蔑視(オリジナル短編小説)
「続いてのニュースです。本日未明、◯◯県◯◯市の住宅で、二十代の女性が、刃物を持った三十代の男性に……」
朝8時過ぎ。フロアに設置されたテレビから、聞こえるか聞こえないかの音量でニュースが流れている。出社しているのは、まだ俺と一年目の女性社員だけだ。
今日も、何人もの弱い人間が、他者に依存し、依存され、その末に殺されている。
どうして人は他者に依存するのか。俺には全く理解できない。親、恋人、それから教祖。そういった自分自身以外の人間を精神的支柱にすることで、いったいなん