「論理的思考法」クイズ!【第10問】「うちわや扇子もOKなはず」
政治家発言の「コント」
日本の政治家は、いつから「お笑い芸人」になったのだろうか? 彼らの発言を聞いていると、まるで「コント」である。コメディアンが観客を笑わせようと意図しているのであれば理解できるが、彼らは国会や委員会や記者会見において公式声明を発しているのである。もはや、幼い子どもたちからさえ、大笑いされるレベルではないか!
読者は、次の発言をどのように思われるだろうか? その発言のあった状況を改めて確認した上で、なぜ「コント」になるのか、どこまで非論理的なのか、いかに日本語が破壊されてしまっているのか、自分自身の頭でよく考えて、発見してほしい。「論理的思考法」のよい訓練になるはずである。
「飛沫感染防止で、うちわや扇子もOKなはず」
2021年4月9日、井戸敏三・兵庫県知事は、コロナウイルス感染対策として、うちわや扇子で口元を覆いながら会食する「うちわ会食」を呼びかけた。彼は、記者会見で「フェースシールドがOKならば、飛沫感染防止でうちわや扇子もOKなはず」と述べた。さらに、兵庫県の予算約700万円を用いて、「まん延防止等重点措置」の対象地域である神戸市を中心とする飲食店1万6000店舗に各20本、合計32万本のうちわを配布すると決定した。
その前提として、次のような状況があった。大阪府は、以前から飛沫感染対策として「マスク会食」を呼びかけている。ところが、「マスク会食」では、飲食物を口に運ぶたびにマスクを外さなければならず、その際マスクを手で触ることになり、逆にウイルスが手を通して口の中に侵入する可能性がある。そこで、兵庫県は「うちわ会食」の方が「マスク会食」よりもベターではないか、と考えたというわけである(笑)。
いかにも関西風に「マスク会食とウチワ会食」とでも名付けたい漫才のような、想像を絶するレベルの議論が行われているとしか思えない(笑)!
うちわ配布中止!
さて、「うちわ会食」を呼びかけた5日後の4月14日、井戸知事は、一転してうちわ配布の中止を発表した。彼は、記者会見で「お店に配るのは、どんな使われ方をするのかわからず、行き過ぎだった。配ると使い回しもあるという意見はごもっともで、中止させていただく」と述べた。
そもそも、うちわで扇げば飛沫を左右に拡散させる可能性があり、しかも、他人の飛沫の付着したうちわを店舗内で使い回せば、さらに感染の危険性が増すことは、最初から明らかではないか!
ここで何よりも驚くべきことは、兵庫県知事や兵庫県議会議員が、こんな小学生でも思い浮かべるであろう帰結さえ事前に議論することなく、予算を成立させて膨大な数のうちわを作製し、批判されると慌てて配布を中止にして無駄にしたという事実である!
なぜ井戸氏は、これほどまでに信じ難い「浅慮浅薄」な「うちわ会食」を主張し、即座に撤回するという漫才を演じることができるのだろうか(笑)?
ヒント:「浅慮浅薄」・「関西漫才」・「朝令暮改」
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