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トラック輸送の生産性を上げる2つの施策 #01 【NEXT Logistics Japan株式会社 梅村幸生】

ロジ人では物流テックと分類される業界の著名人、サービスにフォーカスしていきます。今回はNEXT Logistics Japan株式会社で代表取締役を務める梅村 幸生さんにインタビューしました。#01では、トラック輸送の生産性についてお話いただいています。

<プロフィール>

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▼ NEXT Logistics Japan株式会社 代表取締役社長CEO 梅村幸生氏
1996年に慶應義塾大学総合政策学部卒業後、日野自動車に入社。主に、小型トラックのマーケティング、プロモーション、商品企画を担当した後、トヨタ自動車総合企画部に出向。日野自動車新事業企画部長を経て、2018年6月にNEXT Logistics Japan株式会社を設立後、現職。


「トラック輸送の生産性向上」を実現するサービスを

ー 御社の仕事内容を教えてください。

弊社は、物流に関わる社会課題の解決をミッションに掲げ、2024年問題をはじめとした物流業界を取り巻く様々な問題解決に向けた事業に取り組んでいます。人手不足を解消する省人化サービスやCO2の削減による環境負荷の低減、物流に携わる人々の労働環境を改善する「ホワイト物流」の実現など、物流業界の課題を解決するとともに一般の方が便利だと感じる社会基盤を支えていきたいと考えています。

ー 具体的なサービス内容について教えてください。

「トラック輸送の生産性を向上させること」の実現に向けたサービスを展開しています。例えば現在弊社では、トラック輸送量を増やすために積載率の向上を図る「ダブル連結トラック」の採用や、混載において効率的な荷物配置を提案するサービスを行っています。シンプルなことですが、トラック輸送における生産性を向上させるためには、トラック一台あたりの積載量をいかに増やすかが重要です。物流業界では、直近の2024年問題による人材不足をはじめとした社会課題の解決が急務となっています。弊社のサービスが、こうした物流業界の課題を解決し、物流に携わる人々のためになるよう努めています。

ー 特に2024年問題は直近かつ、一般社会に大きく影響する可能性が高い問題です。

そもそも物流における「2024年問題」とは、トラック運送における労働基準の法改正がきっかけです。2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に制限がかかることで相対的に労働時間が短縮され、物流業界の輸送能力が不足することが予想されています。その結果、現在の輸送機能の維持が困難になる可能性は高いといえるでしょう。

法改正によりドライバーを取り巻く労働環境の適正化がなされれば、職場環境の改善を期待できます。ただその一方で、輸送力のキャパシティが不足し、BtoC・CtoCだけでなく宅配物が届かなくなるなど、2024年問題は一般家庭へのラストマイル輸送の機能不全を引き起こすことが懸念されます。

ー トラック輸送の生産性を向上させる一方で、ドライバー人材確保のための施策も必要になってくるとお考えですか。

必須だと考えています。現状、ドライバーの方々の業務内容は輸送だけではありません。「混載」「輸送」「荷物の積み下ろし」と、正直非常に過酷な仕事です。ドライバーさんが、運転だけに集中し安心安全に輸送ができるように、物流業界全体で働き方を見直していく必要があります。

2024年問題を解決する二つの施策

ー 物流業界における2024年問題の解決策として御社が行っている施策を教えてください。

先ほど申し上げましたように、弊社ではダブル連結トラックの実走を省人化の取り組みとして行っています。トラックの台車部分を2台分連結させることで、一人のドライバーでより多くの荷物を一度に運ぶことが可能になるのです。

インタビューの様子

ー 従来よりもトラックの積載量を増やすことで、トラックの運転操作に影響が出ることはないのでしょうか。

より多くの荷物を運びたいからといってただ車体を長くするだけでは、運転の難易度が上がり、ドライバーさんの安全面が懸念されます。車体は、台車が長くなっても内輪差がほとんど生まれないような設計にすることで、巻き込み事故の可能性を限りなく低くできるようにしています。また、トラックには8つのカメラが搭載されており、常に車体全体の状況を確認することができるようになっています。運転状況に応じてチャンネルを切り替えながら車両や周辺の情報を把握することで、安心安全な運転が実現するのです。

ー 御社の「ダブル連結トラック」を運転するドライバーさんは、輸送するにあたって研修をはじめとしたスキル習得の機会を与えられるのでしょうか。

実際に運転していただくドライバーさんには、1ヶ月ほどの期間をかけて運転操作練習を実施しています。普段よりも車体が長い車を運転する前に、車線変更や狭い道路での運転操作など、どうすれば安心安全にトラックを走らせることができるのか、車両全体を把握する時間として練習していただいております。

ー 御社ではほかにも「トラックの生産性向上」施策として、混載車での積載効率の改善についても取り組まれていると伺いました。

輸送トラックでは、効率的により多くのモノを一度に運ぶために異なる商品を組み合わせて運びます(混載)。しかし、積荷によっては組み合わせても良いもの、悪いものなど制限が存在するため、各会社に一つ一つ確認作業をしてようやく混載することが可能になるのです。積荷によって多種多様な制限がある中で、積載率の効率を求めるのには確認作業を含めてかなりの時間と労力を割く必要があります。弊社で当事業を開始してからおよそ3年が経ちますが、取引先企業様へのヒアリングを地道に積み重ねた甲斐もあって、現在では一般的なトラック積載率が約40%とされるなか、弊社サービスを利用することで積載率は約70〜80%にまで達するようになりました。

最効率な積載を可能にするシステム「NeLOSS(ネロス)」

ー 御社が導入されているシステム「NeLOSS」とは、どういったシステムなのでしょうか。

「NeLOSS」は、効率的な積荷の組み合わせを計算するコンピューターシステムです。数多くの積荷からどの積荷をどのように積めば最も効率的にトラックで運ぶことができるのかを弾き出し、トラックの生産性向上を図ります。

インタビューの様子

ー 具体的にはどのように活用されているのですか。

例えば、10台のトラックで積荷を輸送する場合、どのように配車してどういった手順で荷物を積んでいくのかを基本NeLOSSですべて導き出しています。先述したように、積荷の中には組み合わせに関する制限があります。各荷主の出荷データとして「どの積荷」を「どこまで」「いつまで」に輸送するのかというオーダーはNeLOSSシステム内に入力されています。荷物データと事前にプログラムされてある積荷の組み合わせ制限データを踏まえて、トラックの選択や輸送ルートまでを割り出すことができるのです。

ー 積荷の組み合わせだけでなく、輸送ルートまで表示してくれるのは、ドライバーにとっても業務負担の軽減になりそうです。

そうですね。特に積荷に関しては、運ぶ商品によってそれぞれ高さや長さ、重量が異なるだけでなく、行き先や商品同士の組み合わせについても考慮しなくてはなりません。積荷によっては割れ物や精密機械などの輸送により一層の慎重さが求められるケースもあります。

細かい要件をひとつひとつ鑑みて、数十万通りの中からベストな選択をできるというのは「NeLOSS」独自の強みです。一般的なパソコンではおよそ一万時間かかる作業をワンクリックで実現できるため、今後の物流業界の課題解決に向けてなくてはならない存在になると確信しています。

ー 「NeLOSS」を発案されたきっかけについて教えてください。

なによりも積載設計の業務負担を検討したことがきっかけです。導入以前の積載設計はすべて一から人の手で作成していました。しかし、積荷のサイズや組み合わせの条件など、考慮する点が数多くあることから、一件あたり2〜3時間ほどの業務時間を費やす必要があったのです。会社として将来的な取り扱い積荷量の増加をしていくにあたり、業務軽減の解決手段として量子コンピューターの活用を思いつきました。国内で実際に量子コンピューターを取り扱っているベンチャー企業とタッグを組み、弊社の荷物の組み合わせに関するアルゴリズムを組み込む形で「NeLOSS」が誕生しました。


<取材・編集:ロジ人編集部>


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