「君の話はもう聞き飽きた」
君の話はもう聞き飽きた タバコばかりが減ってきただろう
目は口ほどにものを言う。
君は関心がない話のときは、目が真っ黒だ。
口ぶりはいつもの相槌だし、笑ってもいる。
しかし、目が死んでいる。
目が真っ黒になり始めたら話をまいてみたり、わざと話を脱線させて全く違う話をしてみたりしていた。
君の目なんて、お構いなく話をしていたときももちろんある。
「興味ないんだろうな」と思いながらも、だらだらと話をしてみたりもした。
私のひとりごとを近くで聞いている人がいるような感じか。
でも、君は興味のない話は右から左へ通り抜けるから、ただのノイズだ。
君の耳に「ノイズキャンセラー」が標準装備されていれば、私の話は聞こえてないだろう。
対面で話をしていれば、君の目を見れば大体のことは掴めていたように思う。
直接会わなくなって、4ヶ月が経った。
この前、私は最近かわいいなと思った俳優さんの話をして、ドラマの話をして、それに付随する話を君にした。
すると君は、
「今、あなたにとってどんな話をされているかわかる?」
と私に尋ねてきた。
興味のない話を少し長めにしてしまったな、とは思ったが、『なにが?』と応えてみた。
「そうか。じゃぁ、いい?」
『どうぞ?何かあるの?』
「パソコンの中には==って言う部分があってね、それの新しいのが発売されたんだけどさ、それを使うとさ、==が==になってさ、それがすごくてさ〜〜〜」
完全なる逆襲だ。
君は私が全く知らない分野の話をはじめた。
話が始まってすぐに、
『私が君に君の興味のない話をし過ぎてしまったね。ごめんごめん』
と謝罪。
「いいんだ。だけどこういうことなんだよ。」
と君。
私は自分自身が知らない話だったら、もっと話を続けて欲しくなる。内容はともあれ、君が楽しく話してればそれでいいとも思える。
でも君はそうじゃない。関心のない話は関心のないことだ。君だけじゃない。大抵の場合、そうだし、それでいい。
ここ最近は少数の特定の人と決まった内容を話すのみの生活をしていたから、なんとなくでも話を聞いてくれているふりをしてくれる君をはけ口みたいにしていたのかもしれない。
脳内でスキマスイッチの「君の話」が大音量でかかる。
いつか見た栄光の時代など金輪際 忘れてさ
みんな「そうなんだ!」って驚いたふりしてるだけなのに
きっと環境に恵まれてたんだろう
ずっともてはやされてきたんだろう
どんな人だったかって聞かされても
そんなことは聞きたかないんだよ
得意話はもう聞き飽きた 自慢話はもうこりごりだ
反省の気持ちでいっぱいになる。
話をするのにそんな気を使う必要があるのか?と思う一方で、会話は対話であるわけだし、時間は有限だ。無駄話には付き合ってられないよ、という気持ちもわからなくはない。
君の話はもう聞き飽きた 自慢話は、もうこりごりだ
君は言うのさ もう聞き飽きた 僕の話はもう聞き飽きた
僕の話は -スキマスイッチ「君の話」
歌詞でも最後は「僕の話はもう聞き飽きた」「僕の話は」で終わっている。相手の話がつまらないと思うことと同じくらいに、つまらない話をこちらもしている。会話は対話。お互い様だ。
やや自分自身を弁護してしまいたくもなるくらい、私の問題点は明らかだ。この度はだいぶんに反省をした。
そろそろ電話越しではなく、目を見て話をしたいところだ。