薔薇物語』
12章 美術と表象
記憶/知の視覚化/【コラム】シュジェール
13章 建築と場所
古代の遺産/中世建築のかたち/スポリア
14章 思想と科学
大学での教育/12世紀ルネサンスと翻訳/1277年の断罪/徳と倫理/【コラム】トマス・アクィナス
16章 中世受容と中世研究:西欧と日本
中世暗黒説の諸相/西洋中世と日本のサブカルチャー/ゲームの中の中世

これでも厳選した!もっと読みたいのをぐっと堪えて帰宅した!

現代日本での西洋中世文化受容を整理する16章は、もっと考察を膨らませて一冊の本として刊行できそう(ライト層からも需要ありそう)と思った。

西洋中世学会のサイトに特設ページが出来ていた。

Newspicksでも連載中。

薄給労働者には26,400円は気軽に買えるブツではないため、しばらくは上記Webコンテンツの更新に目を配りつつ、図書館が早期購入するよう願かけしておく。立ち読みさせていただいた本屋さんに合掌。

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