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「科学・技術と哲学を結ぶ学者」!

総合環境情報誌「ネイチャーインターフェイス」は、特定非営利活動法人「ウェアラブル環境情報ネット推進機構」(WIN)が年に3回発行する季刊誌である。WINの目的は、次のようになっている。

 WINとは、ウェアラブル・インフォメーション・ネットワークに関する技術、製品、事業、市場等の社会システムの現状及び将来像についての調査研究・普及推進等を行うことによって、新たなインフォメーション・ネットワークの学問体系及び事業/企業の創成を図ることを目的とした特定非営利活動法人「ウェアラブル環境情報ネット推進機構」です。
 NPO法人WINは、東京大学をはじめ、国内外の14大学に在籍する研究者、エレクトロニクスや情報分野の企業など28団体が参加して2000年8月に設立されました。
 マイクロマシン技術、マイクロセンサ技術、ネットワーク技術の融合により、動植物、人間、人工物に微小端末(ネイチャーインタフェイサ)を付け、ワイヤレスでその状態のセンシングを行う「ウェアラブル・ インフォメーション・ネットワーク」に関するサービスの開発などを行い、特に人間の健康・福祉の向上と環境の保全に貢献することを目的としています。

この「ウェアラブル・インフォメーション・ネットワーク」は、実に興味深い研究分野である。今後の開発が、大いに期待される! 

 腕時計のような小型センサーを人が身につけて、位置情報を送ったり、体調をモニタリングしたりして、事故防止や体調管理に役立てます。動物、植物から、交通、生産現場、病院、人、人工物に至るまでさまざまな物や場所をネットワーク化して、情報を活用するシステムを構築します。またダムなどの遠隔監視を行い、情報管理することで防災につなげます。このように、「ウェアラブル」をキーワードにした装着型のITシステムを社会に広めていきます。

さて、田井中麻都佳氏の取材を受けて、この雑誌のコラム「NIピープル」に私のインタビュー記事が掲載されたのは、2006年6月発行の第26号である。

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その記事の一部を、以下にご紹介しよう。

「現代の科学・技術を超高層ビルにたとえてみましょう。現場の科学・技術者は、自分が専門として担当している七階の一つの部屋をどうするかしか考えていない。ビル全体のことなど考える余裕はないわけです。逆に哲学者のほうは、このビルがいかに日照権を侵害しているか、周りの住人が迷惑しているのではないかとか、そんなことばかりを気にしている。どちらもこのビルの本質を見ようとしていないのです。本来は、このビルが都市においてどのような機能を果たしているのか、どの方向に拡張しようとしているのか、周囲にどのような影響を与え、活用されていくのかを考える必要があるでしょう? 私はもともと論理学の専門で、物事の枠組みや筋道を見るのが仕事なので、物事の一面しか見ないという態度は理解できない。というか、残念なのです。科学・技術哲学が必要だという理由は、そこにあります」

このインタビューから15年間、まさに私はこの信念にしたがって「科学・技術哲学」の研究を続けてきた。それにしても、今思えば、取材した段階で私の本質を見極めて、記事を「科学・技術と哲学を結ぶ学者」というタイトルにした田井中氏の慧眼は、すばらしいではないか!

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高橋昌一郎
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