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「論理的思考法」クイズ!【第8問】「答弁拒否は一度もしておりません」

政治家発言の「コント」

 日本の政治家は、いつから「お笑い芸人」になったのだろうか? 彼らの発言を聞いていると、まるで「コント」である。コメディアンが観客を笑わせようと意図しているのであれば理解できるが、彼らは国会や委員会や記者会見において公式声明を発しているのである。もはや、幼い子どもたちからさえ、大笑いされるレベルではないか! 

読者は、次の発言をどのように思われるだろうか? その発言のあった状況を改めて確認した上で、なぜ「コント」になるのか、どこまで非論理的なのか、いかに日本語が破壊されてしまっているのか、自分自身の頭でよく考えて、発見してほしい。「論理的思考法」のよい訓練になるはずである。 

「答弁拒否は一度もしておりません」

2021年3月17日、武田良太総務大臣は、衆議院予算委員会で、NTT社長との会食があったかどうかを問われ、「答弁拒否は一度もしておりません。個別の一つ一つの事案については、お答えを差し控えさせていただきたいと思いますけども、疑念を招くような会食や会合、これに応ずることはありません」と述べた。

その前提として、次のような状況があった。すでに次の記事で述べたように、武田氏は、10日から15日にかけて開かれた4回の予算委員会で、NTT側との会食が「あったのか、なかったのか」の「事実」については直接答えず、同じ趣旨の質問に対して「合計25回」も「国民の疑念を招くような会食や会合に応じたことはない」と繰り返したのである!

武田氏の答弁のさまざまな矛盾点については、noteライターの犬飼淳氏が次の記事で詳細に分析しているので、ご参照いただきたい。

この中で最も論理的に興味深いのは、要するに、武田氏は、「お答えを差し控えさせていただきたい」と答えている以上、自分は「答弁拒否」をしていることにはならないと主張している点である。 

さて、「お答えを差し控えさせていただきたい」と言われると、丁寧に聞こえるかもしれないが、論理的には「答弁を拒否します」と同等である。つまり、彼は「答弁を拒否する」と何度も返答しておきながら「答弁を拒否していない」と主張しているわけである。ここまで自分の発言が矛盾しても平気な人物とは、ノーマルなコミュニケーションが成立しないのが普通である。

仮に、ある容疑者が取り調べを受けているとしよう。この容疑者は、すべての事実関係の質問に「お答えを差し控えさせていただきます」と返答する。ところが、裁判官に対しては、「私は、黙秘はしていません。取り調べに素直に応じ、すべての質問にハキハキと答えて、積極的に捜査に協力しました」と主張したとする。もし読者が裁判官だったら、この容疑者に対して、どのような判決を下されるだろうか(笑)? 

なぜ武田氏は、これほどまでに信じ難い「詭弁」を弄さなければならないのだろうか(笑)?

ヒント:「屁理屈」・「答弁拒否するという答弁」・「舌先三寸」

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