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入試問題速報解説!2025年度入試慶應法学部小論文はどんな問題?
今回は、2025年度入試の慶應法学部の小論文の問題を解説していきたいと思います。
この解説を書いている私、個人的には、法学というものの根幹にあたる問いを出題していると言えるため、法やルールってなんのためにあるのか。という問いを考えたことがある人であれば、比較的解きやすい問題であったと思います。ですが、例年と問題の出題形式が変わってしまったため、驚いた受験生も多かったんじゃないかなとも思います。
それでは、早速解説していきます!
今回の問題で聞かれたこと
2025年度入試の法学部の小論文の問いは以下でした。
法と正義に関して、ローマ法大全には次の学説が収録されている。
・「法とは善と衡平の術である。」(学説彙纂 第1巻 第1章 第1法文 前文)
・「正義とは、各人に各人の権利を分配しようとする恒常普遍の意思である。法の掟とは、以下のこと、すなわち、誠実に生きること、他人を害しないこと、各人に各人のものを分配すること、である。」(学説彙纂 第1巻 第1章 第10法文 前文)
・「たしかに過酷ではあるが、法律はそのように書かれている。」(学説彙纂 第40巻 第9章 第12法文 第1節)
以上を踏まえ、「法律の適用は正義の尊重と両立可能であるか」について、両立可能とする立場・両立不可能とする立場から、それぞれ(経験や体験ではなく)普遍的な例を論拠として示しつつ、800字以内で客観的に論じなさい。解答は解答用紙の所定の欄に書きなさい。
例年は、課題文があった上でそれらの要約が400字であったうえで600字程度の論述が求められています。課題文は直接的な政治や法に関するという内容ではなく、それらが背景にあるような、より具体的な内容の文章が多いため、この問題は非常に法というものを意識した単純な問題であったと言えるでしょう。一方で、法が如何にしてあるべきか、という問いを普段から投げかける高校生がそう多くはないということを踏まえてみると、難しかったともいえるかもしれません。
今回の問題の参考文献について
今回は、ローマ法大全の学説彙纂から抜粋されていました。そもそもローマ法大全とは、東ローマ帝国(ビザンツ帝国)のユスティニアヌス1世(在位:527年 - 565年)が編纂させたローマ法の集大成です。ユスティニアヌス1世は、古代ローマ帝国の復興を目指し、その一環として、複雑化していたローマ法の整理・体系化を命じました。そのため、ローマ法の集大成として、ヨーロッパの法制に大きな影響を与え、法学の発展の基盤を形作ったと言っても過言ではありません。
特に、学説彙纂はローマ法大全の中でも、法学者たちの学説を集めたものであり、ローマ法の理論的な基盤となるものであると言えます。これらは、私法を中心に発展したローマ法の集大成ですので、現代私法の基盤となる考え方を多く持っています。
その中でも、抜粋された内容は「法」そのものについての哲学的な側面と法の実戦における現実的な側面について言及されたものであったと言えるでしょう。これらの抜粋は、ローマ法が単なる規則の集まりではなく、深い倫理的、哲学的な基盤を持つことを示しています。同時に、法の実践においては、常に理想と現実の間の緊張が存在することも示唆しており、これは現代の法においても共通する課題です。
論点について
今回の問題は、「法と正義」という法学が持つ、矛盾しながらも両立を目指す、という極めて解決困難且つ普遍的な課題について提示してくれていると言えます。「法と正義」という言葉をもう少し噛み砕くと、「法律を守っていれば、悪徳な行為は許されるべきか」はたまた「法律を破ってでも、正義の実現を遂行するべきか」ということが論点であったと言えます。公共や現代社会、政治経済を履修する中で、法というものが抱える難しさについて理解することができていれば、答案作成も難しくなかったのではないかと言えるでしょう。
過去の問題と比較して総評
昨年までの過去問と比較すると、時間が短くなったこと・字数が減ったこともその変数の1つとしたうえで、少し簡単になったのではないかと言えるでしょう。一方で、要約や文章読解がなかったために、法という性質を理解していれば、とても解きやすい内容であったと言えるので、小論文の勉強を行ったことがある人であれば、解きやすかった問題、そうでない人にとっては少し難しい問題であったとも言えるでしょう。
名称も「小論文」に変わったこともあり、二次試験で論述問題がある、慶應法学部FIT入試の過去問などを参考に今後は対策を進めるのも一つの対策であると言えるでしょう。
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